ナマクラ!Reviews

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2012年05月のレヴュー更新(まとめ)

今月はひらすら【音楽:価格一覧】を更新し続けました……というのも、以前のブログで書き溜めていたものが多く、あんまり苦労せずに更新出来るのがポイントでして。持っているだけでろくに聴かない作品も多々あり、これを機会に聴き直しています(川本真琴なんて通して聴いたの久しぶりだったよ……)。また、今月は禁断の文学レヴューに突入。Twitter上でよく構ってくれる前川麻子さんには踏ん切りつけさせてくれて、有難う!とお礼をここで述べさせていただきます。ちなみに、今月の「ええ記事書けたなぁ」自画自讃賞は、「Live at Reading/Nirvana (2009)」。ここでの観客のあまりに気持ち悪いパフォーマンスに気づいた、己の高校生並みの英語力(TOEIC/450点/推定)が素晴らしい。また、こっそりブログ上部に【作家一覧】を制作。ただ今、編集中です。来月は引き続き【小説新潮長編小説新人賞】、再び【本屋大賞】を更新予定。乞うご期待。

●GA文庫大賞●
第3回GA文庫大賞 奨励賞:ブラパン!/笠原曠野

●MF文庫Jライトノベル新人賞●
第7回MF文庫Jライトノベル新人賞 最優秀賞:豚は飛んでもただの豚?/涼木行

●小学館ライトノベル大賞●
第5回小学館ライトノベル大賞(ガガガ文庫部門) 優秀賞:キミとは致命的なズレがある/赤月カケヤ

●小説新潮長編小説新人賞●
第4回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:居酒屋野郎ナニワブシ/秋山鉄
第3回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:手紙 The Song is Over/佐浦文香
第2回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:決闘ワルツ/秋月煌
第1回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:あなたへの贈り物/和泉ひろみ
第6回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:鞄屋の娘/前川麻子

●アーティスト一覧●
BLANKEY JET CITY
Cheap Trick
hide
Muse
Nirvana
Pearl Jam
Radiohead
RIZE
Slash
supercell
Velvet Revolver
坂本真綾

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category: 更新情報

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第4回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:居酒屋野郎ナニワブシ/秋山鉄

居酒屋野郎ナニワブシ
1.じゃじゃ降り
2.まかしてんか
3.アホでええねん
4.店、やめや
5.空は青空

answer.――― 68 点

北海道を行くつもりで念願のオートバイを買った主人公が、かつてアルバイトをした居酒屋が火の車ということで男気を見せて手伝うという物語。他記事でも触れたことがあるが、遡ればゲーム『トルネコの大冒険』がヒットしたように、<店を運営する>という行為はどこにでも見掛ける日常的な行為ながら、ほとんどの人にとっては非日常的な行為であり、それだけに「追」体験したい行為のひとつに数えられる。本作の受賞理由として、一人の選考委員は「居酒屋の内側を描いた」点を挙げていて、ギャンブルな仕入れ、常連のあしらい、学生の飲み会の狂騒、信頼していたアルバイト店員のネコババ、……と、おそらく著者の実体験に基づいたであろうやんごとなきエピソードはサラリーマン家庭溢れる現代では何とも刺激的で興味深い。体育会系の学生の灰皿で酒を飲む罰ゲームなんてのは生活感溢れ、その一文でどんちゃん騒ぎのイメージが豊かに膨らんだ。また、表題に「ナニワブシ」とあるように文章も一風変わっていて、体言止めが多い。選考委員は総じて「気風の良い文章」と称えているが、体言止めの頻発は実のところ、文章力という観点では下手と紙一重で、個人的には意図的に使用していない場合は、その作家を<下手>と見做している。著者は私の判断では<下手>と見た。おそらく文章の修練をせず、感性のままに書いているだけだろう。まあ、文章が粗野であることが作品の雰囲気作りに貢献出来ているので、本作では問題無い。文学として評価しているが、娯楽要素も強いので、上述の「居酒屋の内側」を覗いてみたい人は読んでも時間を無駄にしたとは思わないだろう。ただ、ドラマは弱い。

第4回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:居酒屋野郎ナニワブシ/秋山鉄

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 秋山鉄 小説新潮長編小説新人賞

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Today Is A Beautiful Day/supercell (2011)

Today Is A Beautiful Day
1. 終わりへ向かう始まりの歌
2. 君の知らない物語
3. ヒーロー
4. Perfect Day
5. 復讐
6. ロックンロールなんですの
7. LOVE & ROLL
8. Feel so good
9. 星が瞬くこんな夜に
10. うたかた花火
11. 夜が明けるよ
12. さよならメモリーズ
13. 私

Price Check.――― ¥ 250

中核であるハズのVOCALOID<初音ミク>を早々に切り離し、創作集団「supercell」が次に手掛けたのはニコニコ動画で「プロより上手い!」と囃し立てられていた“歌い手”ガゼルことnagiをヴォーカルに起用するウルトラC案。こういう続けて話題性を取り入れられるのはちょっとした才覚が必要で、中心人物ryoのプロデュース能力の高さが証明される人事。本作の目玉は何と言ってもTVアニメ『化物語』のEDテーマ②だろう。nagiの透明感ある声(且つ、どこか不安定な揺らぎ)を活かした曲で、悲恋を爽やかに回想的に描いているのが面白い。また、本作での打ち込みは⑦だけで、残りはスタジオミュージシャンによる演奏。<初音ミク>ではその声質上ノイズがかったサウンドにせざるを得なかった前作から一転してのクリアなサウンドが耳に心地良い。全体的に「組み上がった」印象で、<supercell>というアーティストを今後の展開も含め理解出来る作品となっているが、同時に、前作では流石に露見しなかったryoの作曲家としての底が見え始めている。⑥&⑦の中盤に盛り返す華があるものの、(一辺倒の歌詞についても言えるが)「引き出し」が思った以上に少ない。ここは自身にプロデューサー視点を適用して、楽曲提供受けるなりして欲しいところ。巷で指摘されるnagiの<息継ぎ>だが、……気持ちは分かるが、アマチュアなら許せてプロなら許せないって考え方無いからな。俺は上記のryoの「また、この展開!?」のほうが気になって仕方なかった。「supercell」に関しては、プロ集団というよりもアマチュアの粋を集めたプロジェクトだと思っているので、曲そのものよりも活動<展開>に期待しています。

Today Is A Beautiful Day/supercell (2011)

category: O-U

tag: MUSIC 250円

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supercell/supercell (2009)


1. 恋は戦争
2. ハートブレイカー
3. メルト
4. ブラック★ロックシューター
5. くるくるまーくのすごいやつ
6. ライン
7. ワールドイズマイン
8. 初めての恋が終わる時
9. 嘘つきのパレード
10. その一秒 スローモーション
11. ひねくれ者
12. またね

Price Check.――― ¥ 200

<クラシック>は、文化を育むシステムとして本当によく出来ている。分かり易いところで、例えば「作曲家」と「演奏家」を事実上、分業している点が挙げられるだろう。分業の効能は、それこそ経済学あたりで理解を深めれば、産業革命以降の人類の飛躍的な発展とリンク出来るので、雑学的に学んでみると面白いと思う。そんな話はさて置いて、VOCALOID<初音ミク>―――本稿で扱うアーティスト<supercell>は、<初音ミク>をキッカケに結成された創作集団。デザイナーやイラストレーターまでメンバーというのがユニークで、前述の「分業」制をまさに体現。作詞作曲を手掛けるryoが中心となっているわけだが、個人的に感心したのは彼が<コンセプト>を前提に行動している点。それは「JASRACに信託しない」とか、商業化に際し「全ての音源をリミックスする」といった体面的なものではなく、<初音ミク>の、<ロボット>音声のどうしてもたどたどしくなってしまう発音をフォローする曲、何より逆に活かす歌詞を揃えているところ。<初音ミク>関連で、彼がイの一番に抜け駆けたのはそんなウィークポイントをいち早く把握し、方法論でカバーしてきたことにあると思う。それでいて、次作ではニコニコ動画上の有名人「ジゼル」ことnagiを、次々作(予定)でオーディションから選んだこゑだをヴォーカルに据えるなど、あっさりと<初音ミク>から離脱。そんなところからも察せられる通り、ryoは作曲家というよりも、プロデューサーなのだろう。そういう意味では、本作は<supercell>の作品というよりも、<初音ミク>をプロデュースするための作品と捉えるほうがしっくりくる。小説、漫画、映画でも、基本的にロボットを扱うとき、概して「感情」がテーマになるが、まんまの表題を持つ①、ニコニコ動画にてわずか1年で300万の再生回数を達成した③など、本作の歌詞は物の見事に感情揺れる「恋」で統一。その中で、生身の人間が歌おうものならバッシングの嵐を食らうこと必至の⑦はまさにVOCALOIDのために書かれた曲。VOCALOIDに対してネガティヴな感想を持っていた私が意見を翻した曲でもあるので、VOCALOIDに対してアンチを貫く方は中指突き立てながら聴いてみてください。

supercell/supercell (2009)

category: O-U

tag: MUSIC 250円

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Apocalyptic Love/Slash featuring Myles Kennedy and The Conspirators (2012)

Apocalyptic Love
1. Apocalyptic Love
2. One Last Thrill
3. Standing in the Sun
4. You're a Lie
5. No More Heroes
6. Halo
7. We Will Roam
8. Anastasia
9. Not for Me
10. Bad Rain
11. Hard & Fast
12. Far and Away
13. Shots Fired

Price Check.――― ¥ 300

自身の名を冠したソロアルバム『Slash』はビッグネーム集められた豪華絢爛の<コンピレーション>アルバムだったが、本作はそこでの共演者の一人、Alter Bridgeのマイルズ・ケネディをヴォーカルに据えて制作された一作。音楽誌ではVelvet RevolverSlash's Snakepitなどのスラッシュの前身バンドより遡って、例のバンドを引き合いに出しているように、彼の関わった過去作品のどれよりもノスタルジーを感じさせてくれる。それだけに厳しく聴こえる人もいるかもしれないが、逆に云えば、それだけ有無を言わせない格好良いハードロックが展開。リフなど曲の骨格にノスタルジーは感じても、サウンドプロダクションはしっかり00年代仕様になっており、ブルース薫るモダン・ヘヴィネスはともすると新鮮に響く。驚くべきことにマイルズ・ケネディはギターも担当しているらしく、③での終盤も終盤の絡み合うツインギターは “Night Train”を嫌でも想起させる。要所ではスラッシュお得意のトーキング・モジュレーターを使用する等、過去の発掘を楽しんでいる節も感じる。前作で鳴りを潜めたスラッシュ印のギターだが、上記のようにノスタルジーを伴って、もはや挑発に近い形でリスナーに応えている。ハイライトは、すでにラジオでも掛けられている⑧だろう。3年も生きていればまず一度は耳にするバッハの「トッカータとフーガ二短調」のメロディをなぞるギターは、スラッシュのギタープレイヤーとしての真髄を堪能出来る一曲。巧い拙いの議論を排除する、彼の「音」が披露されている。各所で指摘される通り、世紀の名盤『Appetite for Destruction』の二番煎じかもしれないが、Velvet Revolverで時間を無駄にするくらいなら煎じ続けてくれたほうが良い。ただ、この<バンド>も結局、<バンド>に成り切れずに自然解散するだろう。スラッシュは立ち位置的にはジェフ・ベックと変わらなくなってしまい、彼と対等に並べるメンバーは本当にアクセル・ローズくらいしか思い浮かばない。多分、ジョン・メイオールのような振る舞いがこれからの彼の正しい形なんだろう。Velvet Revolverで時間を無駄にし過ぎだね。スラッシュにスーパーバンドは似合わない。

Apocalyptic Love/Slash featuring Myles Kennedy and The Conspirators (2012)

category: O-U

tag: MUSIC 500円

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Backspacer/Pearl Jam (2009)


1. Gonna See My Friend
2. Got Some
3. Fixer
4. Johnny Guitar
5. Just Breathe
6. Amongst the Waves
7. Unthought Known
8. Supersonic
9. Speed of Sound
10. Force of Nature
11. End

Price Check.――― ¥ 250

90年代のアメリカのサウンド・クリエイターとも云えるブレンダン・オブライエンを再びプロデューサーに招いたことが話題となった本作は、いつものパールジャム作品と比べると全11曲36分とかなりコンパクトな作りのアルバム。楽曲は前作の延長線上のハードロックで、前半から立て続くアッパーな曲調から一転のアコースティックソング⑤は、エディ・ヴェダー(Vo.)のソロワークでのインスト曲「Tuolumne」に歌詞をつけたもの。ポスト・パンク的アプローチのある⑧、パール・ジャム流のギター・ポップ⑩は、00年代のバンドに負けないアイディアが魅力的だ。特に後者は、バンドの裏BESTを作るならその筆頭格に据えたい、一歩踏み外すとダサくなるアレンジの鍔迫り合いが堪能出来る一曲。序盤、中盤、終盤と、曲を色分けているのが活動20年を迎えるベテランバンドの余裕か。変拍子を扱う③は1stシングルなのだが、誰が作ったのかとクレジットを見れば、マット・キャメロン(Dr.)。やっぱり、ドラマーが作る曲は毛色が違うね。余談だが、話題のブレンダン・オブライエンのプロデューサー起用だが、約10年ぶりって云ってもミキシングでは関わっていたから、⑧以降のChallengingな曲群を除くと、曲、サウンドともに目新しさは感じない。それでも、マテリアルはきっちりと揃えてきた好盤には違いない。安心の一作。

Backspacer/Pearl Jam (2009)

category: O-U

tag: MUSIC 250円

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Pearl Jam/Pearl Jam (2006)

Pearl Jam
1. Life Wasted
2. World Wide Suicide
3. Comatose
4. Severed Hand
5. Marker In The Sand
6. Parachutes
7. Unemployable
8. Big Wave
9. Gone
10. Wasted Reprise
11. Army Reserve
12. Come Back
13. Inside Job

Price Check.――― ¥ 300

パール・ジャムの代表作と云うと、新作のリリース、グランジ/オルタナの特集が組まれる度に未だ売れ続け、ついには一千万枚を超えるセールスを記録した1stアルバム「Ten」になるのだろうが、実のところ、サウンドプロデュースを含め、その質は決して高くない。音楽性もオーソドックスなハードロックで革新的なものではなく、むしろうがった聴き方をすれば70年代へ憧憬抱くバンドの懐古的な作品にさえ聴こえる。それでも、何故にパール・ジャムがあの時代の代弁者となりえたのかといえば、それは<Single>にあった。<Single>バンド、一時期のThe Whoを想起させる<Album>単位でクオリティを維持出来ないバンド―――それがパール・ジャムだった。だけに驚かされたのが、アボカドが意味深にたたずむ本作。この10年間でのバンドのベストワーク!と各誌で称えられたその出来は、セルフタイトルにしたのも頷けるデビュー以来の最高傑作。冒頭の①、そして、バンドの新たな代表曲となった②におけるエディ・ヴェダー(Vo.)のパフォーマンスは齢四十を越えて尚、怒りに満ち溢れている。これは当時のアメリカ大統領選挙/ジョージ・W・ブッシュ再選への落胆をぶつけたものだ。やはり他の収録曲も戦争、それに関する宗教をテーマにしたものが多く、バンドを理解しようとすると嫌でも政治に目を向けざるを得ないのは、さすがロック界のメッセンジャーといったところ。本作の演奏陣で目立つのは、マット・キャメロン(Dr.)。ロックの華は確かにギターだと思うが、ボンゾがいなければZEPが成り立たないように、ハードロックはドラマーが要だ。⑤はドラムだけを聴きたくなるようなリズム先行の曲。アルバム後半はメロウサイドと評したくなる曲が並ぶものの、前半のテンションの高さを考えると妥当な構成。パール・ジャムの入門編には相応しくないかもしれないが、パール・ジャムを見直すキッカケとなる好盤。単純に、HRアルバムとして聴いても良い。

Pearl Jam/Pearl Jam (2006)

category: O-U

tag: MUSIC 500円

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第3回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:手紙 The Song is Over/佐浦文香

手紙
(あらすじ)
英国ロックバンドのギタリスト兼シンガーである主人公カーティスが、バンドメンバーである親友ゴードンに書き綴った告白の手紙。イギリスを舞台に愛と癒しを瑞々しい感性で描き、第3回小説新潮長編新人賞を受賞した、17歳の高校生のデビュー作。

answer.――― 30 点

綿矢りさ、金原ひとみに始まる10代作家の先駆け……過ぎて話題にならなかったが、1997年、17歳の高校在学時に本作で受賞、そして、デビュー!した才媛。ながらに、まだまだまだ……の評価になるのは致し方ないところ。井上ひさしはこの辺厳しく巻末にて、―――神父と牧師の違いも分からんのか!と作中の教養不足をバッサリと一刀両断。そこから文章までボロクソに酷評している。流石、DV男は10代だろうが容赦がない。舌舐めずりしながらのレイプ、御苦労様である(ちゃんとゴムは嵌めてくれたんだろうか?)。まあ、他の選考委員はそんなレイプ後を狙って、撫で撫で無暗にボディタッチしてくれているので問題ない。……終わり、と〆ても良いのだが、一応。個人的には、勿体無いな、と。あらすじの通り、舞台は英国(と米国)、主人公は外国人。この時点で、高校生ではまず扱い切れない。The Beatles、Sex Pistols由来の登場人物を出したりの又聞きの創作はオッサンたちの神経を逆撫でしてしまうから止めておきなはれ。そんな中、The Jam、ポール・ウェラーを引き合いに出したのは正解。文学において力点に置くべきは、選考委員のオッサン/オバサンたちの青春時代からハズれたものを描くべきで、それを描くと途端に甘くなる。射精した直後、潮を吹いた直後のようなアヘ顔となる。冒頭の綿矢りさ、金原ひとみは、インターネットを、タトゥー(否、入れ墨。タトゥー・ファッション☆彡)を描いた。その他諸々モロッコな要素はあるが、押さえるところを彼女たちは実は押さえている。まあ、……まだまだまだ、だね。一番良いのは候補作にも入れず、陰で「育てる」のがベストだったと思う。……勿体無いな、と。

第3回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:手紙 The Song is Over/佐浦文香

category: さ行の作家

tag: OPEN 30点 佐浦文香 小説新潮長編小説新人賞

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第2回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:決闘ワルツ/秋月煌

決闘ワルツ
(あらすじ)
華やかなりし鹿鳴館の頃。麗しき令嬢を巡り―――青年男爵とイギリス商人が恋の鞘当て、「日本刀VSピストル」で血の果たし合い!選考会騒然、紅葉・鏡花風の美文調に目も眩む鬼才の超問題作。

answer.――― 60 点

詳しくは省くが、絶対に「売れる」文章、というものがある。本作はそれに意図的に手を掛け、そして、知らず知らずのうちにそれを綴る著者自身が魅入られ、やがては溺れてしまった典型的作品。化学式と同じように、一定の設定と舞台を与えれば、どんな人でも「それ」らしい文章を書くことが出来る。ただ、ほぼ間違いなく溺れるし、―――「誤る」。この「誤る」とは著者にとっての<正解>でも、読み手各々にとっては<不正解>と見定められることを指す。絶対に「売れる」文章、そこに<正解>は実のところ求められておらず、合っているような、合っていないような……そんな『中庸』の答えこそが求められている。結局、それを導き出すのはセンスで、著者には少なくとも本作においてそれが足りなかった。本作は、かの鹿鳴館を舞台の中心に、一人のヒロインを巡って明治貴族と英国紳士、二人の親友が刀とピストルで決闘する物語。刀とピストルという互いの武器の長短を論い、「平等」を説くのがユーモアという体。それを分かった上で読むべきは、冒頭の数頁と巻末の選考委員たちの反応のみで十分だろう。選考委員たちは本作の文章を一方は錦絵と称えたり、一方は駄文と貶したり、と反応は見事に相反する。しかし、トリで“キング・オブ・DV”井上ひさし御大が、特異な文、として結局、本作の受賞への消極的な一票を投じた。つまりは、そういうことなのだ。本作は、絶対に「売れる」文章、その一端が披露され、しかし、それだけで終わってしまった情けない受賞作。スッカスカの内容です。ちなみに絶対に「売れる」文章、その中庸の答えを出し続けた稀有な作品として『家守綺譚』を挙げておきます。

第2回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:決闘ワルツ/秋月煌

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 秋月煌 小説新潮長編小説新人賞

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第1回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:あなたへの贈り物/和泉ひろみ

あなたへの贈り物
(あらすじ)
白人の血を引く女医である主人公が、自分で考えて行動していく様子を、丁寧に、そして誠実に描く。生まれながらにして男女平等の考えを持つ彼女が、仕事と家庭に苛立ちながら選んだ生き方とは……?

answer.――― 58 点

あらすじは、共働きの夫婦が育児疲れをキッカケに夫が不倫を起こし、妻が思い悩んだ末に離婚する、というもの。この一連の流れにはエンターテイメントらしいエンターテイメントは不倫相手がスーツの綻びを直すなど姿を見せずに挑発、やがて直接接触してくること、夫の実家に乗り込んで姑を味方に引き入れることくらいで、娯楽作品としては事実上、成立していない。Wikipediaには小説新潮長編小説新人賞は<娯楽作品を対象>と記載されているが、実際は<文学賞>の趣きがあるようだ。あるいは、応募作群がその水準に達せず、仕方なく賞の「格」を維持する消極的な方針として本作を受賞させたのかもしれない。この辺は以降の受賞作群を読んでみないことには分からない。さて、<文学>として読むとすると本作の旨みは、やはり妻が離婚に踏み切るまでの自己分析の過程。視点は医師の妻を基本に、変化球として独善的な姑の視点を挟む。また、家庭以外の舞台として妻は終末医療に関わる。そこで患者夫婦の絆を目の当たりにして自己を振り返る仕組み。……うーん、このレヴューを書いていても、やっぱり「典型的」過ぎる。文学には<謎>……何故、そんな行動を取るのか?が必要だと思うが、妻があまりに冷静に分析してくれるのでそれが無いのも頂けない。夫の不倫相手が可憐なフリして全然可憐じゃないのを男子諸君に理詰めで教えてくれるのが良いと云えば良いか。私は女の子は好きなのだが、異常なまでに女「性」嫌いなので(女「性」を認めない)、そこに関しては得るものはないが、確かに大概の男は引っ掛かっているので、そんなオッパッピー男子は読んで損はないかもしれない。

第1回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:あなたへの贈り物/和泉ひろみ

category: あ行の作家

tag: OPEN 50点 和泉ひろみ 小説新潮長編小説新人賞

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