ナマクラ!Reviews

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2013年3月のレヴュー更新(まとめ)

今月の更新もまた不定期となってしまいましたが、まあ、師走の忙しさもようやく春の麗らかな陽射しに焼かれて……なんて思っていたら、まさかの黄砂の逆襲。皆さま、ご無事だったでしょうか?さて、来月は村上春樹の長編作のレヴュー、それとSFの大家・筒井康隆の主だった作品のレヴューに奔ろうと思います。

●GA文庫大賞●
第4回GA文庫大賞 奨励賞:空に欠けた旋律<メロディ>/葉月双

●受賞作以外のライトノベル●
電撃文庫:なれる!SE 2週間でわかる?SE入門/夏海公司 (2010)
電撃文庫:トカゲの王 1 ―SDC、覚醒―/入間人間 (2011)
電撃文庫:空ノ鐘の響く惑星で/渡瀬草一郎 (2003)
電撃文庫:毒吐姫と星の石/紅玉いづき (2010)
電撃文庫:撲殺天使ドクロちゃん/おかゆまさき (2003)
電撃文庫:灼眼のシャナ/高橋弥七郎 (2003)
星海社文庫:Fate/Zero/虚淵玄 (2011)

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category: 更新情報

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電撃文庫:なれる!SE 2週間でわかる?SE入門/夏海公司

なれる!SE
(あらすじ)
平凡な社会人一年生、桜坂工兵は厳しい就職活動を経て、とあるシステム開発会社に就職した。そんな彼の教育係についた室見立華は、どう見ても十代にしか見えないスーパーワーカホリック娘で!?多忙かつまったく優しくない彼女のもと、時に厳しく指導され、時に放置プレイされながら奮闘する工兵。さらには、現場を無視して受注してくる社長のおかげで、いきなり実際の仕事を担当させられることになり……。

answer.――― 71 点

概して、主人公ないし準主人公が作中で作品の全体像を一言で語った瞬間、物語が唐突に「動く」。そして、それは読み手にとって少なからぬカタルシスをもたらす。本作の主人公・桜坂工兵は就職活動に失敗し、一縷の望みに賭けて受かった企業はブラック企業、そして、その職種はSE(システム・エンジニア)。……社会人は辛いよ!というよりも、社会は理不尽過ぎる!という序盤は(他業種の)リアリティを覗き見れるものの、手も足も出ずに罵倒されるだけの主人公の鬱屈もあり、そこに一角ならぬ面白味を見い出すのは難しい。が、女性上司・室見立華の理不尽が極まった罵倒で反転し、桜坂工兵が作品の全体像を一言で語った瞬間、読者は突然のカタルシスを得る。その一言とは「二週間完璧にOJTをこなし、室見のOKをもらったあと、辞表を叩きつける。―――これだ。」だ。正確には、この一文は作品の全体像を語るものではない。しかし、この時点でのこの言葉は読者にとって本作の全体像を掴んだ気になり、そして、実際に物語も「動く」。どうして読み手に動き出す体感を与えるのかといえば、登場人物が《意志》を持ったからに他ならない。《意志》を持たされたのではなく、自ら持った主人公はそれだけで「面白い」。本作のセールスポイントはライトな社会見学、あるいは同業者のあるある/ないない共感、理系属の選民意識を煽る専門用語を散りばめた内容だと思うが、個人的には、この「動く」瞬間をお薦めしたい。作家さん方、やればいいのにやらないのよね。逆に言うと、簡単そうで難しいってことなんだけど。著者はデビュー作でもなかなか感心出来る文章を披露していたが、本作では文章それ自体は流し気味ながらも、上々の構成を成しているのが成長の跡。面白いんじゃないでしょうか?【推薦】させて頂きます。ちなみに、頭が良いってことは世間一般では「応用力がある」ということだと思うが、偏差値の世界では「集中力がある」だと思う。んだから、本作の主人公のスーパーマンも決して不自然過ぎるとは思わない。

電撃文庫:なれる!SE 2週間でわかる?SE入門/夏海公司 (2010) 【推薦】

category: な行の作家

tag: OPEN 70点 夏海公司 推薦

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第2回ラノベ好き書店員大賞 4位:魔法少女育成計画/遠藤浅蜊

魔法少女育成計画
魔法少女育成計画とは?
プロローグ
ブラック&ホワイト
お姫様と四人のおとも
魔法騎士
月夜の魔法少女
邪魔者にさようなら
マジカルキャノンガール
クラムベリーの秘密
魔王の娘
コスモスは戦場に似合う
エピローグ

answer.――― 69 点
―――これ、『まどか☆マギカ』やないかい!?とは、TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』、その第三話までしか視聴していない身としては断言出来ないものの、……乗り遅れるな!このビッグウェーブに!!なんて便乗の感がありありと漂う魔法少女を題材とした本作『魔法少女育成計画』。黒幕臭プンプンの妖精ファヴ、強いられる理不尽なルール、疑心が疑心を呼ぶ仲違い、バッドエンド薫る進行……と、いざ要素を挙げていくと、「だから、原作アニメ(仮)を見ようよ!」というご尤もな意見噴飯には違いないが、模したにせよ、「ディズニーランドの真実」なんて不穏なキャッチでも付けたくなるCuteなデザインの魔法少女アバターたちの殺し合いは、やはりエンターテイメント性溢れる。淡々とした平易な書き口も、シュールで酷薄、殺伐明快な作風に適当と云えるだろう。売れるモノを書く(描く)という姿勢はまさしく「仕事」だと思うが、著者はたとえば「高飛車」ルーラ、「強者」なキャラクターの入退場の仕方を心得ているのは心強いところ。「仕事」に必要なのは作品、登場人物への思い入れではない。本作を「安易」と詰れても、「つまらない」とは言えないでしょう。実にドライ、きっちりと仕上げられたライトノベルです。

第2回ラノベ好き書店員大賞 4位:魔法少女育成計画/遠藤浅蜊

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 遠藤浅蜊 ラノベ好き書店員大賞

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第2回ラノベ好き書店員大賞 10位:も女会の不適切【アイ・ド・ラ】な日常 1/海冬レイジ

も女会の不適切な日常 (206x290)
プロローグ.僕たちの不適切な日常 #.1
1.異端審問バレンタイン -前編-
2.異端審問バレンタイン –後編-
3.青春奪還トライアル
4.連鎖反応サプライズ
5.捧腹絶倒カフェテリア
6.反転攻勢ハネムーン
7.罪状認否マリアージュ
エピローグ.僕たちの不適切な日常 #.2

answer.――― 75 点
ライトノベルな日常を演出しての、……ジェットコースター!流行り廃りはいつの時代にもあるものだが、著者が真正面から《中二病》を発症している作品が減り、《中二病》を作中で扱う際には、その多くがコミカルにしたりの自虐……解かってますからね?(私自身は中二病に罹ってませんからw)と読み手へ含んできている昨今に、ちょっとしたノスタルジーさえ感じる、00年代仕様な「俺ハ狂ッテイル!!」な中二病ライトノベルをご紹介。ストーリーラインは、……と書いてしまうと野暮にも思えるが、バタフライ・エフェクト、繰り返されるTry&Error(←和製英語)、もしやデウス・エクス・マキナ?と、著者があとがきでも述べているように既知の作品の「構造」をごった煮し、登場人物には著者の中二病発症による狂気と妄執をブレンド!上述の通り、昨今は《中二病》と後ろ指差されるのを恐れて、ブレーキが掛かり、(著者自身の中二病な)狂気が抑制されている傾向が見受けられるが、「売れてナンボ!」な海冬レイジ先生はハーレムラブコメに中指を突き立て、「殺」「殺」「殺」……のジェノサイド・リピート・ミステリに仕上げている。目を惹く派手なイベントの頻発は作品を大味にも思わせるが、たとえば終盤、「マッド・サイエンティスト 」大洞繭に戸惑わせるなどの「仕事」もきっちり挿してくるので、エンターテイメントとしての体裁は上等。著者はやるべきことをやっている。作中、あまりのごった煮感に着地の不安が過ぎるものの、見事に降り立った「俺ハ狂ッテイル!!」な闇鍋な雰囲気が漂うダークなライトノベル。パワフルでした。

第2回ラノベ好き書店員大賞 10位:も女会の不適切【アイ・ド・ラ】な日常 1/海冬レイジ

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 海冬レイジ ラノベ好き書店員大賞

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電撃文庫:トカゲの王 1 ―SDC、覚醒―/入間人間

トカゲの王
1.トカゲと鴨のゲシュタルト
2.もし中学生が目の色を変えられたら
3.きみの瞳にかんぱい
4.うらかたさんのめっせーじ
5.とかげのおうさま

answer.――― 62 点

巻末のあとがきにて「そろそろ俺も能力バトル小説で一発当てよう、ぐへへ」と発言しているように目下、電撃文庫が推しに推している入間人間が手掛ける能力バトル小説(もどき)の本作。この(もどき)の部分が入間人間らしいというか、道化を気取って創作家としての己の底を必死で隠そうとしている人間失格@太宰治な部分。本作の主人公は、目の色を変えられる能力を持つ―――が、それだけの異能で、それは最後まで貫かれる。異能者の戦いに放り込まれ、口八丁も通じず、ただ怯えに怯え、一般人Aとして涙を流しながら抵抗する。そんなこんなで、物語としては「やはり」面白い訳が無い。この辺りは巷の評判の悪さからも私だけの偏見ではないことを付け加えさせて頂く。過去のレヴューにおいても言及しているが、入間人間にストーリーメイクの才能が無いのは間違いない。だが、それであっても、入間人間が前線で活躍出来るのは《文章》、その一点に尽きる。事実、本作でもテンポを意識した快速の文体で、字数の割に素早く次の頁へと辿りつける。しかし、この手の文体の最大の弱点は、物語の有無をはっきりと認識してしまうことだ。故に、本作は入間人間の作品の中でも頭一つ抜けて「つまらない」。物語が無い上に、無能な主人公と来ると誰のために描かれているのかも分からない。否、入間人間自身のためである。厳しめな言葉を向けているが、それでも、配点をご覧あれ。当ブログの点数一覧、その【普通】ラインに載る点数である。つまらない、確かにつまらない作品ではある……が、それを1ランク上げる筆の跡がここにあるのも事実。世の中には向き不向きがある……入間クン、もう自分の作品を書くの止めなさい。君の筆は他人のためにある。原作者を見つけなさい。カリスマ編集者はね、遠回しにそういうことを君に伝えているんだよ。

電撃文庫:トカゲの王 1 ―SDC、覚醒―/入間人間 (2011)

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 入間人間

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メディアワークス文庫:バカが全裸でやってくる/入間人間

バカが全裸でやってくる
1.バカが全裸でやってくる
2.ボクだけの星の歩き方
3.エデンの孤独
4.ブロイラー、旅に出る
5.バカが全裸でやってくる

answer.――― 64 点

気の抜けた炭酸呼ばわりするつもりはないが、書き流したような文章にこだわりを感じないので、これは小説と云うよりも物語調のエッセイだろう。しかしながら、なかなかに興味深い作品なので、久しぶりに【推薦】させて頂く。ズバリ、本作の主題は英国の90年代のAKB48、スパイス・ガールズもI wanna, I wanna, I wanna, I wanna, ...と元気良く歌った「Wannabe」、ワナビーである。そして、上記の【推薦】は当然、―――お前ら雨後の腐った筍!―――お前ら吐いて捨てる鰯!と入間人間が作中で社会のゴミ扱いするライトノベル・ワナビーに捧げられたものである。さあさあ、悪漢・入間人間が「ワナビーよ、これを読んで俺へ印税を放り込め!クズなんだから放り込め!お前らを全裸にしてやる!」とニヤニヤ罵倒しながら書いている本作を簡単に紹介しよう。意味深な表題をそのまま採用する第一章ではワナビーをクズだからと「人間のフリすんな!汚いゴミが!」といきなり全裸にしている。第二章では作家視点にしているが、実際はワナビーをクズだからと「お前らのなんか読んでられねえよ!」と全裸にして宣告している。第三章はワナビーをクズだからと「どうせこんな人生ドラマを勝手に描いてんだろ?ワロス!」と全裸にして嘲笑っている。第四章ではワナビーをクズだからと「そんなに受かりたいなら自殺すれば?死亡証明書添付して投稿作を遺書扱いすれば受からせてやるよ!」と全裸にして自殺を推奨している。第五章では、職業作家の視点からワナビーをクズだからと「えー、じゃー一生小説書いて食べていくつもりやったの?……すごいねー(プロにもなったことないのに)」と全裸にしてただ小馬鹿にしている。……いやいや、大したもんだ。読みながら冷や汗を掻いたのは初めてだよ。これは正直、御見逸れしましたぞ。ワナビーの臥薪嘗胆、必読の一冊。入間先生のこの檄に応えなきゃ、ワナビーは本当に全裸になるしかないね!―――なぁーんて、ネガティヴ・キャンペーンを張ってみました♪

メディアワークス文庫:バカが全裸でやってくる/入間人間 (2011)  【推薦】

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 入間人間 推薦

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電撃文庫:多摩湖さんと黄鶏くん/入間人間

多摩湖さんと黄鶏くん
(あらすじ)
君は、大人なおねえさんとエロいゲームをしたことはあるかい?俺はある。―――素敵で無敵な変態カップルの青春ストーリー。

answer.――― 60 点

―――ライトノベルにはエロ本としての側面がある。これは紛れもない事実だ。私はライトノベラーは皆、札付きのムッツリ助平とさえ心の中と言わず、口に出して断定している。ライトノベル創世期より“外道”あかほりさとる、“姥捨て婆”中村うさぎ等が用意したたわわな乳を、たわわな尻を、ライトノベラーは「俺、本が好きだから……」という隠れ蓑をムッツリとかぶって愛し、そうして、いつしか自らが作家となって、現在のライトノベラーに還元しているのである。ライトノベルを崇高な俗本に祀り上げようとしている輩がいるが、そんなことは断じて認めん。エロ本だ、エロ本!ラノベはエロ本!読んでるの恥ずかしがれよ、「お前、ヲタクだな!」って指摘されたら全力で否定するのが本物のヲタクなんだよ!ヲタクは後ろ指に怯えてナンボだろ!?イジメられて泣いてナンボだろ!?んで、さまようユダヤ人よろしくさまよって仲間見つけるのが楽しいんだよ!それがなんだ、「キモ」ヲタって!?いつからヲタクがキモくない風潮が生まれたんだ?キモいんだよ、ヲタクぶった一般人!本物のヲタクを馬鹿にしてんじゃねえよ、ボケ!……あ、俺?ラノベなんか読んだことねえし!むしろ嫌いだし!ぜんぜんヲタクじゃねえし!秋葉原なんて行ったことねえし!コミケとかも行ったことねえし!行ったことあるの、東京キャラクターショーだけだし!……さて、キモいヲタクの皆さん、お待たせしました。本作はラノベ亭快楽こと入間人間が贈る、ライトノベルのエロ本として側面を強調した一作。……これは、キモい。入間人間が童貞であることを願って止まない本物のキモさがある。ストーリーは例によって無い。では、何が描かれているかと云えば、美人の先輩と主人公(入間人間)のイチャラブである。脱衣ポーカー(ドンドン脱がす)、キスババ抜き(そこら中にキスさせる)、歳並べ(ご想像にお任せします)……とカードゲームを冒涜し、二人で旅行し、王様ゲームをし、結婚する。いやいや、入間人間、お前、これは童貞というより真性包茎だな!尊敬するわ!ライトノベル特有の低俗さを満喫出来る一冊。点数こそ低めですが、ライトノベルがエロ本であることをクローズアップしている点に素直に好感を抱きました。ただ、面白くはありません。本作は、シチュエーション系のエロ本です。表題で、マンコさんとキトウくんってわざわざ謳ってるし。

電撃文庫:多摩湖さんと黄鶏くん/入間人間 (2010)

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 入間人間

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電撃文庫:電波女と青春男/入間人間

電波少女と青春男
1.宇宙人の都会
2.変態観測
3.自問・ババ抜きでジョーカーが三枚手札にあったらどうしよう編
4.失踪する思春期のパラノイア
5.地を這う少女の不思議な刹那
6.都会の宇宙人

answer.――― 69 点

貴方は作家になりたいと思ったことはあるだろうか?私の統計的に、ライトノベルを愛読する輩は一度くらいはその気があったと推測する。ちなみに、無理、と思った方も含む。無理じゃなければ「なる」からだ。さて、そんな「なりたい」=「ワナビー」はどうやって「文章」を修得するのだろうか?おそらく、多くは《愛読書を書き写す》などの模写から始まる。それを踏まえ、今回、レヴューする本作はライトノベル界の三大犯罪者・乙一の影響色濃い『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』にてライトノベル新世代の狼煙を上げた入間人間が贈るシリーズ作品第二弾。書き出しの第一文にて、「青春ポイント」なる煌めくような造語とその説明を投下してくるあたりで作家としての意気込みを感じるも、その先の頁をめくっていけばふと気づく。……本作、「下宿する」という設定の割に自棄に面白くない。原因は、文章そのものにある。「青春ポイント」以降、徐々に装飾過多に、冗長になっていき、ストーリーの展開の邪魔をする。そもそもこの話、終盤以外、イヴェントが無い。では、何を楽しめばいいのか?―――文章である。この、己の筆に対する過信を通り越したある種の盲信に、私は入間人間を視た。……この文体、ロールモデルがある。だからこそ、俺の文章を楽しめっ!銀河の果てまでっ!なる勘違いが本人のなかでまかり通るのだ。そして、肝心の本作の文章のロールモデルの相手は秋山瑞人、その代表作『イリヤの空 UFOの夏』だろう。しかしながら所詮は真似事の域を出ていない。ヒロインの言語を<壊した>のも無駄なハンデを背負った。ながらに、感心もしている。コピーをし切れてこそいないが、あの文体の「要点」をよく捉えている。新鋭の作家と見做すに相応しい才気を感じた。現在に到る作品の濫造には見苦しさも目立つが、才能に溺れる気持ちも分かる。まぁ早いところ、「怒られろ」。このままだと「代表作」の無いまま、気づいたときには沈んじゃってるよ?キミ、根本的につまらないからね。ストーリーを創る能力は凡人以下だ。それを隠すために、文章に命を賭けなさい。

電波女と青春男/入間人間 (2009)

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 入間人間

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電撃文庫:毒吐姫と星の石/紅玉いづき

毒吐き姫と星の石
1.捨て子のエルザ
2.言無姫の輿入れ
3.晩餐と杯
4.さよなら王子様
5.ヴィオンの毒吐き
6.落城の夜
7.裸足の福音
8.星と神の運命において

answer.――― 75 点

文化に携わるかぎりは自らの役割を弁え、どんな形であれ、その文化を先代より、あるいは次代へと【継承】しなければならない―――それがその文化における当代に課せられた義務である。しかし、そんな義務にかまけて忘れてはならないのが【挑戦】。本作は電撃文庫のファンタジスタ・紅玉いづきのデビュー作であり、第13回電撃小説大賞<大賞>受賞作『ミミズクと夜の王』、待望の続編!と言っても、肝心のミミズクは後半にふらりと顔を見せる程度で、この続編では前作での脇役・レッドアークの王子様が前面に押し出される。本作の主役は表題の通り、毒吐姫ことエルザ・ヴィオンティーヌ。王女でありながら生まれて間もなくスラム街へと捨てられたお姫様。物語はこのお姫様が再び王族として隣国へと嫁がされることから幕を開ける。さて、何と言っても見所は《毒吐き》と制約を課し、機微に富まねばならぬ罵詈雑言へ【挑戦】する紅玉いづきの作家としての意気込みである。結論から言ってしまえば、この【挑戦】は志半ば……といった進捗で、万人が《毒吐き》と認められるレベルには必ずしも達せてはいない。しかし、【挑戦】はすることに意義があり、特に文化においては【挑戦】に結果は問われるべきではない。故に、紅玉いづきのこの【挑戦】は称えられて然るべきものだ。置いて、そこを省いても、占い根付く国家演出、クーデター、草食男子&肉食女子な告白ありのストーリーメイクは安心の及第点。「!」多用するエルザの激情に頼り、中盤の平易平坦な展開はマイナスながら、続編という貯金を上手く活用出来ている。もっとも言い方を変えれば、続編という甘えがある。聖騎士、剣の巫女、ミミズクは本作初見の読者においては、ミザリー(←さて、既読の方は分かるかな?)と価値的には何ら変わらない。このギャップを著者自身が理解出来ているかが気になるところ。本作は表題通り、毒吐姫のどこまでもワンマンな物語。それでも、一定の満足感を与えてくれる辺りは流石です。とりあえず、ナイス【挑戦】!誉めて遣わす、このMedeskiから《天位》をくれてやろう!

電撃文庫:毒吐姫と星の石/紅玉いづき (2010)

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 紅玉いづき

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メディアワークス文庫:ガーデン・ロスト/紅玉いづき

ガーデン・ロスト
1.春の繭
2.チョコレートブラッド
3.echo
4.ガーデン・ロスト

answer.――― 65 点

『ミミズクと夜の王』、『MAMA』、『雪蟷螂』の通称・人喰い三部作を発表した紅玉いづきが送る、メディアワークス文庫移籍・第1弾作品なのだが、石田衣良の出来損ない、そんな印象をまず受けた。というのも、レーベルのコンセプトに合わせて編んだのか、出来上がった作品にレーベルを合わせたのかは定かではないが、方法論に寄った造りで、紅玉いづき「らしさ」が希薄だったからだ。何のために舞台を現代にし、(自分にとって)何のために描いたのかが見えない。自身の作風の拡張。ファンタジー以外の題材への挑戦を狙ったのなら、とりあえずは失敗したことになる。本作執筆時点では、まだ自分の作家としての強味を理解していなかったようだ。ストーリーは、放送部に所属する“仲良し”女子高生4人のどこか脆く危うい日常を描いたもの。上記の方法論云々に言及させて貰うと、名前(あだ名)で「掴み」を取ろうとする展開だ。現代を舞台にすると、リアリティを意識する故に基本的に大それたファンタジーを自重する。すると、必然的に呼称で関心を惹こうと考える。石田衣良は基本的に全作品でソレを取り、それにセクシャルなネタを絡めてくるのが上手いのだが、著者は「エカ」「マル」「オズ」「シバ」のように捻りが無く、エピソード的にも面白味に欠けるのが残念。各登場人物が抱える後ろ暗い想いもパンチに欠け、他の作家でも代用が十分に利いてしまう。紅玉いづきしか描けない!そんなスパイスが無い。ただ、マルの自覚的な「足りなさ」、シバの360°回転の「大嫌い」はそれこそ「らしさ」もあり、片鱗を伺わせるのが救い。しかし、これでは大衆小説の物真似の域なので、劣等感に苛まれるライトノベラーのためにも、著者には引き続き精進して頂きたい。

メディアワークス文庫:ガーデン・ロスト/紅玉いづき (2010)

category: か行の作家

tag: OPEN 60点 紅玉いづき

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