ナマクラ!Reviews

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2012年11月のレヴュー更新(まとめ)

今月は日本ファンタジーノベル大賞の受賞作品をレヴューする予定が仕入れと読了が間に合わず、文章力ランキング記事の更新と乙一作品をレヴューしてしまったのは予定外。そして、入間人間の文体に興味を示し、現在の沈黙に到る。再開の暁には、しばらく毎日更新が出来るくらいにレヴューを溜め込んでおこうと思います!それまで見捨てんといて!まとめ記事【Medeskiの(o゚Д゚)=◯)`3゜)∵ 言った!言ってやった!(随時更新中)】は、創作視点での言及をクローズ・アップしたもので、私自身のリアルな戒めです。―――何せ、矛盾が起きても不思議じゃないからな!では、なるべく早く帰還したいと思います!ちなみに、コレを書いているのは11月18日(日)。もしかして、すでに再開してたら笑えるな……滑稽、失敬どぅえーす!

●本屋大賞●
第7回本屋大賞 8位:植物図鑑/有川浩

●受賞作以外の大衆小説●
集英社文庫:ZOO/乙一 (2003)
幻冬舎文庫:暗いところで待ち合わせ/乙一 (2002)
幻冬舎文庫:死にぞこないの青/乙一 (2001)
集英社文庫:暗黒童話/乙一 (2001)
集英社文庫:夏と花火と私の死体/乙一 (1996)
文春文庫:インシテミル/米澤穂信 (2007)
創元推理文庫:さよなら妖精/米澤穂信 (2004)
宝島社文庫:チーム・バチスタの栄光/海堂尊 (2004)

●アーティスト一覧●
OLD
RIZE

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category: 更新情報

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EXPERIENCE/RIZE (2010)

EXPERIENCE.jpg
1. JESUS AND MARIA
2. ME
3. TWISTED
4. LAUGH IT OUT
5. Get the Mic
6. GOTANDA
7. XL
8. MUPPET
9. YUZURIHA
10. MIDDLE FLOWER
11. ZERO

Price Check.――― ¥ 200

デビュー10周年を数えるバンドが届けるニューアルバムは、メンバーが「最高傑作!」と口に出す自信作。映画「ボックス!」の主題歌④、中田英寿出演のCoca-Cola ZeroのCMソング⑪と大型のタイアップも多く、前者は同映画主演の市原隼人をフィーチャーする話題性もあって、オリコンチャートで初登場14位とチャートアクションを起こすことにも成功した。そんな本作で目立つのは、何と言っても<バンド>然としたサウンドだろう。KenKen(B.)のプレイ面での存在感が増したのがとにかく大きい。例えば⑥は過去の作品に必ず一曲以上はあった<単調>な、いわばアルバムのランニング中に勢いを与えたいがためだけの分かり易い捨て曲なのだが、KenKenの繰り出す高速のチョッパーがアクセントとなってリピートさえしたくなる曲となっている。ただ、専任ギタリストが脱退した影響がやはりあるのだろうが、どの曲も事実上、ギターパートを捨てた感もあり、リズム隊のグルーヴを重視しているのが印象的。MVも制作された人気曲⑧は今までにないギターの使い方をしてきたので、期待もしたが……。本作のJESSE(Vo.&G.)はいつになく「歌っている」。ある意味で確かに「最高傑作」かもしれないが、個人的にはバンドにとっての本当の「最高傑作」前の完全な分岐点的作品。⑧の方向で行くなら「ソロ」も挿し込める専任のギタリストを入れたほうが良いと思う。

EXPERIENCE/RIZE (2010)

category: O-U

tag: MUSIC 250円

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K.O./RIZE (2008)

K.O. 
1. LADY LOVE
2. ハエ
3. PARADOX体操
4. Live or Die
5. Dear Mr.President
6. Television Song
7. RIZE
8. 火事と喧嘩は江戸の華
9. Please Oh Please
10. 何でもない日の祝い方
11. im a bitch
12. 風
13. Kush Berry

Price Check.――― ¥ 50

日本を代表するギタリストの一人Charの息子ながらに反発して真っ直ぐギターに向かわずラップスキルを磨き、筋骨隆々の鍛えられた身体には所狭しと刻まれるタトゥー、何よりその顔、超イケメン―――RIZEのフロントマン・JESSEは日本では珍しい、まさに「絵に描いた」ようなロックスター。こうなるとワンマンバンドになりそうなものだが、このバンド、他のメンバーもまた凄い。ドラマーは俳優も兼ねる金子ノブアキ、映画『クローズZEROⅡ』における鳴海大我役での「人間は動物だぁー!」なる絶叫は忘れようと思っても忘れられるものではない。そして、ベースはその金子ノブアキの実弟、泣く子も小便垂れるバカテクのKenKen。血縁だろうがなんだろうが、もはや「どうしてお前がここにいる!?」と湘北の不安要素にさえ数えたくなるマジもんのベースヒーローである。前作の想像の斜め上を行った充実っぷりに「……いよいよ化けたか」と思った人は、本作にwktk手を出してみると、驚きの<いつも通り>に再び驚くことになる。この<いつも通り>というのは、遡れば1stから感じるJESSEのMC先行のパフォーマンス。代表曲「Why I’m Me」や前作ならば「American Hero」のようにハマるときこそハマるが、……バンドでやる意味あるのか?と疑問浮かぶトラックが本作でも再び並んでしまっている。セルフタイトルを与えられた⑦はJESSEのバンドの結成と、過去と現在のメンバーたちへの想いをハートフルなRAPで披露。これがまた、巧い。続く⑧もHip-Hopグループ「E.D.O.」を客演に本格的なマイクリレーを繰り広げていく。しかしながら、やはりバンドとしては機能しているとは言えず、リズム隊が躍動する②、サーフミュージックを彷彿させる爽やかなシングル④あたりがバンド編成の意味を感じられる数少ない楽曲となっている。……勿体無いバンドです。

K.O./RIZE (2008)

category: O-U

tag: MUSIC 100円

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ALTERNA/RIZE (2007)


1. 神
2. American Hero
3. Road II 雷音
4. ピンクスパイダー
5. heiwa
6. Feeling
7. 天と地の狭間に生きる少年
8. Ghost
9. 28
10. 124℃
Price Check.――― ¥ 300

シングル「Why I’m Me」のスマッシュヒットで名を馳せたRIZEの通産5枚目のオリジナルアルバム。hide with Spread Beaverのカバー④による久々のチャートアクションで、にわかに再注目されたバンドは本作でもデビュー時より一貫して推し進めているラウド/ミクスチャー・サウンドを披露。他アーティストへの客演も多いJESSE(Vo.&G.)はラップスキルとともにメッセージ性の強い歌詞に定評があるが、本作でもそのストレートな言葉でリスナーに共感を呼び込むことに成功している。生まれてくる自身の第一子に贈った⑤はまさに入魂の一作で、反戦歌としても一級の名曲。アルバム全体を通してやや一本調子な感は否めないが、30分と短いランニングタイムが味方し、耳には心地良い疲労感として残る。幼年時のヒーローへの憧憬を歌った②、原始的でありながらアーバンな感覚を楽しめるリズミカルな⑧など、ひたすら格好良さにこだわった好盤。RIZEを聴くなら本作からが良いだろう。

ALTERNA/RIZE (2007)

category: O-U

tag: MUSIC 500円 代表作

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Spit & Yell/RIZE (2005)


1. RIZE IN YA AREA
2. HAVOC
3. 砂浜
4. BLACK FLY
5. Youth II Youth
6. TOKYO RATS
7. KONOMAMA-TENSAIBAKA RIZE backing Def Tech
8. CRY
9. STRAY DOG
10. OWTKAST
11. STAND UP
12. FRADE
13. BUSH
14. sunday mornin

Price Check.――― ¥ 100

すべてのシングルを収めた総括のベスト盤『FUCK'N BEST』のリリース後、初のオリジナルアルバム。本作の目玉は何と言っても当時、飛ぶ鳥を落とす鉄砲玉としてメディアに露出していたDef Techとのコラボレーション⑦だろう。前半はRIZEをバックにしたDef Techの持ち歌「このまま」ながら、途中からJESSE(Vo.&G.)が乱入しての静から動へのアレンジはまさにRIZE節で、期待に応えてくれている。しかしながらアルバム構成は首を傾げるもので、冒頭から上述の⑦まではHeavy一辺倒の曲が並ぶ。そして、例によって曲の区別が付きにくく、勢いだけの捨て曲の印象。④あたりは腰を据えたグルーヴがキマッていて切り取って聞けば佳曲なのだが、前の三曲で埋もれてしまっている。⑦から続くMelowな楽曲群はそれだけに耳を惹く。RIZEはHeavyであろうと一本筋を通してくるバンドだが、個人的にMelowな曲調のほうが映えるように思えるので、その点でいつも自分の中では今一歩なバンドとして留まっている。初のセルフプロデュースながら違和感なし。ここは、かなり意外だった。ちなみに、ジャケットのこの逆さにした「天」ですが、JESSEはまんまコレを背中に彫っています。中二病、ここに極まれり。……突き抜けてるぜ!

Spit & Yell/RIZE (2005)

category: O-U

tag: MUSIC 100円

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集英社文庫:ZOO/乙一


1.カザリとヨーコ
2.血液を探せ!
3.陽だまりの詩
4.SO-far そ・ふぁー
5.冷たい森の白い家
6.Closet
7.神の言葉
etc...

answer.――― 67 点

長編小説が書けない作家・乙一が贈るショートショート風味の短篇集。冒頭【カザリとヨーコ】を読んで、破れかぶれ、そんな心境で綴ったのかとまず邪推した。いじめ&虐待されている人物を主役に配してくるのはいつも通りとして、そのキャラクターが途中から陽性になり、「ぃよっしゃー!」と地の文で叫ばれたときには流石に唖然とした。……自分の殻を破ろうとしているのか!?とその意気込みを勝手に買い、ラストで続かなきゃ嘘だろ?な幕引きに(……ああ、連作短篇ね)と、次章に移れば人類( ゜Д゜)ポカーン計画。乙一先生、終了のお報せでした。奇抜な設定で誤魔化しているが、収録された短編中で時間の精査に耐えうる質を備えているは【SO-far そ・ふぁー】くらいだろうか。家族を題材にすればまだ幾らかの引き出しを持っていると思うが、乙一本人が己の創作能力に諦めがついているなら仕方がない。ファンの間で評判高い【SEVEN ROOMS】だが、これこそ(……こんなもんで良いんだろ?)と投げやりに書いたインスタント短編に思えてならない。「理不尽な殺人」「カウント」「法則」「脱出」……この辺りをキーワードにパターンを繋ぎ合わせただけで、よほどその辺にありそうな既製品に思えるが、あれか、観光地で買う割増しの土産物か。まあ、乙一のファンならずとも、暇潰しには適う短篇集、かな?画像は、単行本を採用。文庫本だと、「1」「2」とわざわざ分割して営利主義に走っております。

集英社文庫:ZOO/乙一 (2003)

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 三大犯罪者 乙一

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角川文庫:GOTH/乙一


「僕の章」
1.リストカット事件 Wristcut
2.土 Grave 
3.声 Voice
「夜の章」
1.暗黒系 Goth 
2.犬 Dog
3.記憶 Twins

answer.――― 75 点

この世には殺す人間と殺される人間がいる……そして、自分はその前者だと自覚する「僕」と、人の残酷な面を覗きたがる少女・森野夜。「私にも、その表情のつくりかたを教えてくれる?」―――『人間失格』な二人のボーイ・ミーツ・ガール。本作にて第3回本格ミステリ大賞を受賞し、乙一がライトノベルというジャンルの枠を越える知名度を持つようになった記念碑的一作。また、本作は単行本『GOTH リストカット事件』として発売された後、文庫版を出版するにあたって「僕」に焦点を当てた「僕の章」、森野夜に焦点を当てた「夜の章」に分けて出版された。これは営業的な側面が大きいのだろうが、作品の質を向上させる意味でも成功した稀有な例となった。というのも、本作、単行本と文庫本での読後感がまったく違うからだ。本作は形式としては連作短編となっているが、「僕」と「森野夜」、主人公とヒロインがメインで活躍するのは二編しかない。基本的に物語の視点を任されるのは<殺人鬼>で、彼らの淡々鬱々とした日常(犯行)をなぞるのが本作の醍醐味になっている。それで、ラストに乙一の十八番!ドンデン返し!!を迎えるわけだが、……あまりに《パターン》なのでオチをオチとして楽しめない。単行本での章の並びでは特にそれが顕著でまさに尻すぼみ、ともすると駄作にさえ思えてしまう。その点、文庫版は文体にブレが生じているものの、それぞれがひとつの作品として綺麗にまとまっているのが良い。二冊で一冊ではあるが、どちらか一方しか読む気が無いというなら、オススメは「夜の章」。第2章【犬 Dog】が邪魔だが、森野夜が現代っ子が望む正統派GOTH系ヒロインとして機能している。乙一には珍しいキャラクターの魅力で攻める小説。ライトノベルではなく、大衆小説として出版されているが、本作こそ乙一流の《ライトノベル》作品と云える。点数は文庫版(僕の章/夜の章)へ宛てたものです。

角川文庫:GOTH/乙一 (2002)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 三大犯罪者 乙一

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幻冬舎文庫:暗いところで待ち合わせ/乙一

暗いところで待ち合わせ
(あらすじ)
視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった。

answer.――― 77 点

紛れもない乙一の作家としての最高傑作であり、乙一の作家としての限界点を満天下に示した作品。本作のあとがきにて、前作でカットした一場面を一作品にしたのが本作、なる記述(要約)があるが、本作はまさに《一場面》の物語と呼ぶに相応しい異型の「長編」小説。本作の概要は、盲人の女性宅に殺人犯が忍び込み、一緒に生活する……ただ、それだけだ。前作「死にぞこないの青」に続く実質のドキュメントで、終盤に唐突に物語が展開され、着地する。構成で言うなれば「序盤」「中盤」「終盤」の三構成に分けられ、その中盤は物語が無いに等しい。しかし、この中盤こそが『乙一』の作家としての真骨頂だ。乙一とは何者なのか?ある人はグロテスクを描くという。ある人はセンチメンタルを描くという。前者に関して云えば、それはあくまでオプションであり、別に乙一でなくても書けることに気づいて頂きたい。しかし、後者に関して云えば、乙一はおよそ凡より秀で、秀でに優る書き手に数えて遜色ない。その評価に足り得るのも、言葉を呑み、物言わぬ内向的な登場人物たちの採用にある。本作中、一体、台詞は幾つあっただろうか?読了後、是非とも思い浮かべて欲しい。勿論、ある。しかし、貴方の記憶のどこにそれが残っている?―――「ありがとう」、思い浮かぶ台詞はこの言葉のはずである。逆に云えば、それ以外、何があっただろう?言葉を呑み、……そして、零す。センチメンタルの極意がここにあり、乙一はこれを修めている。「ありがとう」は、本作の『物語』に関係が無い。しかし、この台詞零れる『場面』こそ乙一が描きたかった場面なのだ。乙一は『場面』の作家なのである―――場面から創り、物語を付けるのだ。短編、中編では妙手と名を挙げられても、長編となると賛否が分かれる理由はここにある。一場面を一作品にした、この事実が図らずしも乙一の最高傑作を生み出した。あるいは、短編、あるいは中編で本作よりも質の高い作品を乙一はこれから創るかもしれない。しかし、物語を意識して創る常識に囚われているうちは本作を超えることは不可能だ。乙一自身、自らが長編を描けないことを自覚しており、富と押井守を手に入れてしまった現在、苦痛さえ伴うであろう「長編」小説の制作は敢えて行うことは少ないだろう。故に、本作が乙一の最高傑作な事実は揺らぐことはない。乙一という作家を知る上で外してはいけない欠陥的名作。1/3に省略出来るストーリーをその眼で確かめよ!

幻冬舎文庫:暗いところで待ち合わせ/乙一 (2002)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 三大犯罪者 乙一

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幻冬舎文庫:死にぞこないの青/乙一

死にぞこないの青
(あらすじ)
飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現れた。

answer.――― 72 点

乙一を一部ではホラー小説家と見る向きがあるが、それは本作での第二の主人公と云える異形の姿を持つ「アオ」のような、実のところ脈絡は無いのだけれど強烈なインパクトのあるキャラクターをストーリーに挟んでくるからなのだろう。そう、本作は要約すれば、「いじめ」の物語であり、逆に云えば、「いじめ」のドキュメントでしかない。そこに主人公にしか見えない「アオ」が登場することで、ごく普通の話をそのインパクトで誤魔化している造りだ。物語としては非常に魅力の薄い本作だが、「読めてしまう」のは主人公の鬱屈とした心内描写にある。乙一は、内向的な主人公を描くのが群を抜いて上手い。主張出来ずに、言葉を呑む、そんな能弁な描写を成立させる。これはあとがき等で言及しているように、自身の実体験が関係しているのだろう。いじめの始まり、疎外されていく過程にはしっかりと段階が設けられており、芸が細かい。本作のいじめの中核には担任教師が配されている。しかし、その設定には無理がなく、本作の価値を高める興味深いものとしている。それだけに、「アオ」の登場意図が安易に映る。「アオ」は実際、いなくても良い。しかし、グロテスクな「アオ」の登場は読み手に歓迎される。そこに乙一のストーリーメイカーとしての弱さを、本作のストーリーの根本的な弱さを私は見てしまう。

幻冬舎文庫:死にぞこないの青/乙一 (2001)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 三大犯罪者 乙一

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集英社文庫:暗黒童話/乙一

暗黒童話
(あらすじ)
突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。それは、眼が見てきた風景の「記憶」だった…。私は、その眼球の記憶に導かれて、提供者が生前に住んでいた町をめざして旅に出る。悪夢のような事件が待ちかまえていることも知らずに……。乙一の長編ホラー小説がついに文庫化。

answer.――― 50 点

集英社文庫、そして、角川スニーカー文庫で一癖ある中編、短編を執筆し、着実にキャリアを築いていた乙一が満を持して送りだした初の「長編」小説。当時の乙一は意図的に作風を文庫によって変えていて、集英社文庫ではグロテスクなものを、角川スニーカー文庫ではセンチメンタルなものにし、ファンの間でそれを「黒」乙一、「白」乙一と仕分けられていたが、本作は集英社文庫から出版されたことからも分かる通り、グロテスクな「黒」乙一な作風。初の「長編」ということで気合が入ったのだろう、―――見事に失敗している。おそらく乙一の作品の中で一番「拙い」作品が本作だろう。失敗の原因は、冒頭から挟まれる暗黒童話「アイのメモリー」の存在。この話の質自体は悪いものではないが、本編に実質必要性が無く、その癖、本編に関わっているように描かれるため、挟まれる度に読み手の注意力が(……何が言いたいんだ?)と散漫となってしまう。これならば、省いてしまったほう余程良かった。本作で興味を引かれたのは、眼の移植による影響で成績その他が低下し、ヒロインが親、クラスメイトから現在の自分を完全に否定されること。なかなかの文学的アプローチで、初の長編ならではの挑戦かと思ったが……完全に私の気のせいだった。序盤以外、見事に描かれることなく消えていった。眼の記憶に導かれて遭遇する事件でのグロテスクな描写はニーズを満たせると思うが、展開の拙さは目に余る。これぞ駄作な印象の作品。また、私が乙一に対し、作家としての才能に疑問を抱いたのが本作だったことも付け加えておく。作家には短編、中編は描けても、「長編」を描けない作家がいる。文学の歴史を紐解けば、例えば芥川龍之介がそうであり、乙一もそこに分類されてしかるべき一人だと思っている。

集英社文庫:暗黒童話/乙一 (2001)

category: あ行の作家

tag: OPEN 50点 三大犯罪者 乙一

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