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第4回MF文庫Jライトノベル新人賞 優秀賞:ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート/森田季節

ベネズエラビター
1.狙いはいつもそう、私ばかり
2.千回死んでめぐりあうチャンスもあるの
3.お前が十を奪うなら私は百の命をもって
4.何度でも殺したらいい 何度でも甦るから

answer.――― 63 点

殺されるためだけに存在する「イケニエビト」の少女、人の記憶を食らう「タマシイビト」からの逃避行!という概要の本作は、GA文庫、星海社FICTIONS、ファミ通文庫……と各レーベルを股に掛け、寿司チェーン店「すしざんまい」のポーズで“京都大学”卒業をアピールしてそうな“豊穣”森田季節のデビュー作。とりあえず、「神様、人はケーキの飢えをじゃがいもで満たせるでしょうか」というフレーズから察せられるように、ユニセックスな文章が目に留まるが、これを《文才》と推すにはややと云わず不安定で、そんな文章で心内を綴るキャラクターへの拒否感から読み手の読書を妨げている悪循環は明確な改善点だろう。作中、時間軸が「飛ぶ」のも、ソレと理解していても不安定な文体では集中力を強いられて不快感を伴う。それでも、各章で「転」を心掛けているのは殊勝で、この手のストーリーで《お約束》的「喪失」で幕を開ける4章は作品として整えてきた印象。ただ、将来性は買えるが、それ以上でもないデビュー作らしいデビュー作。後続作品でファンになったなら、……買い、かな?「作品を買う」というよりも、「作家を買う」類の作品だ。時に表紙でヒロインがギターを構えているように本作、作中で「歌詞」が披露される。これは本作にかぎったことではないのだが、小説で俺(私)の歌詞を載せよう!なんて素晴らしいアイディアが閃いてしまった際、 「鏡」として花村萬月のデビュー作『ゴッド・ブレイス物語』を薦めたい。「花村満月、鼻毛が出てるわw」と思ったら、君も鼻毛が出ているので注意が必要だ。

第4回MF文庫Jライトノベル新人賞 優秀賞:ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート/森田季節

category: ま行の作家

tag: MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞 OPEN 60点 森田季節

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第4回MF文庫Jライトノベル新人賞 佳作:やってきたよ、ドルイドさん!/志瑞祐

やってきたよ、ドルイドさん

answer.――― 61 点

以前、ブログでの配点について訊かれたことがあったが、加点式、減点式と必ずしも一貫はしていないし、その時々の基準としか言いようがない……が、例えば本作の冒頭の8行、ここで一度「65」点を付ける。本作の概要は金髪碧眼、美少女ドルイドの転校生がやって来ての騒動。上述の通り、著者が冒頭のわずか8行で読み手に対し、本作をどういう風に読めば良いのかを提示、把握させ、「クマーッ!?」と期待のハードルさえ下げさせているのが素晴らしい。いつぞやアイタタタタ……なラノベ作家の何某が「1行読めば……」というトンデモなつぶやきで叩かれていたが、一行、一節、一章といった意図した《一呼吸》で作家としての実力が量れることは事実、ある。本作の冒頭はその好例に挙げられるだろう。さて、期待せずに読め、という著者の訓示は見事に伝わったものの、しかし、その後は訓示通りの登場人物のテンション芸で小気味良く攻めるも展開に厚みが足りず、いささか想定「65」点より下回ってFin.を迎える。「楽」を醸し出せたのだからこそ、ストーリーはもっと真面目に「哀」なりを色濃く押し出しても良かったんじゃねえかな、と。「哀」まで「楽」にしてしまうことはない。著者的には「ブラックサンダー」を作ったつもりだったかもしれないが、残念ながら、これでは「5円チョコ」だろう。この齟齬は案外、デカい。しかし、本作の冒頭の8行はスパイス・ボーイズ&ガールズ(ワナビ―)にはMF文庫Jオフィシャルウェブサイトで【立ち読み】する価値があるのは間違いない。期待のハードルを下げさせる、……「巧くない」なら、まずはこんな「上手い」があることを知ろう。

第4回MF文庫Jライトノベル新人賞 佳作:やってきたよ、ドルイドさん!/志瑞祐

category: さ行の作家

tag: MF文庫Jライトノベル新人賞佳作 OPEN 60点 志瑞祐

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第20回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語/中村弦

天使の歩廊
1.-明治十四年-
2.冬の陽
3.鹿鳴館の絵
4.ラビリンス逍遥
5.製図室の夜
6.天界の都
7.忘れ川
8.-昭和七年-

answer.――― 67 点

本作、ストーリーが面白いかの是非を問われるとしたならば、私は<非>の判定を出す。ファンタジーノベル大賞への投稿作、そして、その<大賞>作なのだからファンタジーが出てくるのは当然としても、本作でのファンタジー要素は中核に配してはいけないご都合的な役割を担っているからだ。興が冷める、断じてしまえばそんなところだ。それでも、セールスポイントだろう作中に登場する<建築物>にはやはり興味を引かれる。本作は、タイトルにあるように異端の才能を持つ建築家・笠井泉二をめぐる物語。連作短編の形を取っており、始まりである「冬の陽」では青年期、次章「鹿鳴館の絵」では幼年期、再び(本人は登場しない)青年期となり、次は学生期……と、章ごとに時間軸をそれぞれ変えているのが珍しい。建築家自身の視点は無く、この点で謎の人物としての演出は出来ている。ただ、短編ならでは歯切れの良さが無いのが作品としての致命的な欠点。オチにファンタジーを用意されると、おそらく著者が一番知恵を絞ったであろう建築物の構造美まで霞がかってしまう。何より、本作には設計図の挿し絵が欲しかった。それがあるだけで、<大賞>作としての格は示せたと思われる……残念!

第20回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語/中村弦

category: な行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞大賞 OPEN 60点 中村弦

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第20回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:彼女の知らない彼女/里見蘭

彼女の知らない彼女
1.刺繍とサイダー
2.菜の花が咲いていた
3.跳びます
4.その男、邪魔ものにつき
5.背を向けた言葉に
6.こんにちは
7.走りだしたら
8.縁は異なもの
9.高地で落ち込んで
10.はるかな、わたし

answer.――― 66 点

編集プロダクションに所属し、ライターとして映画、テレビドラマなどのノベライズを数多く執筆―――という経歴が示すように、ワナビあるあるなポッと出(ビュー)の出(ビューし)たとこ勝負で「I'll be back...」と沈んでいくのを嫌い、文字で禄を食みながら表舞台に立つ準備を整えてきたリアリストな著者が仕上げてきた本作は、並行世界からif......を成立させる青春譚。物語の概要は、マラソンの名選手な教え子が怪我をし、悲嘆に暮れたコーチが怪しい博士の開発した「パラレルトリッパー」なるデロリアン的いすゞ117クーペに乗って並行世界より代役のヒロインを連れて来て……と、ここから先はわざわざ語らずとも。ストーリー展開、アイディアに驚くものは無く、読みやすさを除けば、正味な話、本作は取り立てて誉める要素が無い凡作だ。暇潰しの選択肢に推すのもやや気が引けてしまう。しかしながらの、読み終わっての場外乱闘は本作の【選評】。いつもならば兎も逃げ出す勢いで弱い者イジメな評を突きつけてくる選考委員たちだが、弱みでも握られているのか?何やら勝手が180°違う。あの手この手で繰り広げられる異例のスタンディングオベーションに苦笑必至。凡作率100%の凡作な本作へ荒俣の狸はいやぁ「フツウ」と誉めて、ドメスティック井上バイオレンスもさあさあ「すらすら」と誉めて、小谷真理コスプレイヤーはもはや「人徳」と理解を超えて誉めて、椎名ネット・ミュージアム館長はとりあえず「量子物理学の入門書」を薦めながらも誉めて、リング光司は不覚にも「不覚にも」と誉めて、……何と言うか、ここは皆で(・∀・>)ゆりあピース!

第20回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:彼女の知らない彼女/里見蘭

category: さ行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 60点 里見蘭

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