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2011年11月のレヴュー更新(まとめ)

土日更新の予定だったが、Twitterで交流しているうちに「空の境界」を急遽仕上げてアップしてみた。書いてみて思ったが、さらりと書くためにも「辞典」の必要性を改めて感じた。今月はライトノベルに関しては三大レーベル以外の受賞作もレヴューし始めた。また、「イリヤの空、UFOの夏/秋山瑞人」を扱ったあたりからアクセスが若干増えた。さすがライトノベル界のJOKER、その存在感は伊達じゃない。来月も土日更新の予定。“闇のカリスマ”片山憲太郎のレヴューに乞うご期待。その際は、湘南乃風の「湘南乃風~ラガパレード~」収録「極東のCHAMPION feat. MSC」を是非拝聴してからお読み頂きたい―――ドカドカ!ボコボコ!やっちゃえ!やっちゃえ!

●電撃小説大賞●
第7回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:天剣王器 dual lord reversion/海羽超史郎

●スーパーダッシュ小説新人賞●
第4回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:戦う司書と恋する爆弾/山形石雄
第5回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:黄色い花の紅/アサウラ

●GA文庫大賞●
第1回GA文庫大賞 優秀賞:這いよれ!ニャル子さん/逢空万太

●本屋大賞●
第3回本屋大賞 3位:死神の精度/伊坂幸太郎
第2回本屋大賞 10位:そのときは彼によろしく/市川拓司

●相互リンク●
相互リンク・その14

●受賞作以外のライトノベル●
講談社文庫:空の境界/奈須きのこ
電撃文庫:イリヤの空、UFOの夏/秋山瑞人
電撃文庫:猫の地球儀/秋山瑞人

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category: 更新情報

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講談社文庫:空の境界/奈須きのこ

空の境界
(上巻)
1.俯瞰風景 Fujoh Kirie
2.殺人考察(前)Ryohgi Siki
3.痛覚残留 Asagami Fujino
(中巻)
1.伽藍の洞 「 」
2.境界式
3.矛盾螺旋 Enjoh Tomoe
(下巻)
1.忘却録音 Kurogiri Satuki
2.境界式
3.殺人考察(後) Sirazumi Rie
4.空の境界

answer.――― 85 点

奈須きのこを語る場合、直喩と隠喩……比喩に比喩を重ねる独特の文体について言及しないことには始まらない。殊更、<造語>の凄味を取り上げられる著者だが、んなのは厨二病罹患者のアレルギー反応だ。即刻、近所のDr.マシリトにキャラメルマン4号に改造してもらいなさい―――(キーン!でございまぁーす!!)。さて、比喩に比喩を重ねる。これがいったい全体、どういう意味を持つのか?と云えば、ぶっちゃけ、意味を為さない。そもそも比喩とは<騙し>のテクニックの一種で、<無いものを在るように>置き換える手段のひとつだ。「君は黄金の左を持っている!」「彼女は薔薇のような女さ」など、よくよく考えてみれば、その内容はこちらが類推するしかない。それでも通じる。通じてしまうところに妙技がある。その妙技を重ねたのが、比喩の錬金術師―――奈須きのこである。一例をコメント欄にて添付しておくが、ご覧の通りだ。その言葉遣いは詩情豊かとも云える。本来、比喩を重ねると意味がぼやけるだけで文章として機能しないものだが、奈須きのこはその機能美を損なわない限界を攻めながら、読者を意味のぼやけた倒錯の世界へと誘う……そこに待つのは<死の線>、そして、<ナイフ>である。二年間の昏睡から目覚めた両儀式が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を見ることの出来る“直死の魔眼”―――。一章につき一人以上の怪死伴う本作は、もはや伝説となった同人小説から出発し、“新伝綺ムーヴメント”を打ち立てた歴史的傑作(作品紹介参照)。“新伝綺”云々は講談社が自作自演で謳っているだけだが、伝説の件(くだり)はあながちと言わず、本当である。事実、おそらく“売り、……殺す!”と怨念を込めて本作を改訂したと思われるヴィジュアルノベル『月姫』(18禁)は同人活動を、アンダーグラウンドをある種の<ブランド>へと押し上げた。その辺の詳細はWikipediaに任せるとして、本当の問題は本作(及び『月姫』)によって、ヲタクと呼ばれるピーターパンたちにナイフを買いに奔らせたことにある。これは十分以上に禁固刑に値する。私は奈須きのこを乙一西尾維新と合わせて<三大犯罪者>などと冗談半分に括っているが、冗談じゃない半分はすべて奈須きのこ一人が担っていると言っても過言ではない。本作は間違いなく発禁書である、それ程に<格好良い>。詰まるところ、そこへ帰結する。何故に同人小説が出版社に「是非、うちで出版を!」と頭を垂らさせるほどに人気を得たのか?ピーターパンたちがナイフを買いに奔ってしまったのか?昔の人が騎士に、侍に憧れた理由と同じなのだ。本作は家で夢見るピーターパンが求める現実的な<格好良さ>が詰め込まれた小説。冒頭に言及したように、奈須きのこの文体は非常にユニーク。その点だけを鑑みても一読する価値はあるだろう。00年代以降の作家たちにとっての実質的なマイルストーン。

講談社文庫:空の境界/奈須きのこ (2004)

category: な行の作家

tag: OPEN 80点 奈須きのこ 三大犯罪者

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