ナマクラ!Reviews

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第6回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:鉄球姫エミリー/八薙玉造

鉄球姫エミリー
(あらすじ)
王女ながらも、通常の鎧の三倍の装甲を誇り、輝鉄と呼ばれる鉱石により爆発的に身体能力を向上させる鎧、大甲冑を纏い、鉄球を振り回す少女エミリー。弟王との玉座を巡る争いを避けるために、辺境に身を置くエミリーだが、なおも陰謀の手は迫る。弟王派から放たれた黒い大甲冑に身を包んだ暗殺者、亡霊騎士。その突然の襲撃が屋敷を襲う。エミリーを護るために命さえも懸ける護衛騎士、装甲侍女たち。美しき王女を巡る死闘の行方は……!?

answer.――― 44 点

(;゚д゚)ポカーン―――空いた口が塞がらないとはこの事だ。コンクリート・ジャングルの現代で出会ったブロントサウルス(@実は居なかった!)的作品。出版年度は2007年でありながら、ライトノベルの書き手担い手が居なかった90年代初頭を思わせるアマチュア臭爆発した機微のない文章が酷い。タイトルから想像出来る通り鉄球を振り回して物語の解決を図る豪快なお姫様を主人公にした本作は、下ネタを取り入れるモダニズムを導入しているが、そこから先は頑固なまでに原理主義。どシリアス、壮大な(作者の)Fantasy一方通行だ。同じ種類の葛藤を繰り返すなど、構成上の工夫が乏しいのが作品として厳しい。ただ、どシリアスだけあって登場人物がほとんど死んだりの「……本当の、本当の戦場は残酷なんだ!」的バッドエンドのスパイスがあるので、その辺をプラス査定しても良いかもしれない。がしかし、編集部(あるいは、下読みか?)はどういう意図で本作を最終選考まで残したのか……いや、これは完全に一次落ちだろ?第3回で片山憲太郎の『電波的な彼女』に<大賞>を受賞させない時点でどうかと思っていたが、……いや、これは(;゚д゚)ポカーンだわ。無駄に多い頁数も含め、遠慮したい作品。90年代のライトノベルの平均像を近年のライトノベルで知りたい人はどうぞ。

第6回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:鉄球姫エミリー/八薙玉造

category: や行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞大賞 OPEN 40点 八薙玉造

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第6回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:ガン×スクール=パラダイス!/穂邑正裕

ガン×スクール=パラダイス!
(あらすじ)
在校生1万3000人のマンモス校・風来高等学校では全校生徒が強制的に参加させられる〔ガンスター〕と呼ばれる行事があった。実銃さながらの極めて精巧なモデルガンを撃ち合い、3日目の午後6時までに最後の1名となって自分のバッジを死守するか最も多くのバッジを獲得するかした勝者は、校則を1条だけ自分の希望通りに変える権限が与えられる。幼馴染みから「高校を辞める」と告げられた藤山晃太は、翻意させるために〔ガンスター〕で優勝し、校則を変えようと決意するのだが……。

answer.――― 67 点

2巻は無いな、と思わせる全力疾走。後先を考えずに書いた点をまず誉めたい。常に動いている、そんな印象を抱く小説が稀にあるが、本作はまさにそれに該当する。常に動くとはどういう事か?およそ人は十余年も人生を歩めば出会い、別れをいい加減予感できるように、本作では各場面がこれ以上ないくらいに決着が着いていく。バトルロワイヤル、本作はそのパロディな訳だが、兎角、弾数が本家の比ではない。ゴム弾ながらに校内はハチの巣、瓦礫の山だ。登場人物たちは「―――この巻しか私たちは登場しない!」と刹那に生き、散っていく。そう、あの伝説のお笑い番組『爆笑レッドカーペット』に出てくる芸人の如くである。笑ったし、実際、面白かった……では、お金を出して買いたいか?となるとどうだろう?2巻は無いな、とはつまり、そういうことなのだ。本作は著者が<プロ>になるために作ったアマチュア小説。萌えなどに奔る媚び方ではなく、面白さで媚びる珍種の投稿作だ。はい、終わり!はい、終わり!はい、終わり!Hai,Owaryyy!と、1巻でケリつけてやらあ(受かった後のことなんざ知ったことか(^Д^)プギャー)!なる著者の咆哮を私は聞いた。聞いてしまった。故に思う、……この表紙はその罰なのだとバキューン!(´∀`)_┳※ナニコノヒョウシ?? ← 著者の届けられた製本を見ての第一声。

第6回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:ガン×スクール=パラダイス!/穂邑正裕

category: は行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞(佳作) OPEN 60点 穂邑正裕

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第6回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:警極魔道課チルビィ先生の迷子なひび/横山忠

警極魔道課チルビィ先生の迷子なひび
(あらすじ)
人間や獣人が共存する世界『アース』にある大国ケルビム共和国。「警極魔道課」に在籍するチルビィ先生は、おやつ大好きで迷子が得意、それに戦闘大好きな12歳の美少女。今回の任務は、国を騒がせている誘拐犯を捕まえること。保護者兼弟子のトーマと、新弟子の獣人娘・王蘭を引き連れて捜査へ向かう。

answer.――― 25 点

しかしまた、この表紙にこのタイトル……今月はスーパーダッシュ小説新人賞をレヴューしようと心に決めて、近くの中古書店に足を伸ばせば、そこには好都合にも並ぶ第6回の受賞作の面々。地雷と分かって踏むこの気持ち、皆さまは分かって頂けますでしょうか?結論から言って、結局、地雷である。あらすじの通り、幼女のチルビィ先生が大活躍するお話。冒頭も冒頭、貼り紙から数行は良い意味でのとんでもコメディを期待出来たが、……とりあえず、延々と続く設定の羅列はどうにかしよう。これは、トイレでとぐろを巻き過ぎて水に流せない巨大なウ●コだ。取捨選択、どれが必要でどれが必要ないか。片付けられない人がいるのは知っている、でもウ●コは片付けられる。TVのゴミ屋敷の特集を見ていても、ウ●コは放置されてなかった。こういうワナビー(←この表現で分かるように、私はもはやプロと認めていない)に必要なのは、<鏡>である。「ぶはっ、つまんな過ぎて読んでられねえよコレwこれぞ環境破壊、パルプの無駄だぜww」「いやいやいや、お前の作品もこんなだけど?」「……え?」となる<鏡>だ。というわけで、著者には『A/Bエクストリーム CASE-314[エンペラー]』を推薦したい。ここから是非、己というワナビーを見つめ直して欲しい。そして、こんな素晴らしい助言を送った私に慰謝料を即刻振り込んで欲しい。一応、戦闘場面が幾つかあり、そこそこに描けてたり、描けてなかったりしている。これで第6回の受賞作は全部読んだわけだが、どうやら典型的な<魔の回>だったようだ。……さて、バコバコバスツアーでも見て元気だそっ!

第6回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:警極魔道課チルビィ先生の迷子なひび/横山忠

category: や行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞(佳作) OPEN 20点 横山忠

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第3回本屋大賞 1位:東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~/リリー・フランキー

東京タワー
(あらすじ)
1960年代。3歳のボクは、遊び人のオトンを捨てたオカンに連れられ、小倉から筑豊のオカンの実家に戻ってきた。オカンは女手ひとつでボクを育てた。オカンの作る美味しいご飯を食べて、ボクは成長した。15歳になって、ボクはこの町を出て行きたくなった。大分の美術高校に入学し、東京の美大をなんとか卒業するが、仕事もせずに、仕送りしてもらい、更に借金を重ねていた。そんな中、オカンが癌に侵されていることが分かった。

answer.――― 76 点

イラストレーター、ライター、エッセイスト、フォトグラファーに俳優、etc…とマルチタレントなのかさえ分からない謎の男リリー・フランキー。本作は彼の初の長編小説であり、200万部突破という正真正銘のベストセラーとなって、TVドラマ化、映画化、そして、舞台化と変化に変化を重ねた一作。「泣いてしまった……これは、ひらかなで書かれた聖書である」など際どく喧伝されたように、結論から言って、泣けた―――が、これは<母>を扱う作品なら当然のオプションで、読者としてはそれ以外の<Something>を求めたいところ。そういう意味で、人によっては「自伝」という要素がその<Something>に挙げられるかもしれない。リリー・フランキーへの興味の有無。それが本作を楽しむ上での隠し味になりそう。個人的に、リリー・フランキーと云えば、「おでんクン」をデザインした人程度にしか思っていなかったので、変な色眼鏡を掛けることなく読了。そんなフラットな視点から言及させてもらえば、文章と文章の繋ぎに拙い部分が目立つ。それは序盤に顕著で、制作期間「4年」という歳月を鑑みても筆が乗り切れてないのが関係しているんだろう。また、オカンへの感謝を綴る終盤こそ「オカン、愛してる!」のハートフルな展開だが、ストーリー的にはオトンが陰の主役と言っていい。というのも、「自伝」という事実を省いてしまえば、本作の内容は平均的だからだ。その点、オトンは良い。現実的にも(関わりたくないけど)面白いキャラクターだし、創作的にも謎らしい謎を孕み続けるキャラクターだ。本作は自伝だけあって、オカンを喪う間際、教訓が散りばめられている。私も経験的に「ありがとう」と「末期の水」、については思うところがある。皆さんも心に留めておいてください。

第3回本屋大賞 1位:東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~/リリー・フランキー

category: ら行の作家

tag: OPEN 70点 リリー・フランキー 本屋大賞

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第3回本屋大賞 2位:サウスバウンド/奥田英朗

サウスバウンド
(あらすじ)
僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても「変わってる」と言う。父が会社員だったことはない。物心ついたときからたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、ほかの家はそうではないらしいことを知った。父はどうやら国が嫌いらしい。むかし、過激派とかいうのをやっていて、税金なんか払わない、無理して学校に行く必要などないとかよく言っている。家族でどこかの南の島に移住する計画を立てているようなのだが……。

answer.――― 73 点

型破りな父に翻弄される家族を「少年」の視点から描いた長編大傑作!とのことだが、……これ、主人公の配役を間違えたんじゃないだろうか?確かに元過激派でアナーキストの父親の発言&行動に、息子である「少年」が適格に迷惑被っていると思うが、だからって読者にはそれ自体が面白いわけではない。本作は前半と後半の二部構成となっているが、それぞれの部で核となる事件が起こる。前半は父親の元同志による内ゲバ殺人事件、後半は東京から沖縄は西表島へ舞台を移しての開発業者との闘争である。ただ、これらは少年もそこそこに関わっているものの、所詮は子どもだけに脇に徹せざるをえず、活劇らしい活劇とはならない。妙な大人(父親)のRiotを見守る、そんな様相だ。それだから結局、警察もヤクザも今現在恐れる伝説の闘士―――つまりは、少年の父親をストレートに主人公にすれば良かったじゃねえかと一読者として思ってしまう。「父親」の視点にこそ興味がある。何でかってこの親父、過激派のくせに「群れない」のだ。明らかに特殊だ、どういう視点を持っているのか非常に興味が湧いた。でも、あくまで本作はどこにでもいる「少年」の話だ。他作品を含めた雑感として、この著者はどうもあと一歩、己の作品へ貢献しようとしない。手前味噌の知識で誤魔化そうとする癖がある。『イン・ザ・プール』から始まった精神科医・伊良部シリーズも三作目で自らコケて、「もう書けません!」宣言した感があった。……まあ、「少年」の視点、その物語も決して悪かったわけではない。特に、前半部における不良中学生との「これからの人生を左右する」戦いは見物だった。期待しなければ、そこそこ楽しめるやや長過ぎる適当エンターテイメント作品。そんな認識をしておくのが良いだろう。

第3回本屋大賞 2位:サウスバウンド/奥田英朗

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 奥田英朗 本屋大賞

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第3回本屋大賞 3位:死神の精度/伊坂幸太郎

死神の精度
1.死神の精度
2.死神と藤田
3.吹雪に死神
4.恋愛で死神
5.旅路を死神
6.死神対老女

answer.――― 72 点

雑誌「オール讀物」他で掲載した短編をひとつにまとめた作品。表題作は第57回日本推理作家協会賞短編部門受賞。さて、このナマクラ!Reviewsにおいて、優等生と云えば、伊坂幸太郎その人であることは御存知の通り。丁寧な文章、誰にも優しいユニセックスなストーリー、安定した刊行ペース―――まさしく<プロ>の所業、彼が職業欄に堂々と<作家>と書くことに異論を挟む人はまずいないだろう。大衆小説とは、一般大衆を対象にして書かれた通俗的、娯楽的小説……というならば、彼の作品はまさしくどれもが<大衆小説>の名に相応しい。しかし故にというか、私にはいつも物足りなさがつきまとう。その印象は、本作でも変わらず。作品の形としては、クールで少しずれている死神の一人を主人公にした連作短篇。主人公の仕事は対象を7日間調査し、その死の<可否>を報告するというもの。基本的に死神たちは「可」を出すというように、本作でもよく「可」が出される。大概、この手の設定は死ぬことを願いたくなるような嫌なキャラクターを登場させて死神による「可」判定でその留飲を下げるものだが、そこは伊坂幸太郎らしく大前提「可」を逆手に、90°ほど傾けるストーリーアレンジを披露。そう、登場人物はほぼ全員「善性」を有している。そして、作中のルールを器用に用い、悪を挫くのである。そんな90°アレンジもあり、暇潰しにはまさに適当なクオリティ。短編ということもあり、気軽に読める。ただ、―――感銘を受けることはいつも通り、無い。ただ(これまたいつも通りなのだが)、唯一、終章にて一作品としてのサプライズが起こる。終章だけ他章の話が唐突に紛れるのだ。どこか似通うストーリー展開が続いたなかでのサプライズ。悪い点数を取ったな、と思わせて、皆が解けない問題に唯一答えられたようなサプライズ、……優等生である。伊坂幸太郎の作品は、暇潰しの精度としては抜群だ。

第3回本屋大賞 3位:死神の精度/伊坂幸太郎

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 伊坂幸太郎

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第3回本屋大賞 4位:容疑者Xの献身/東野圭吾

容疑者Xの献身
(あらすじ)
天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。

answer.――― 85 点

何度となく直木賞にノミネートされながら逃し続けた東野圭吾、待望の直木賞受賞作。無名/新人作家を奨励するために創設された直木三十五賞は今や中堅→BIGネームのための賞へと最終形態(形骸)化しつつあるが、その意味でも、東野圭吾の受賞はまさに相応しいと思う。人気『探偵ガリレオ』シリーズ初の長編ということもあり、簡素な文体から長編<らしい>敷き詰めた文体にシフトチェンジしているが、そこは東野圭吾。読みやすさは変わらない。また、東野圭吾は時とともに作風を変えることでも知られるが、それは『探偵ガリレオ』シリーズと云えども例外ではない。シリーズ当初は著者の理系の知識を生かした珍しいスタイルの推理小説だったが、本作では定石通りの論理的推理を基にした推理小説となっている。本作をより楽しむにはやはり、シリーズの始まりである『探偵ガリレオ』を読んだほうが良いだろう。主人公である湯川学がどんな人物なのかを知った上で、その湯川学から真摯なまでのリスペクトを払われる本作の犯人「石神哲哉」と対峙したい。推理そのものよりも、石神先生の<決意>とその意志の揺れ動きを楽しむ作品。非常に楽しめました。

第3回本屋大賞 4位:容疑者Xの献身/東野圭吾

category: は行の作家

tag: OPEN 80点 東野圭吾

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第3回本屋大賞 5位:その日のまえに/重松清

その日の前に
1.飛行機雲
2.朝日のあたる家
3.潮騒
4.ヒア・カムズ・ザ・サン
5.その日のまえに
6.その日
7.その日のあとで

answer.――― 69 点

まずは章タイトルをご覧あれ。5章「その日のまえに」、6章「その日」、7章「その日のあとで」とあるように、本作は「その日」をテーマにした物語。「その日」とは「死ぬ日」であり、「その日」を直接的に迎えるのは自分ではなく、友人、知人、そして、妻と云った面々。著者は現代の人情作家の第一人者・重松清。品のある文章は堅実で、派手さはないものの、実に「良い仕事をしてますねぇ~」とどこかのトレジャーハンター爺さんのように誉めたくなる作家だ。そんな作家が人生の終わりを描くのだから、―――思わず感涙!したかったところだが、どうやら読者の対象年齢が高めに設定されているため、いささか共感出来ない部分が目立った。原因は、ほとんどの登場人物に情念が無いからだ。「その日」を迎える面々は子どもから大人まで取り揃えているにもかかわらず、全員が<諦観>に入っている。リアリティがあるといえばそれまでだが、故にエンターテイメント的には退屈だ。著者もその辺を意識しているために、テーマの共通する短篇を並べて来たかと思わせて、終盤に繋げてくる連作短編という構成上の工夫を施しているが、これは小手先。失地回復までには到っていない。平均寿命から考えて、本作は人生の折り返し地点である四十路コーナーを廻ったあたりに手を出すのがベターだろう。個人的には、目次を開いたとき、サンドイッチ状になっている章タイトルのアイディア(……これ、意外に少ないのよね)に未開拓の可能性を見ました。

第3回本屋大賞 5位:その日のまえに/重松清

category: さ行の作家

tag: OPEN 60点 重松清 本屋大賞

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第3回本屋大賞 6位:ナラタージュ/島本理生

ナラタージュ
ナラタージュ―――映画などで、主人公が回想の形で、過去の出来事を物語ること。
野間文芸新人賞を最年少で受賞した若手実力派による初の書き下ろし長編・渾身の740枚

answer.――― 71 点

本作を読む前に今一度、<レイプ>について考えて貰いたい。レイプ=魂の殺人、とも表現される犯罪行為は、古来より様ざまな題材に取り上げられているが、近年はAVなどの普及により、ややモザイクがかった行為へと移っているように思われる。貴方が想像するレイプは、魂の殺人―――そう表現に値するモノだろうか?AVや18禁と銘打たれた商品で取り上げられているレイプは、そのほとんどがレイプ(=魂の殺人)ではないことが多い。レイプとは、ある行為を伴わなければ成立しない。その行為とは何か?―――<暴力>である。先に挙げたAVなどの「商品」には、そんな<暴力>が無い。己の性よりも己の命を優先させる、魂の殺人が無いのである。レイプを描くならば、この<暴力>を描かねばならない。本作『ナラタージュ』では、そこに気づけている点が素晴らしい。女性作家ならでは、と言ったところだ。……ちなみにこのレヴューは事実上、ネタバレもせず、また、ネタバレとなってもスパイスとなるように、未読の方が「間違いなく」本作を「楽しむ」ために書いた。結婚/離婚を繰り返している島本‘腐れ’女史には直ちに、このパッとしない恋愛小説で未だ得ている不当なまでの印税を私の銀行口座に納入して頂きたい。久しぶりに記事協力まで仰いでしまっただけに経費が掛かるんですよね。【記事協力:ERO大学准教授・黒ぶち眼鏡】

第3回本屋大賞 6位:ナラタージュ/島本理生

category: さ行の作家

tag: OPEN 70点 島本理生 本屋大賞

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第3回本屋大賞 7位:告白/町田康

告白
翻訳家・岸本佐知子「不器用で空気が読めない熊太郎は世間の暗黙のルールに乗れず、最後に大犯罪者になってしまう。個人的に身につまされた」

詩人・小池昌代「大悪人の澄み渡った魂を言語論をからめてつづった傑作」

翻訳家・鴻巣友季子「日本語なのに異言語。言葉が元々『異物』であることを激烈な恥辱の感覚を通して描く傑作!」

仏文学者・中条省平「近代的自我の成立を言語の問題としてとらえた日本文学史上画期的な小説」

エッセイスト・平松洋子氏「あらためて日本語の価値自体をも突きつけてくる圧倒的な作品」

answer.――― 72 点

本作の著者・町田康率いるパンク・ロックバンドINU―――その1stアルバム『メシ喰うな!』は、Rolling Stone【日本版】の特集企画"100 Greatest Japanese Rock Albums of All Time"にも選ばれる名盤であり、町田康という狂犬(@布袋寅泰にボコられた負け犬)を端的に紹介するのにピッタリの一枚だ。なんて、素直に誉めるのが気恥ずかしいのでその辺のINU扱いしてしまったが、町田康はお世辞抜きで<天才>である。業界の慣例通りノミネートされ続けついに第123回芥川龍之介賞を受賞しているが、こと町田康に関しては賞設立当初の「純文学の新人に与えられる」という理念通り、処女作から受賞させても良かったと思う。上方落語で培った(らしい)独特の文体は唯一無二と言っていいと思うし、事実として彼の後を追い、追いついたフォロワーらしいフォロワーも未だ現れていない。このような状況からも判断出来る通り、町田康は間違いなく<天才>なのだ―――文章は。そう、彼の話作りの才能は、ポチやタロー、その辺の電柱に小便を垂れる犬コロと変わらない。凡中の凡、ボボンチュウ(凡庸)である。さて、そんな町田‘ボボンチュウ’康が河内音頭のスタンダード「河内十人斬り」を題材にしたのが本作。話作りの下手さは、―――実話でカバー!とばかりの意欲作だ。何故、10人も殺すことになったのか?それを己の天才的にリズミカルな文体を生かして描く―――ために、殺人犯となる主人公をド田舎に生まれた無教養の思弁的な人間としたのが本作最大のファンインプレー。これでだらだらとリズミカルに思考出来る。あとは、読み手は天才の所業を楽しむだけである……、以上。無理矢理付け加えるなら、本作は実話だけあってそこそこ物語性もある。だから、「詰まる/詰まらない」で判別するなら「詰まる」方だと思うが、天才だからって万能じゃねえし、コイツの天才っぷりは何作品にも渡って読むものでは無いよ、とはこの作家の作品を読んでいつも思うことだ。文才とは何か?に対してなら、しっかりと応えてくれる作家。でも、それ以上の作家ではない。

第3回本屋大賞 7位:告白/町田康

category: ま行の作家

tag: OPEN 70点 町田康 本屋大賞

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