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第10回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:覇道鋼鉄テッカイオー/八針来夏

覇道鋼鉄テッカイオー
1.伝説の童貞
2.死の静寂
3.仇
4.墓前の同舟
5.仇敵との大空

answer.――― 63 点

えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ!と読んでいると阿波踊りでも踊りたくなるような描写過多にため息誘われる読む阿呆な本作は、やはりもやはり、「思いっきり推敲してください」「設定の嵐!」「しかしクドイ!」「改稿が必要だろう」「コミックにして読みたいと思った」など、選考委員より押し並べて「読みにくい」とのお墨付きを頂いた第10回スーパーダッシュ小説新人賞《大賞》受賞作。そのストーリーラインは、童貞のみが使える武術「童子神功」のうぶな継承者カザンとDynamiteなhoney!な美少女ルゥランが海賊より一人の姫君アルフェミナを助けたことで、それが彼ら因縁の敵対者「暗黒武侠」との衝突に繋がる、……というもの。上述の通り、読みにくい!文字数、半分にしろ!に尽きるのだが、それでも何故に《大賞》と文庫の顔に抜擢されたのかと云えば、意外なまでに作品としての骨組みは出来上がっているため。作中、童貞!童貞!と連呼され、巨大戦艦、ロボットがBAROOM!と出てくる確実にイロモノながらにシリアスがまかり通るのは、戦闘とともに適宜、カザン&ルゥランの過去背景を描いていく点にある。読み手は声にこそ出さないが、求めているのはキャラクターの《過去》であり、それを踏まえた上での現在(の物語)で、この点を著者は抜け目なく満たしているのが素晴らしい。隠し味的なアレンジは、本作がカザンではなく、事実上、ルゥラン―――ヒロインの物語である造りだろう。ここに、読みにくいのに妙に「読める」理由がある。……なんてそれらしく書いたが、結局、本作のメインディッシュは10頁に及ぶ唾液滴るディープキス、巨乳ヒロインに襲われる童貞の図(挿し絵有り)に間違いない。豊富な語彙を駆使して、押し引き巧みにR-15指定の描写を完遂。立ち読みをするなら、この部分でまず著者の力量を推し量ってみよう。個人的に、著者にはエロが映える設定で出直して欲しいところ。巨乳が扱えるライトノベル作家は貴重よ?

第10回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:覇道鋼鉄テッカイオー/八針来夏

category: は行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞大賞 OPEN 60点 八針来夏

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第10回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:くずばこに箒星/石原宙

くずばこに箒星
1.掃きだめに鶴
2.雉も鳴かずば撃たれまい
3.アンデスのハチドリ
4.足元から烏
5.鷲は鳩を孵さない

answer.――― 56 点

「タイトルに惹かれて」「イラストに惹かれて」のビビビッな一期一会、「古典だから」「有名だから」の下策はとりたくない百聞一見、「もしや……!」「これは……!」の財布から虎の子放り出す虎穴虎児、そして、「課金、課金」「神だから」のもはや惰性の延命措置と、人によって本への手の伸ばし方は様ざまだと思うが、私は基本的に一人の作家を追うことはなく、作家の「処女作」とその「代表作」しか読まないようにしている。「処女作」はその作家の端的な才能を求めて、代表作は世間体を意識して(デビュー作が処女作じゃねえんですけど<丶`∀´>に関しては、こう返すわ―――「処女作」は必ず出版される)。そんなこんなで世の中には読む時間が勿体無いくらいに本が溢れ過ぎている。もっと、しっかり選別しようぜ!と。さてさて、本作は記念すべき第10回スーパーダッシュ小説新人賞《大賞》受賞作。その概要は、テストの成績から日頃の行いまで採点する序列システム「グレードチェア制度」が特色の星了学園を舞台に、「No.2」に甘んじる裏のあるエリート・福山英知が“学園の屑”おそうじ部へ潜入し、……というもの。とりあえず、結論的に言えば、焦点が絞り切れていない情緒不安定なお花畑ライトノベル、……失格!なのだが、本作の続刊には興味が湧かないものの、著者の「次作」には期待したくなる作品となっている。というのも単純に語彙が豊富で、自作のフレーズも散見、要は作家としての《伸び代》を感じるからだ。ライトノベルの肝である台詞回しこそ改善して欲しいものの諸所で《化ける》資質を感じるが、一目で分かる厚顔な頁数の通り、取捨選択が出来ていない。結局、誰の「どんな」話なのか?これはごくシンプルな話のはずだ。ラストの「スターライトパレードさえ主人公に見せれば良い」ストーリー。変人揃いの上位席者、おそうじ部の面々さえも、本作に実は「要らない」。取捨選択するために、変えてはいけない部分を自覚しましょう。

第10回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:くずばこに箒星/石原宙

category: あ行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞大賞 OPEN 50点 石原宙

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第10回スーパーダッシュ小説新人賞 優秀賞:サカサマホウショウジョ/大澤誠

サカサマホウショウジョ
1.第一章
2.第二章
3.第三章
4.第四章
5.終章
6.巻末オマケ小説

answer.――― 64 点

魔法少女と云うと、―――例えば、『おジャ魔女どれみ』、『ふたりはプリキュア』、最近(?)では『魔法少女まどか☆マギカ』などアニメの専売特許なイメージがあるが、ライトノベルでは魔法少女らしい魔法少女―――変身系のkawaii(←AVメーカーではない)魔法少女な題材の代表作となると、何が挙がるのだろうか?ある日、魔法少女たちが住まう魔法国家まほろばがこの世界に現れた。そうして、親善大使として日本の学院に派遣されてくる魔法少女ゆうま(JS)は、世界征服をこっそり企む天然ドジっ子。―――さて、手始めにこの学院を征服ですの!と思ったら、この学院、レザー光線とかいきなり凄いですのー!という本作は、盟主無きライトノベルの魔法少女戦線に時流とともに投入された意欲作。一読しての印象は、「エロ」「猫」「天才」―――とライトノベルな要素を取り揃えながら消化していく、著者の如才無さ。そでの著者紹介での「子供向け作品のゆるさや大雑把さが大好きです」なる言葉も含め、なかなかにあざとい。本作は、魔法少女ゆうまを媒介に、彼女の居候先である高校生hentai科学者・山田、彼にゾッコンの幼馴染みの大太刀振るう退魔師・嵐の過去、そして、現在の関係を絡めた物語、そしてそして、本筋の「猫」となっているアンノンによる―――なんて、あらすじを書こうとすれば混線してしまうように、複数の物語を同時に進行&展開させ、処理出来ているのが素晴らしい。正味な話、「それだけ」なのだが、「それだけ」に著者には作家として可能性を感じる。複数の物語の同時進行&展開、そして、その処理―――これが出来る作家はなかなかいない。あとは、「質」だ。汗水掻いた作品にこそ「魂」が宿る。血反吐を吐けなんて言わない、ただ楽しようなんて思わず、真面目に創ってみよう。ところで個人的には著者、大衆小説のほうが向いてるんじゃねえかな?とも思う。……理由?そうね、こういうライトノベルを書いて投稿しちゃうところとかね。

第10回スーパーダッシュ小説新人賞 優秀賞:サカサマホウショウジョ/大澤誠

category: あ行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞(佳作) OPEN 60点 大澤誠

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第7回本屋大賞 1位:天地明察/冲方丁

天地明察
1.一瞥即解
2.算法勝負
3.北極出地
4.授時暦
5.改暦請願
6.天地明察

answer.――― 79 点

―――からん、ころん。これが本作で用意した著者お得意のオノマトペで、元は絵馬のぶつかる音であり、改暦という一大事業を行う主人公の頭で鳴る、袋小路から抜ける開闢の合図だ。ライトノベルを出自に持つ著者が挑んだこの時代小説は、江戸時代に実在した才人・渋川春海を主人公にした物語。知名度としては決して高くないこの人物を何故に題材にしたのかと云えば、その経歴を知れば自ずと分かる。渋川春海は囲碁棋士であり、天文暦学者であり、―――そして、神道家である。デビュー作より一貫して「和」テイストを盛り込む著者が興味を持ったのは必然だろう。本作においても、神道「長」豆知識が披露される。……正直な話、私は著者が好きではない。巷では歓迎されているようだが、知識の「見せびらかし」が多過ぎる。話の流れを堰き止めてでも披露したいらしく、時には本当にそれだけで終わる場合さえある。エゴイスト、それが私の冲方丁に抱く作家像だ。しかし、本作は本屋大賞を戴冠しているように力作には違いなく、「時代」小説らしからぬ工夫が随所に見て取れる。それが冒頭のオノマトペの仕掛けであり、挿し込まれる図形であり、作中で十年を超す時間経過だ。音をここまで演出専用に扱う小説は珍しいし、図形は題材の堅苦しさを紛らわせるイラスト的意味に取れる。やはり、作家として「巧い」と評価せざるを得ない。改暦というイマイチ大事なのか分からないイベントだが、徳川光圀公を始めとした有名人たちが渋川春海に関わることで相応の迫力を得、また、終盤で展開される幾多の挫折から学んだ綿密な下交渉は痛快の一言。チャンバラがなく、そんな「動」的な派手さに欠けるものの、「静」的な読み応えは十分な一作。ただ、個人的には、日本数学史上最高の英雄・関孝和視点からの物語のほうが面白かった気がしないでもない。まあ、関孝和は神道を嗜んでないからね。神道を語りたいわけだから、しょうがないか。

第7回本屋大賞 1位:天地明察/冲方丁

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 冲方丁 本屋大賞

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第7回本屋大賞 2位: 神様のカルテ/夏川草介

神様のカルテ
1.満天の星
2.門出の桜
3.月下の雪

answer.――― 69 点

カバーデザインが中村佑介だから推すの、いい加減、止めようや……と嘆きたくなる本作は、著者が現役の医師という異色の経歴と、それに見合った医師を主人公とした内容、何よりもカバーデザインが中村佑介だからウケた「しょうもない」一作。本作は基本、「面白くない」。これは間違いのない事実で、私のこの結論が批判にさらされるとしたら御門違いも良いところだ。しかし、幾らカバーデザインが中村佑介だからといって、……面白い!とうっかり勘違い出来てしまうのは、やはり著者自ら夏目漱石を引き合いに出してきたように、主人公のやや芝居がかった一人称にあるのだろう。故に、冒頭十頁も立ち読んで(……主人公のこの口調、何か面白いなぁ)と勘違い出来れば、中村佑介のカバーデザインの絶大な効果もあってうっかり楽しめるだろう。設定の工夫で誉めるなら、医者にも関わらずボロアパートに住んでいる点、冒頭早々に出世話が舞い込んでいる点が挙げられる。ただ、肝心の用意した章にはどこにも<ドラマ>が無い。アパートの住人の一人、いつまでも卒業しない大学生が何故いつまでも卒業しないのかなんて謎に誰が興味が湧く?アパートを用意したなら、アパートの暗黙のルールを紹介して楽しむのが創作上の常道だ。住人そのものに深入りするものではない。見掛けない設定として、若手主人公にも関わらず既婚者だと事実は面白かった。まあ、創作論は置いておいて、主人公の一人称を大前提で楽しめるかどうかが第一のリトマス試験紙となる作品。ストーリー自体は、「下」の領域だ。

第7回本屋大賞 2位: 神様のカルテ/夏川草介

category: な行の作家

tag: OPEN 60点 夏川草介 本屋大賞

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第7回本屋大賞 4位: 神去なあなあ日常/三浦しをん

神去なあなあ日常
1.ヨキという名の男
2.神去の神さま
3.夏は情熱
4.燃える山
5.神去なあなあ日常

answer.――― 72 点

現状、私に手放しで「巧い!」と唸らせる数少ない<文章力>を持つ作家・三浦しをん(と云っても、まだ『私が語りはじめた彼は』『風が強く吹いている』しか読んだことないのだが)―――本作でも主人公の手記といった前置きを活かした、「ま、おいおい説明する。」「おっと、これもまた別の機会に書こう。」等の後ろへ投げる節回しを用いて、私を唸らせた。もちろんこういう書き口が他の作家の作品に無いわけではない。しかし読書家の方はよくよく思い返して頂ければ共感して貰えると思うが、一度はあっても、二度も、三度もその手の節を使うのは珍しい。読書中、私はそんな奇手を見掛ける度に(゚з゚) ヒュゥ~♪と口笛である。もっとも、肝心のストーリーに関してはやや拍子抜けの出来に落ち着いている。本作は馴染み薄い『林業』にテーマを置いた作品。高校を卒業と同時に主人公は「なあなあ」が口癖の山奥は神去村に放り込まれ、戸惑いながら山仕事に従事するストーリーライン。テーマそれ自体は奇を衒っただけあって初耳の知識ばかりだったが、一目惚れ、神隠し、山火事……といった相応のイベントこそあれ、展開にイマイチ求心力が乏しいのが残念。私見だが、主人公は派手な女遊びでもすれば良かったと思う。閉鎖的な村にもかかわらず、村人が「まとも」過ぎるのだ。その癖、ちょっとしたファンタジーも当たり前のように起こる。神隠しのイベントあたりでは作品の雰囲気に『家守綺譚』に似た印象を持ったが、その割に、作品世界へ対して憧憬を抱けなかったのがこの作品の物足りなさを象徴する。まあ、終盤の大木ボブスレーのイベントは驚きこそないが、盛り上がり所には違いない。退屈なものでもないので、林業を垣間見るつもりでどうぞ。

第7回本屋大賞 4位:神去なあなあ日常/三浦しをん

category: ま行の作家

tag: OPEN 70点 三浦しをん

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第7回本屋大賞 5位:猫を抱いて象と泳ぐ/小川洋子

猫を抱いて象と泳ぐ
(あらすじ)
『博士の愛した数式』で数字の不思議、数式の美しさを小説にこめた著者が、こんどはチェスというゲームの不思議、棋譜の美しさをみごとに生かし、無垢な魂をもったひとりの少年の数奇な人生をせつなくも美しく描きあげました。“伝説のチェスプレーヤー”リトル・アリョーヒンの、ひそやかな奇跡を描き尽くした、せつなく、いとおしい、宝物のような長篇小説。

answer.――― 84 点

向き、不向き……職業やスポーツなど、様ざまなジャンルで用いられる言葉だが、文章にもそんな言葉が当て嵌まるときがあるように思う。そのあらすじだけで手に取りたくなる『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞しているように、文学畑出身の小川洋子が筆を執る本作は、チェスを題材にしたファンタジー。本作で私がもっとも心惹かれたのは、元より定評のある抒情性溢れる著者の文章。作中、チェスの動きを<詩>と説くのだが、こういう自らにハードルを課して、そこをしっかり飛び越えてくる作家としての気概は胸打たれる。チェスのルール、そもそもの勝敗の駆け引きは分からなくても、主人公の心内描写、その表現で楽しませるのは漫画『ヒカルの碁』に通じるものがある。ストーリーそれ自体は、純真な心を持つ内向的な主人公がチェスと出会い、ひっそりと続けていくなかで、汚れたチェスの世界に巻き込まれ、傷つき、それでも立ち直り、ひっそりと終わりを迎える……そんな美のための美を追求する耽美主義が根付いたようなもので、著者の文章が透明感を持って美醜織り交ぜた世界観を見事に表現。個人的には主人公がからくり人形リトル・アリョーヒンとなる中盤の展開は結果的には良しとも思えるが、ファンタジーに寄り過ぎた感もあった。もっとも、その山場である人間チェスでのミイラ投入は、思わず天を仰いでしまう哀しさながらも、作品としての仕事点は高い。感涙のシーンは、「あなたに初めてチェスを教えたのがどんな人物だったか、私にはよく分かりますよ」がブーメランとなって戻ってくる老婆令嬢との再会だろう。また、ラストでの愛するミイラとのすれ違いも、この作品を最後まで貫く「喪失」に相応しくどこまでも美しい。静かに、ただ静かに心洗われる一作。この文に、この設定―――おそらく、著者の最高傑作でしょう。【推薦】させて頂きます。

第7回本屋大賞 5位:猫を抱いて象と泳ぐ/小川洋子  【推薦】

category: あ行の作家

tag: OPEN 80点 推薦 小川洋子

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第7回本屋大賞 6位: ヘヴン/川上未映子

ヘヴン
それに第一、これはだれにだってできることだ。
目を閉じさえすればよい。
すると人生の向こう側だ。

―――セリーヌ 『夜の果てへの旅』

answer.――― 71 点

この著者に対してのイメージが悪いのは、さかのぼれば芥川賞受賞、そのTV出演でのあまりに「俗物」的対応だった気がする。(……何だ、この三十路女は?)と眉間に皺を寄せさせてくれた、妙に若ぶったその姿は、いずれ日本を代表する勘違い作家・吉本“私が人脈持ってる人間だとわからないの!?”ばななの後継者のように思えてならなかった。それが逆に興味を引いて読んでみたくもなったのだが、時は川の流れのように流れて―――運命の River! River! River!@AKB48である。さて、本作は<イジメ>を取り扱った作品。この手の作品は90年代半ばを境にずいぶんと量産され、誰の目にも目垢のついた題材となっているが、本作は取り立てて設定面での工夫は無いものの、意外なまでに剛健な文章で綴られているのが印象強い。散文的なフレーズで誤魔化そうとしていないところなんて好感さえ抱いた。ただ、―――で?と尋ねたくなるのは正味な話。文学は自分ではない“誰か”になって人生の追体験をするツールとして存在していると(私は)思うが、本作、自分ではない“誰か”になったとき、必ず生じるはずの「謎」が是と云って無い。何でこんな行動を?と首をひねりたくなる瞬間が……止めた、文学作品は読み込みが甘いと(^u^)クスクス!されてしまうのでこれ以上は恐くて書けねえや。エンターテイメント面からレヴューするなら、イジメられている者同士が心を通わせ、ラストではその交流さえイジメの対象になる……なんて展開は王道だけに、ヒロインの素っ裸の万歳アタックにサプライズは無かったが、その行為を「美しい」と思った主人公の反応がちょっとした工夫だ。まあ、こんな感じで、個人的には著者の文才を誉めたい凡作でした。

第7回本屋大賞 6位: ヘヴン/川上未映子

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 川上未映子

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第7回本屋大賞 7位:船に乗れ!/藤谷治

船に乗れ
1.合奏と協奏
2.独奏
3.合奏協奏曲

answer.――― 85 点

誰しも、挫折は経験しておいたほうが良い、なる趣旨の発言を目に耳にすることがあると思うが、そこで言及される挫折は立ち上がれる程度の「敗北」であって、まず「挫折」ではないのはご存知の通りだ。挫折とは、今後、数年、あるいは数十年、もしかすれば、一生「元に戻れない」、自己の喪失だ。それだから、挫折なんて間違っても望むものではない。しかしながら、万が一、挫折に遭ってしまったときのことを考えると、―――立ち直れず、人生の幕を引いてしまう怖さがある。危機管理の一環として挫折とは何なのか、「最低限」知っておかなければならない。挫折は経験しておいたほうが良い、もあながち間違っていないのだ。―――さて、ここに圧倒的敗北がある。本作は、チェロを専攻する高校生・津島サトルを主人公にした青春音楽小説、の形をした「挫折」追体験小説。これは思春期のうちに是非とも一読をお薦めしたい。否、思春期のうちに読まなければならない。挫折は早ければ早いほど、人を強く、思考を大人にしてくれるからだ。本作の読書中、そして、読了後の数日間、ウワアアアアアアアア(:.;゚;Д;゚;.:)ウワアアアアアアアア!!と反芻煩悶すれば、貴方「自身」は傷つかず「挫折」を追体験出来たことになる。本を読んで、これ程「実」になることはそうそうないだろう。「合奏と協奏」「独奏」「合奏協奏曲」と副題を課したボリュームある三部作だが、だからこそ丁寧に、その長さの分だけ、……10代では背負い切れない絶望を味わえる。津島サトルは第一志望の芸術高校に落ちながらも、しかし祖父が創始者である三流の新生学園大学付属音楽高校へ進学し、そこで「曲がりなりにも」なエリート街道を歩む。大人になったサトルが回顧する語り口は、当時の自分を世間知らずの中2病と認めるものだが、自身は貶しながらもそこそこの実力が提示されていく過程は心地良く、津島サトルが感情移入に足る主人公と認められるだろう。音楽小説だけあって専門用語が飛び交うが、ファッションとして塗している印象もあり、不快感は無い。何にせよ、ほろ甘い第1部を経過した、第2部以降は目を背けたくなる垂涎の出来。自棄になり、恩師を追い込む手前で過去の自身へ贈る警告は迫真だ。この「挫折」はやはり経験したほうが良い。【推薦】させて頂きます。全3部、合わせてのレヴューです。

第7回本屋大賞 7位:船に乗れ!/藤谷治  【推薦】

category: は行の作家

tag: OPEN 80点 藤谷治 推薦

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第7回本屋大賞 8位:植物図鑑/有川浩

植物図鑑
1.ヘクソカズラ
2.フキノトウ/フキ そしてツクシ
3.ノビル/セイヨウカラシナ
4.春の野花 - タンポポ/イヌガラシ/スカシタゴボウ
5.ワラビ/イタドリ
6.ユキノシタ/クレソン
7.ノイチゴ
etc...

answer.――― 55 点

有川浩が嫌いだ―――と前置いてみると、いつぞやの手前味噌の記事を思い出してしまったが、今回の「嫌いだ」には確たる理由がある。代表作となった『図書館戦争』以来、有川浩は手を抜いて書くことを覚えた。労せずに売れることに酔い始め、語彙は単調になり、題材への掘り下げはただでさえ無かったのに参考資料をその辺の漫画で済ませるようになり(注:あとがき参照)、挙げ句にはデビュー当初より賛否さえ分かれずに否を下されていた自己中極まりない「ベタ甘」を、「ほぉれ、お前らお望みの聖水(小便)だ!」とばかりにBukkakeてくる!ぎぃゃああああああああああああ!……取り乱した。本作は、「男の子に美少女が落ちてくるなら女の子にもイケメンが落ちてきて何が悪い!」という有川浩の「ベタ甘」路線の一作。概要は、「拾っちゃたら情が移るじゃない、このまま出ていかれたら、それでもう二度と会えない人になったら寂しいって思っちゃったんだから仕方ないじゃない!そのうえ人の胃袋までがっちりつかまえてさ!」と、まとめるのが面倒だったので台詞から抜粋させてもらったが、意訳すれば、拾ってきたイケメンに有川浩が「仕事疲れたぁ……」と甘えて、そのままパコパコパコパコ、パコパコパコパコする話です。文章も練られた跡がなく、台詞を馬鹿にするように頁に隙間なく並べてきたり、と読んでいるとまさに知らないオバサンに小便を浴びせ続けられる気分に陥る。もっとも本作の弁護を引き受ければ、ケイタイ小説サイトでの連載らしいので、文章云々のサボりは合法となる。何にせよ、読者を馬鹿にした一作。

第7回本屋大賞 8位:植物図鑑/有川浩

category: あ行の作家

tag: OPEN 50点 有川浩

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