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文春文庫:武士道シックスティーン/誉田哲也

武士道
1.気剣体
2.長く構えましょう
3.兄の仇
4.それは般若ですか
5.兵法者
6.いい感じです
7.敵の正体
etc...

answer.――― 85 点

日本舞踊から剣道に転向した「柔」の早苗、剣道エリートの「剛」の香織、二人の起・承・転・結、これぞ「ィッポン!」な青春劇。生温い序盤はともかく、マジもんの≪剣キチ≫香織がよく分からないまま剣道を放り投げる(読者も巻き込まれる。ここからちょっとしたミステリーが始まる)、「転」開は面白いの一言。思春期、一回真面目に悩むべきだったわ~!と後悔が後引く、読後の清涼感が素晴らしい。ところで、序盤から妙な色気を放っていた先輩・河合さん。彼女が聖母から魔性に変わる一行ほどのエピソードは小説のダイナミズムが凝縮されていて、個人的に痛快だった。

文春文庫:武士道シックスティーン/誉田哲也 (2007年)

category: は行の作家

tag: OPEN 80点 誉田哲也

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第19回ファンタジア大賞 準入選:量産型はダテじゃない!/柳実冬貴

量産型は伊達じゃない!
1.空の伝説
2.低コストが売りです。
3.赤の英雄、紫の使者
4.そして、緑の凡人
5.アンリミテッド!
6.量産型はダテじゃない!

answer.――― 70 点

クライマックスを前にしての感想は、勿体ねえな、と。本作の概要は、最新型ヒューマノイドであるアルティメットドール(通称UD)の英雄・シュナイダーに新型パーツを届けるべく、天才科学者ヘキサ(14/♀)はヘタレ中佐アインツヴァー率いるオンボロ戦艦に乗り込り込むも敵艦に撃墜され、辿り着いた砂漠の先で見つけたものは……、というもの。さっそくの冒頭、シャア・アズナブル×量産型=3倍なネタを放り込まれて、悪い意味での想定通りにげんなりとさせられた―――が、しかし!コミカルな表題、コミカルな表紙に忌避感持つ勿れ。本作は読み手の先入観を見事に裏切る硬派な一作。―――己の不幸を笑って懐古出来るロボット。誰しも文化人を気取れるこの時代、そんな一言を送れば皆さまには本作の魅力が伝わることでしょう。逃避行の最中、「緑の凡人」ナンブが語る己たちに降り注いだ悲劇は、ロボットだからこそのリリカルが在る秀逸なモノで、続く新型勢のシュナイダー&ヴァイオレット、コメディが消え始めて「悲しいけどこれ戦争なのよね」にスイッチしても違和感を感じられない。と云うことは、……このヘタクソ!!と著者のよりにもよってな序盤の構成ミスを罵倒したくなる。クライマックスを前にして確信する本作の構造的欠陥に著者が気づけなかったことを嘆きたくなる。……(きっと)面白かったのに。構成ミスの発端(実は見開きのイラストの影響も多分にある)は、始まりをヘキサたちに任せたことだろう。これが読者に「コメディ」という誤った先入観を植え付けてしまった。本作は量産型のナンブ(の孤独)から始めるべきで、「起」の精査が不十分だったと言わざるを得ない。そうして、上述の―――が、しかし!の盛り返すよもやの中盤から「やってきました、最終決戦!量産型vs新型!ナンブ、腕はもがれの大苦戦!しかし、善戦!善戦しています!あっ、ナンブが大破!大破!しかし、ヘキサが駆け寄った!無理か!?無理なのか!?いや、直った!直った!ナンブ、再び立ち上がった!」、……そんな訪れる「熱い」クライマックスは苦虫を噛み潰したくなる展開だろう。描けていないからではない、描けている故に構造的欠陥が浮き彫りとなっていくのだ。八百長とプロレスは同じようで全く違う。ライトノベラーはピーターパンだ、プロレスが大好きだ。だからプロレスには声を上げるし、涙も流す。でも、だからこそ……「読めない」展開はプロレス、「読めてしまう」展開は八百長と解釈して、たとえ同じ着地点でも評価の明暗をくっきりと分けてしまう。量産型ならば量産型らしい戦い方があるはずだ。きっとガンダムが好きなんだろうから『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』も観たことがあるだろう。風船でも飛ばしてみろって。真っ正面からぶつかってどうして勝てるのよ?と不満はあるにせよ、ライトノベル感溢れる作品で、ロボット好きな方々は絶品の中盤―――己の不幸を笑って懐古出来るロボット「ナンブ」を要チェックだ!

第19回ファンタジア大賞 準入選:量産型はダテじゃない!/柳実冬貴

category: や行の作家

tag: ファンタジア大賞準入選(金賞) OPEN 70点 柳実冬貴

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第19回ファンタジア大賞 佳作:沙の園に唄って/手島史詞

沙の園に唄って
1.讃歌 
2.森の魔女 
3.神子の騎士 
4.灰色の乙女 
5.青の賢者
6.歪曲の災厄
7.災いの箱
8.鎮魂歌

answer.――― 61 点

「―――二十九鳴る真名が一片よ。我は詠い誘い、基は舞い踊る―――」 編集作業をしながら、口ずさんでしまいました……とは、相変わらず、やらかしてくれる編集部の<解説>である。絶対に口ずさんでないとはいえ、うっかりそんな冗談を書いてしまえるところに背筋もこわごわと凍る。しかし、呪文の詠唱それ自体はともかく、本作のセールスポイントに<魔法>が関わってくるのは間違いない。三年前に起きた故郷の「消失」事件より居場所も記憶も失い、“森の魔女”と恐れられながら生きてきた少女リッカが、百年に一度の英雄祭に沸くルチルの街で行き倒れたことで動き出すストーリー。穏やかでない過去、あれよあれよと覚えていく魔法、目覚めれば灰色へと染まった髪、記憶の喪失……冒頭の呪文の詠唱からも想像出来る通り、作風としては10年以上前のスタイル。これを「旧き良き……」と捉えられるかどうか。富士見ファンタジア文庫の凄いところは、是非とはともかく、こういう時代にそぐわない作品を受賞させるところだ。もっとも、最近はライトノベルの新興レーベルの勢いに胡坐を掻いていられなくなり、この手の作品はもう受賞させないだろう。そもそも、感想として「無難……」という評価にギリギリ届くか届かないかで議論出来てしまう本作が受賞するのも変な話だ。文章こそ無難だが、ネット小説で連載してても果たして人気が出るかな?ヒロインの自然体の天然は今では珍しいので好感を抱ける。しかし「旧き良き」を求めて本作を読むなら、同じ佳作である第18回の受賞作『黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで』を選ぶのがベター。出来は雲泥(タイトル的に「沙」のほうが良いかしら?)の差です。

第19回ファンタジア大賞 佳作:沙の園に唄って/手島史詞

category: た行の作家

tag: ファンタジア大賞佳作 OPEN 60点 手島史詞

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Libertad/Velvet Revolver (2007)


1. Let It Roll
2. She Mine
3. Get Out The Door
4. She Builds Quick Machines
5. The Last Fight
6. Pills, Demons & Etc.
7. American Man
8. Mary Mary
9. Just Sixteen
10. Can't Get It Out Of My Head
11. For A Brother
12. Spay
13. Gravedancer

Price Check.――― ¥ 200

きっと、この作品はスコット・ウェイランド(Vo.)が主導したんだろう。捻りのないパンク的アプローチが目立った前作から一転、ミドルテンポの曲調が増えた本作はStone Temple Pilotsのデビュー以来、スコットが信頼寄せるブレンダン・オブライエンをプロデューサーに迎えた骨太な一作。オープニングを飾る①こそ前作を踏襲したかのような凡百ソングだが、③から⑤と立て続くシングル群はスコットのヴォーカル映えるグルーヴ重視の曲で、ようやくバンドが<Feat. Scott Weiland>状態から脱却したことを確認出来る。⑤はRolling Stone誌で” the 100 Best Songs of 2007”に選出されているが、これはやや大袈裟な印象。もっとも同曲が前作にはない新機軸なのは事実で、バンドの看板ギタリストであるスラッシュの押し殺したギタープレイが何とも象徴的。全体的に小技を利かせたアレンジが多く、表題からしてマチスモな⑦ではカスタネットで拍を付けてくる。Electric Light Orchestraのカバー⑩は百戦錬磨のメンバーらしい遊び心が満載で、ギターソロに入った瞬間、それまでの愛を込めたノスタルジーを吹き飛ばす暑苦しいスラッシュのプレイには思わず笑ってしまった。良質なハードロック作品だが、リリースから間もなくスコット・ウェイランドの素行不良からバンドは活動停止の憂き目に。そこからスコットが脱退の道を辿ったのは、メンバー同士のエゴのぶつかり合いのためとのこと。ぶっちゃけ、スコットからすると、元GN'R組のソングライティングの能力が足りなかったんだろうね。

Libertad/Velvet Revolver (2007)

category: V-Z

tag: MUSIC 250円

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