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SD文庫:りっぱな部員になる方法。 2)マジカルミステリーツアーへようこそ/午前三時五分

りっぱ2
1.プロローグ
2.ステージまで あと?日
3.ステージまで あと15日
4.ステージまで あと14~3日
5.ステージまで あと1日
6.ステージまで あと0日
7.幕間
8.第二幕 ステージまで あと-7日
etc...

answer.――― 71 点

怪奇現象を否定することを活動目的にしている、世も末な尽夜野学園のミステリー研究部。前作から正式な部員となった主人公・久瀬守は今日もメジャーを片手に、学園に巣食う七不思議を調べていた。前作で事実上の主役だったミス研の部長・玉露園幸美の圧倒的なまでの存在感は本作に無い。代わりに、その陰に隠れてしまっていた主人公とヒロイン、うぶな新入生コンビが「らしく」台頭。七不思議なイヴェントを通し、こそばゆい青春のステップを踏んで、りっぱな物語への主役―――その過程を歩んでいる。読者の望んでいた通りの成長譚は、作者にも当て嵌まるようで、廃部寸前の奇術研を助ける、というミッションを挟んだ本作は俯瞰的に見れば変態的構成で、冒頭と繋がるまさかの第二幕の開演はほぼ平坦なストーリーだった前作には無い、一作で二度美味しい展開だった。エピローグ前の四頁に渡る台詞続きなんて、普通なら手抜きと見做して罵倒するところだが、むしろ巧いと唸ったからね。前作で勝手に見てみた作品としての可能性に想定以上に応えてくれた仕上がり。個人的には、一巻なんぞ飛ばして本作から読むことを推奨したい。いわゆる<隠れた良作>に数えられそうなクオリティを持ってきたが、調べてみれば、どうやら打ち切り臭い……SD文庫、こういうのがあるから嫌なんだよ。ホップ、ステップと来たんだから、集英社ならジャンプくらいさせてやれよ。続編、本当に出ないのかな?

SD文庫:りっぱな部員になる方法。2)マジカルミステリーツアーへようこそ/午前三時五分 (2008) 【推薦】

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 午前三時五分 推薦

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電撃文庫:ロミオの災難/来楽零

ロミオの災難
これは
一冊の台本より
始まった
恋をめぐる
ちょっと
怖い物語。

answer.――― 72 点

第12回電撃小説大賞<金賞>受賞作『哀しみキメラ』でのデビュー後、著者にとって初となる単発の書き下ろし作品。その内容は表題から察せられる通り、シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を用いたハイスクール・ミステリー。古典の名作を拝借するアイディアは、野村美月の代表作『文学少女』シリーズを想起させるが、出版時期から鑑みても、あながち邪推とまでは言い切れないだろう。肝心の内容は、―――大胆さに欠けながらも、本家と比して無下に扱き下ろされないクオリティー。概要としては、演劇部の面々が『ロミオとジュリエット』の脚本を見つけたことから始まる「憑依」ミステリーで、唐突に女も男(笑)も主人公に惚れるハーレム展開はそのまま受け取ればコメディにも映るはずだが、著者の高い筆力によって主人公の戸惑いが終始しっかりと根付き、安易な<恋愛>を許さないのが素晴らしい。この恋は自分のモノなのか、他人のモノなのか。登場人物はクライマックスである文化祭、その劇の終わりまで戦うことになる。コメディタッチに半ば命を賭けた劇の出来はもちろんだが、何気に秀逸なのはその劇の<準備>だろう。劇の演出を協議する場面は場面としてとても新鮮で、作家としての仕事点が高い。惜しむらくは展開の起伏が少ないために冗長に感じてしまう点、そして、主人公の謎の一人称。この主人公、台詞は「俺」とし、地の文は「僕」としている。仕掛けなんだとばかりに期待していたら、どうやら特に意味は無いようだ。これが非常に残念。主人公自身、無意識下で乗っ取られている感覚があった、と言及しているのだから、この仕掛けを通じて意識「化」して欲しかった。しかし、それを差し引いても、良質なライトノベルには違いない。演劇を題材している物珍しさも含め、ライトノベルというジャンルに貢献している一作。良いと思います。

電撃文庫:ロミオの災難/来楽零 (2008)

category: ら行の作家

tag: OPEN 70点 来楽零

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