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第15回電撃小説大賞 大賞:アクセル・ワールド 〈1〉黒雪姫の帰還/川原礫

アクセルワールド
(あらすじ)
どんなに時代が進んでも、この世から「いじめられっ子」は無くならない。デブな中学生・ハルユキもその一人だった。相変わらずの日常を過ごしていたハルユキだが、校内一の美貌と気品を持つ少女“黒雪姫”との出会いによって、彼の人生は、……!

answer.――― 78 点

本作の大賞受賞とほぼ同時という出来過ぎたタイミングで発表された、著者のWeb作家時代の代表作『ソードアート・オンライン(以下、SAO)』の文庫化決定……そこから本作の大賞受賞を「……政治が働いたな?」と千里を望む色眼鏡で見ていたが、いざ本作を読了してみれば、意見が180°変わった。二十近い受賞作全部を読んだわけではないのでまだ断言は出来ないが、本作、歴代の大賞受賞作で一番「完成度」が高いんじゃなかろうか?キャラクターの背景にせよ、物語の構成にせよ、近未来の世界観、綴る文章にせよ、どれも新人離れした貫録の仕事っぷりで、正直、Web上でアップされていた『SAO』を読んだ身、そして、巷の評価ほどに『SAO』を評価出来なかった身としては、本作の出来に驚くばかりだった。特に中盤の、主人公の吐露「あなたは…………あなたのことが嫌いなんでしょう?」はライトノベルでは珍しい文学チックな踏み込み方で、著者のライトノベルだけに留まらなそうな作家性に期待が持てた。続く次巻で評価をストン!と一度落とすようだが、本作で抱かせた期待の度合いが高かったのも関係なくはないだろう。何にせよ、序盤、中盤、終盤と隙無くプロフェッショナルなエンターテイメントを詰め込んだ一作。まさに、大賞の出来でした。

第15回電撃小説大賞 大賞:アクセル・ワールド 〈1〉黒雪姫の帰還/川原礫

category: か行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 70点 川原礫

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第15回電撃小説大賞 金賞:パララバ -Parallel lovers-/静月遠火

パララバ
1.プロローグ
2.その日 その時
3.その場所で
4.君に
5.であえなかった
6.ぼくらは
7.いつまでも
8.エピローグ

answer.――― 62 点

高畑‘第1回’京一郎への憧れをつづったあとがきからも分かるように、本作は名作『タイム・リープ あしたはきのう』とジャンルを共するSFミステリー。副題にある通り、パラレルワールドをモチーフにしている。あらすじとしては、事故死した恋人の通夜の晩、一本の電話が掛かってくる―――その相手は死んだはずの恋人、それだけで戸惑っているところに告げられたのは、「綾、死んだのはお前なんだ」というストーリー。この出だしに、おおっと!となる期待の鼓動は、頁が進む度に収まっていく。何が悪いのかと云えば諸々あるのだが、一番は何が謎なのか読者に分からないこと。もしくは、主人公たちが迫っていく謎に興味が湧かないことだ。プロローグの時点から、読者に何を期待させたいのかが著者自身、定まっていなかった感がある。安易に誉めたくないが、その点で憧れの高畑‘H2O’京一郎先生は巧みだ。あの手この手で好奇心をくすぐってくれる。「綾、死んだのはお前なんだ」、この台詞から読者が期待してしまったものは何か?章タイトルを繋げて、ひとつの文章にしている場合じゃないでしょうよ(ちなみに、プロローグとエピローグにはそれぞれ<あるいはおわり あるいははじまり>、<そしておわり あるいははじまり>という言葉が添えられている)。文章は整っていて読みやすい。期待し過ぎなければ、そこそこに楽しめる内容ではある。

第15回電撃小説大賞 金賞:パララバ -Parallel lovers-/静月遠火

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 60点 静月遠火

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第15回電撃小説大賞 銀賞:東京ヴァンパイア・ファイナンス/真藤順丈

東京ヴァンパイア・ファイナンス
(あらすじ)
“090金融”ヴァンパイア・ファイナンスは、超低金利で高額融資!都会のアンダーグラウンドで息する融資客がひしめきあい、狂騒するハードスケジュール群像劇の幕が上がる!

answer.――― 63 点

何かの間を埋めるように届く新人賞荒らしのNEWS―――08年から09年の間で新人賞を相次いで受賞!四冠達成!という鮮烈な話題を振りまいてのデビューはそれだけで宣伝効果は高いが、時を置いてみると、……文学賞、ホラー小説大賞、問題作『KAGEROU』でオチのついたポプラ社の賞のなか、電撃小説大賞<銀賞>というのはやや違和感が先行する。そうして、いざ本読了してみれば、やはり本作はライトノベルというよりも、大衆小説にカテゴライズされるべきなのが分かる。それは表題で「ヴァンパイア」とタイトルに持ち込みながら、ヴァンパイアが比喩としてしか登場しない点が象徴的だ。あらすじに群像劇と銘打っているように、複数の登場人物の視点によって進行していくストーリー。ライトノベルの群像劇と云えば『デュラララ!!』が挙げられるが、……まあ、比したところで結果は想像の通り。新人作家らしいというか、構成に難があり、しばらく頁を進めないと<物語が見えない>のはストレスが溜まった。良いか悪いかは置いておいて、『デュラララ!!』のようにデュラハンという分かり易いKEYキャラクターを用意するべきだったね。物語を楽しむというよりも、四冠を達成した新人作家の作品、として読むのが一番意義のある読み方だと思う。余談ですが、……あの人は今?的に紹介させて頂きますと、本作の著者・真藤順丈は現在、漫画『GANTZ』を原作にした小説を書いています。

第15回電撃小説大賞 銀賞:東京ヴァンパイア・ファイナンス/真藤順丈

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 60点 真藤順丈

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第15回電撃小説大賞 銀賞:ロウきゅーぶ!/蒼山サグ

ロウきゅーぶ
(あらすじ)
高校入学とともに部長のロリコン疑惑で部活を失った、県下屈指のバスケットマン・長谷川昴。ただでさえ小学生の話題はタブーなのに気づけばなぜか小学校女子バスケ部コーチに就任って……!?5人の個性的な少女たちの猛烈アピールに戸惑いながらも、それぞれの想いを守るため、昴はついに男を魅せる!!小学生の女子だって抱えている悩みは多いのです。

answer.――― 72 点

ロウきゅーぶ=籠球部=バスケットボール部―――表紙も表紙、主人公が小学校女子バスケ部コーチに就任する、という紹介文もあり、ロリですか、萌えですか、はあ、そうですか。と食傷気味に辟易するものの、いざその小学生たちがコーチ歓迎にコスプレしたメイド服を脱いでからは徐々に、そして、確実に切り替わっていく真面目なスポ根劇場。ラストに用意された男バスとの試合は、昨今、稀に見る<練られた>展開で拍手喝采となる。巷で語られているように、<萌え>系ならぬ、まさかの<燃え>系ライトノベル。バスケットボールと言うと、一億部突破したあの漫画がどうしても思い浮かぶが、本作もその影響が著者の意識、無意識関係なく感じられ、その辺を選考委員が指摘する<既視感>となるのは仕方のないところ。それでも、十分に熱い、―――面白い!と好印象が強く残っているのは間違いなく上述の通り、作中、一試合しかない試合がラストでしっかり弾けているから。前半はともすると平坦で、著者の高い文章力が無いと<退屈>と気づいてしまう危うさがある。しかし、―――<試合>だ。主人公が指揮官として、語り手として、見事な戦況を披露してくれている。頬を叩いて気合を入れ直す男バスのエースを称えるところなんてGJ!としか言いようがない。銀賞受賞作としては、名シリーズとなった『狼と香辛料』以来の拾い物だろう。ちなみに、ロウきゅーぶ、というタイトル。「籠球部」以外にも、様ざまな解釈が出来る何気に天晴れな名タイトルです。

第15回電撃小説大賞 銀賞:ロウきゅーぶ!/蒼山サグ

category: あ行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 70点 蒼山サグ

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第15回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:神のまにまに! カグツチ様の神芝居/山口幸三郎

神のまにまに
1.語り部誕生
2.精霊の里
3.女神狂宴
4.神詠 ~カミヨミ~

answer.――― 63 点

幼少より頭上に‘ヘッポコ’とすぐに呼ぶようになる可愛い神様に憑りつかれた主人公・品部人永(24)が、セクシーな上司に良いようにあしらわれながらも、「疲れた」と言い残して消えたやおろずの神様を探しに各所に向かう派遣型のストーリー。「あい!」「ドンマイ!」「ごー!」など単語しか喋れないヘッポコは人永の頭に乗るばかりで、これぞ!と指差したくなる愛すべきヘッポコ具合。選考委員が口を揃えて「秀逸」と賛辞を送る導入部は、そのヘッポコ様(←主人公以外、皆、敬意を払ってる)が話の中心に座しているからの高評価に他ならない。ここ数作、ライトノベルばかり読んでいるが、マスコットキャラとしては間違いなくMost Valuable Playerな存在感。しかし、やはり選評通りというか、マスコットであるヘッポコが中心でなくなる中盤以降は確かに失速し、大賞か?との思いを頭にかすめながらそのまま奨励賞へと評価を下げる、一口に惜しい作品。失速はするものの、ストーリーそれ自体は弱いワケではなく、「結」部分に関しては読者の先入観を逆手に取った〇を打ちたくなる良い仕事をしている。あの子河童がまさか、ね。ただ、やはり一章【語り部誕生】。ここはライトノベルながらクラシックなセンスに溢れ、「……いちいち洒落てるじゃねえか」と思わずニヤけてしまう出来なので、是非、その部分だけは!と薦めたくもなる。名曲が入っている凡作って感じだ。惜しい。

第15回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:神のまにまに! カグツチ様の神芝居/山口幸三郎

category: や行の作家

tag: 電撃小説大賞選考委員奨励賞 OPEN 60点 山口幸三郎

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