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第17回電撃小説大賞 大賞:シロクロネクロ/多宇部貞人

シロクロネ
1.アナザー・デイに死ね
2.月のレイカー
3.ずっとハイ
4.デイライツの中で
5.世界はノット・イナフ
6.ノオ教授 
7.君の瞳がオンリー  
8.明日はネバー・ダイ

answer.――― 71 点

販促帯の裏面にて『とらドラ!』で名を馳せた竹宮ゆゆこ氏による、―――大賞のオーラ、ばりばりでした!なる推薦を受けている本作。しかし、その肝心の帯の表面には「死んでもいいから“えっち”したい!!!」とデカデカ書いてあるのだから、大賞とはいったい全体、何ぞや?と。置いて、電撃伝統の「萌え」路線へ大賞という冠を被って現れた本作へ集まるバッシングは凄まじいものがある。Amazonレヴューを開こうものなら、作者なら目を背けたくなるような集中砲火。平均評価★★★割れを起こしている作品なんてなかなか拝めるものでもない。ただ、読了してみればバッシングも納得、これは主人公が合うか合わないかに尽きる。性欲奉る独白、たて笛ならぬパンツをしゃぶる斬新な性癖―――終盤に展開されるドン引き最低の戦闘描写は仄かに歴史を薫らせ始めたライトノベル史においても稀に見ると言っていいだろう。戦闘描写が下手という意味ではない。マジで品位を欠くのである。ただ、この主人公像を許せば、<受賞するためにお約束を詰め込んだ>なる非難は一転、最高の誉め言葉に。カタコトしか喋れない敵役・岸谷瑠衣ちゃん、<お約束>のその散り際に感動である。自分の性癖を頭悪く下品に語れるor異性の脱ぎ立てのパンツをしゃぶれる……このどちらか一方でも心のうちで賛同出来るなら、本作を<大賞>作として十分楽しめることでしょう。人を選ぶという意味で、ファンタジア文庫の『中の下!』に似た雰囲気があるね。よりハードコアではあるけど。

第17回電撃小説大賞 大賞:シロクロネクロ/多宇部貞人

category: た行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 70点 多宇部貞人

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第17回電撃小説大賞 金賞:青春ラリアット!!/蝉川タカマル

青春ラリアット!!
プロローグ ミナギルチカラ
1.チキンと無愛想
2.レッツゴー三匹
3.フードファイター
4.君が好き
5.空に架かる虹のように
エピローグ スマイル/アゲイン

answer.――― 69 点
「文学ではない」という矛先を村上春樹の作品へ向ける理由として、登場人物たちの発せられる台詞が《日常》では有り得ない、というのがある。この観点で個人的に気になるのが、登場人物の台詞から判断される「ライトノベルではない」……というより、「ライトノベルらしい」台詞とは、―――さて、何ぞや?と。大衆小説とのクロスオーバー、そこからのボーダーレス化が進んでいる昨今のライトノベルだが、ライトノベルだからこそ映える台詞遣い、やり取りを《ライトノベル作家》を志す方々は矜持を持って突き詰めても良いと思う。とりあえず、―――「姑息亭チキン」。このフレーズを目の当たりにしたとき、思わず( ・з・)ヒュゥ~♪と口笛吹きますた。本作は、「バカの日本代表」月島の友人・宮本が、その月島にホの字の「根暗ドS少女」長瀬の恋路に付き合わされ、様ざまなピンチを迎えるコミカルな一作。兎にも角にも、台詞遣いが素晴らしい。文学はもちろん、大衆小説とも違う、まさに「ライトノベル」でこそ映えるセンスフルな台詞が躍る。その台詞に添える簡易な地の文、丁寧ながらも場面動く展開。これらの組み合わせには古参のライトノベラーならば、ある種の「懐かしさ」さえ感じるのではなかろうか。人間を描く《文学》、キャラクターを描く《ライトノベル》と漠たる区別をさせて貰えば、まさに「ライト」なキャラクターたちが陽性なピンチを迎え、騒いでいる。惜しむらくは、……カタルシスが無いこと。おそらく著者、ライトノベルをさして読まずに執筆してしまったのだろう。カタルシスとは何かについての考察の跡が無い。「面白い」のに何故、売れ切れないのか?それにはライトノベラーの心の闇を知るにかぎる。一解釈だけの「面白い」では駄目なのだ、ライトノベラーとは青い血を引く貴族なのだから。がしかし、平民の私は楽しめました。余談だが、3章「フードファイター」では大食い対決が執り行われるのだが、決して悪くない出来ながらも不満に思ってしまうのは、やっぱり『イリヤの空、UFOの夏』の影響だと思われる。何とも性質が悪い。

第17回電撃小説大賞 金賞:青春ラリアット!!/蝉川タカマル

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 60点 蝉川タカマル

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第17回電撃小説大賞 金賞:アイドライジング!/広沢サカキ

アイドライジング
1.バトルシンデレラ
2.ハニーマスタードトラップ
3.ビターデートトレイン
4.スイートナイト

answer.――― 61 点

「時は来た!それだけだ」 “破壊王”橋本真也が未だ存命ならばかつての名言を再び引用しただろうここは日本、現在はアイドル戦国時代!文化のガラパゴス諸島と化している我が神国NIPPONにおいて、Mangaと肩を並べる輸出文化はIdol に(私のなかで)決まりつつあるが、本作はそんな時流を読んだ電撃文庫がこれまたそんな時流を読んだ目端利く著者を拾い上げた末に出版されることとなった「アイドル」をテーマにした一作。ストーリーは各企業の科学技術の枠を集めて作られたバトルドレスに身を包み、アイドルたちが戦う「アイドライジング」に、田舎出身のヒロイン(モデル体型)が賞金を求めてよくも分からず参戦!といったものなのだが、アイドルを題材にした、……そこ以外に之と云った《買い》の要素が無い事実が何とも虚しい。それでもノーパンの疑惑さえ抱いてしまう表紙からも察せられる通り、イラストが露骨にエロい。イラストレーターはバトルドレスを読者のニーズに合わせて合法的に解釈している。仕事人である。著者自身もその辺は負けずにやり手であり、投稿作での“お約束”である風呂シーンをまさかの二度挿入。完全に購買層を原爆オナニーズにロックオンしている。とまあ、こんな感じで「読んで」楽しむよりも「観て」楽しむ造りになっている。著者、編集もメディアミックスを元より睨んで制作/授賞した作品。キャラクターはそこそこ上手く描けているので、巷で指摘されているように、作家の魂があったら性悪アイドルことハセガワ・オリンを最初から主人公にしただろうね。とりあえず、風呂シーンを二度挿し込んだワナビー根性を誉めたい。

第17回電撃小説大賞 金賞:アイドライジング!/広沢サカキ

category: は行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 60点 広沢サカキ このライトノベルがすごい!

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第17回電撃小説大賞 銀賞:はたらく魔王さま!/和ヶ原聡司

はたらく魔王さま!
1.魔王、生活のために労働に励む
2.魔王、新宿で後輩とデートする
3.魔王と勇者、笹塚に立つ

answer.――― 72 点
電撃小説大賞は《大賞》より、《金賞》より、《銀賞》のほうが面白い!と誰が言い始めたのかは定かでないが、この第17回より以前の《銀賞》受賞作をさかのぼると、目ぼしいところで、忘れちゃ困る『ウィザーズ・ブレイン』、ああアレか『先輩とぼく』、大本命『狼と香辛料』、萌え燃えキュン『ロウきゅーぶ!』と挙げられるが、概して通説は二例で実しやかにささやかれ、三例と数えられれば定説の如く謳われるもの。『狼と香辛料』、『ロウきゅーぶ!』とリーチが掛かってきたところで、本作『はたらく魔王さま!』の登場が本稿冒頭の言葉に鬼の首を獲ったかのような快哉をつけたのだと思う。ストーリーラインは、勇者に追い詰められた魔王が逃げた先はここ、現代NIPPON!頼りの魔力は失われ、生きていくためにはまずアルバイト!ここから、……正社員を目指すぞ!といったもの。三章仕立ての構成で、第1章は魔王とその従僕の《日常》を描いている。これがファーストフード店の接客&豆知識を絡めた実にコミカル且つ丁寧な出来で、魔王たちの現状、その紹介がてら読み手を作品世界に馴染ませてくれる。この第1章は展開も起伏に富み、好意寄せる後輩、因縁の女勇者の投入、何より章〆め間際のシリアスに、そして、ミステリアスに危機を迎え、先を「予告」させる演出が素晴らしい。流石のヒット作!と唸らされたところで、そこから先の展開を期待していると、第2章以降は「転」あれど、いわゆる想定通りで拍子抜けするものの、設定とキャラクターのギャップ、ナンダカンダの善性を楽しむものと思えば不満はない。ちょうどファンタジー求める時流もあってやや過大な評価を受けたようにも映るが、諸所に隙間突くライトノベル作家の素養を見せているので、今後も信頼おけるキャリアを築いて、良い中堅作家になってくれることでしょう。良作。

第17回電撃小説大賞 銀賞:はたらく魔王さま!/和ヶ原聡司

category: わ行&数字の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 70点 和ヶ原聡司 このライトノベルがすごい!

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第17回電撃小説大賞 銀賞:アンチリテラルの数秘術/兎月山羊

アンチリテラルの数秘術師
1.プロローグ
2.デルタtは願う
3.コペンハーゲンの怪人
4.世を満たすスカラー
5.無限の孤独
6.ゼロパーセントの夜
7.エピローグ

answer.――― 60 点

作者に贈りたい言葉は「書き過ぎ」、この一言に尽きる。物語の核と云える怪人「赤帽子」の本格的な登場(P71)まで、不要な場面、不要な設定が目につく。東京内戦、と数年前より局地的な終末が生じた状況に登場人物を置くのは良いが、そこに興味が向くようにシナリオを立てなければ意味が無い。改行多い70Pと文字を詰め込んだ70Pではストレスの負荷も違ってくる。東京内戦という事象については、そのフレーズだけで良かったと思う。置いて、その怪人「赤帽子」の登場からはなかなかに読ませてくれる本作。<数字>をキーワードに展開されるバトルは、トンデモ設定(ex.隕石を落とす等)ながらに楽しめた。巷のおおよその見解として、次巻以降―――と様子見になるのは、このバトルの工夫とベタながら兄妹のストーリーをまとめた点にあると思う。コンパクトにまとめる意識を持てれば、普通に面白くなるんじゃないの?個人的には、連続ピストル自殺事件のような不自然な怪異を解決する方向(探偵もの)に行って欲しいが、きっと本巻の流れを汲んでの国家の綱引きを交えた大風呂敷なストーリーなんだろうね。

第17回電撃小説大賞 銀賞:アンチリテラルの数秘術/兎月山羊

category: あ行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 60点 兎月山羊

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