ナマクラ!Reviews

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2013年8月のレヴュー更新(まとめ)

Twitterで軽くボヤった『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い』の記事を完成させようと思いつつ、ようやく積み崩したファンタジア大賞本屋大賞の受賞作品を内容覚えているうちに仕上げておきたいとお尻をポリポリしていたら、8月が終わってしまったェェェェェΣ(゚Д゚,,)ェェェェェ!?そして、メデスキ(二代目)が現れねえ☆-(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノイエーイ!まあまあ、それはそれで仕方なし、と。来月も更新すると思われますのでご愛顧、宜しくお願い致します!

●電撃小説大賞●
第18回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:ミニッツ 一分間の絶対時間/乙野四方字

●ファンタジア大賞●
第15回ファンタジア大賞 佳作:ISON ―イソン―/一乃勢まや
第13回ファンタジア大賞 佳作:西域剣士列伝 天山疾風記/松下寿治
第6回ファンタジア大賞 大賞:風の白猿神 神々の砂漠/滝川羊
第11回ファンタジア大賞 準入選:覇壊の宴/日昌晶

●受賞作以外のライトノベル●
電撃文庫:フルスケール・サマー/永島裕士 (2013)

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category: 更新情報

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電撃文庫:フルスケール・サマー/永島裕士

フルスケールサマー
1.夏休みまで
2.孤独のファンタジスタ
3.有明へ!
4.最終予選
5.模型部の終焉

answer.――― 65 点

地の文を飛ばし、「台詞」だけを追う―――その人の作家としての才能を量るなら、単純な方法としてそんな方法がある。台詞だけを追って、ストーリーを、キャラクターを把握出来、尚且つ、「面白げ」に思えるならば、その人は少なくとも作家を目指すだけの才能、資格があるだろう。逆にそれが出来ず、「面白げ」に思えなかったならば、……その人には本当の意味での文章力が求められる。エンタテイメント作品は結局、台詞が鍵を握る。そして、台詞は努力では誤魔化し切れない瞬発的な、持って生まれた才能が発露する場なのだ。夏の始め、転入をキッカケに優等生一筋だった己を変えようとする北条慶介が出会ったのは廃部寸前の「模型部」に所属する奇妙な少女たちだった。生徒会に理不尽に追い込まれる模型部を見兼ね、―――では、この場を借り、私は生徒会執行部に“原寸模型部”の設立を申請する!と啖呵を切る主人公にまずは拍手を。昨今、似通うライトノベルの主人公像の中にあって、本作の主人公は己の真面目を否定し、しかし真面目が抜けず、その真面目さ故に物語が進んでいくという《自己否定》を隠し味にした、隙間を突くグッドデザイン賞な造形。上述の啖呵も安過ぎ高過ぎずの出来で、高校生の領分をはみ出ない、生徒会執行部との詭弁対決を予感させてくれた。そう、著者、……台詞が心地良い。冒頭30頁は著者の秘めし才能、その見本市だ。台詞支える地の文の安定感もあり、おっととっと夏だぜ!と愉快な拾い物をした気分で頁を捲らせてもらったが、如何せん、―――長い。前のめりのあとがき含めての385頁。模型部の実績作りの紆余曲折、あらすじにしてみれば各イベントそれ自体は必要に思えるが、それがどうしてこんなに長くなるのか?本作、著者の要らぬエゴがある。それは「夏」であり、メインヒロイン「春日野鮎美」だ。前者に関しては「模型部」だけで勝負出来ると云えば伝わるだろう。後者は根が深く、おそらくスタンダードに話を組めば「春日野鮎美」とストーリー上のヒロイン「マナ」は一つであったはずなのだが、役割をあえて分割されている。メインヒロインが一人増えるのだから頁がかさむのは必然だ。ラストシーン、マナという名(と境遇)の春日野鮎美が全校生徒の胸を打つべきだったのではないだろうか?そんなこんなで何とも勿体無い、体重超過の良作。贅肉を削いだとき、著者と読者は同じモノを読める。その点、模型への拘りで不快感を感じさせなかったのは〇。

電撃文庫:フルスケール・サマー/永島裕士 (2013)

category: な行の作家

tag: OPEN 60点 永島裕士

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第24回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:かおばな憑依帖/三國青葉

かおばな憑依帖
1.猛母参上!
2.北辰の誓い
3.嘆きの夾竹桃
4.怨霊の紅き瞳
5.東海道地獄旅
6.城塞戸山荘
7.無慈悲な朝顔
8.決戦の時
9.終わり良ければすべて良し?

answer.――― 67 点

人智を超えたスーパー破天荒な時代小説誕生!との紹介文だが、先に結論から書いてしまえば、破天荒な時代小説と云えば聞こえは良いが、端にまとまり切れなかった時代小説というのが本作の実態だろう。八代将軍の治世、その将軍位の簒奪を狙い、ばらまかれたのは朝顔の毒!というように、パッとしたまとめ方をすれば、江戸時代というチョンマゲ社会に不似合いなモダンなバイオテロを予感させてくれるが、―――幼き田沼意次?吉宗?母親の生き霊?怨霊?隠密?柳生?猫又?……ぞ、象!?ええいっ、何でもござれ!この美貌のどら剣士がまとめて成敗してくれる!と雑な作品紹介を付け加えられれば著者でなくとも渋面になるように、アイディアを精査せずに盛りに盛って、スマートから遠ざかるセンスが残念。時代小説に限らずだが、オリジナリティに過大な自信を持つ、あるいは、ソレを求めてしまうと、肝心の「作品」自体が壊れてしまうことが多々ある。ストーリーさえしっかりしていれば、オリジナリティなんてものはほんの一つまみでも良いのだ。本作は《ばらまかれた朝顔の毒》というストーリーが(オリジナリティさえ伴って)良いのだから、せいぜいあとは「幼い田沼意次」だけで十分だった。また、視点切り替えを扱い切れていないのも頂けない。何のために視点を切り替えるのか?そこには最低でも(読み手にとっての)リスタートの意味合いが欲しい。雑多なアイディアの導入、安易な視点切り替えの多用、ストーリーがボヤける場面処理……総合的な観点で筆力の不足は明らかだ。それでも、評価したくなるのは美貌のどら剣士。偉大な老母の過干渉に心の内で毒づく様は成る程、愛すべきマザコン・デザイン。本作は、この主人公と母とのやり取りで大分救われている。しかしながら、俺なら―――と踏み出すなら、本作は「幼い田沼意次」だけで創るのが正解ではないかしらん?そんな大本のストーリーの魅力に著者自身が気づいていない、勿体無い作品。

第24回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:かおばな憑依帖/三國青葉

category: ま行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 60点 三國青葉

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第24回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:絶対服従者/ 関俊介

絶対服従者
(あらすじ)
突然変異で高度な知性を備えたハチやアリがヒトの代わりに働き、失業者が溢れる街で、おぞましい秘密工場の存在を知ってしまった俺。長期政権で街を牛耳る市長の悪事を暴くべく、決死の闘いから生還した先に待っていたのは、苦痛に満ちた絶対服従の日々であった――。異色のノンストップ昆虫SFバイオレンス劇。

answer.――― 82 点

『歪む教室』で角川学園小説大賞《金賞》を受賞し、デビュー!も、そこから先へ繋がらず、次作もまた打ち切られ、……よくあるデビュー、よくあるセールス不振、専業、兼業、そうして、「I'll be back...」と捨て台詞を吐いてドロップ!という凡百凡千の作家《お決まり》の流れに逆らい、第24回日本ファンタジーノベル大賞《優秀賞》を受賞して、再びメインストリートへ挑み直す「成らず者」関俊介。汚名返上をかけて編まれた本作は、知性を持った虫が労働者として人に代わる街が舞台。失業者溢れる街で、主人公は暗い心地のままにルポライターとしてその虫に携わって生活を営んでいたが、奇妙な依頼から街の「裏側」を知る……というストーリーライン。これから長く時事ネタになり続けるだろう雇用問題をファンタジーでアレンジし、社会派なテーマをライトにしているのが特徴で、その中で特に面白い試みと云えるのが、偽悪的と評される主人公の「一人称」。地の文でひたすら人称を省く様は一部選考委員、読者より「乱暴」「下手」と斬られるが、個人的に非常に「モダン」に感じた。現代、文章に求められるのは「軽さ」という表現に隠された「速さ」であり、読み手に如何にその速度を「体感」させるかが鍵を握る。著者は見事にソレを方法論として修得している印象。もっとも、そんな「速さ」の観点を除いても、この文体は職にあぶれ、荒んだ主人公の心中を上手く表現出来る書き口。ながら、本作の醍醐味は社会風刺や「蟻」「蜂」の擬人化、文章などテクニカルな部分では勿論なく、単純明快な逃亡劇にある。―――疾走に次ぐ疾走。「アリ工場」なる奴隷生産を目撃してしまったことから切って下ろされるスリリングなNEEDLED 24/7!はおよそハードボイルドなイヴェント目白押しで、ハルニレの蜜を持って蜂の巣となった廃墟へ向かうところでピークを迎える。人間の女性キャラクターは見事に登場しないが、途中より用心棒として配されるキイロスズメバチは、著者のライトノベル出自の意地を見せてくれる良質な“ツンデレ”ヒロイン。ラストの大人な別れの演出は、読み手の続編の希望を断ってくれるセンチメンタルなグッドシーンだ。虫の擬人化に関して詰めの甘さを指摘されるように、「文学」を兼ねる(らしい)日本ファンタジーノベル大賞の受賞作としてはややディテール不足は否めないが、補って余りあるエンターテイメントが本作にはある。地の文に「俺」が出てくるとき、……このままじゃ終われないよ!という著者の隠された咆哮も良い。本作、【推薦】させて頂きます。

第24回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:絶対服従者/関俊介  【推薦】

category: さ行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 80点 関俊介 推薦

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第23回メフィスト賞 受賞作:クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い/西尾維新

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い
(あらすじ)
絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、5人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする!工学の天才美少女「青色サヴァン」こと玖渚友(♀)とその冴えない友人「戯言遣い」」こと、いーちゃん(♂)は、「天才」の凶行を“証明終了”できるのか?新青春エンタの傑作、ここに誕生!西尾氏、イチ押し。―――(清涼院流水)!


answer.――― 75 点

谷川流のルサンチマン垂れ流してるから着地出来ないんだよ!なる指摘に、―――ご、ご尤も!とゴメス・チェンバリン並みに反省し、改稿しました。内容は実質変わっていませんので、コメント欄に添付した第一稿と比較してお楽しみあれ。
<萌え>とは何か?本作が出版された2002年において、その答えは現在に至る「萌え」の発生源であろうヴィジュアルノベル(18禁)の制作者たちでさえ捉え切れておらず、過去の成功作(ex.Leaf、Keyレーベルの作品群)を基に倣い、また倣い、<萌え>サンプルを自ら増やしていった、というのが当時代を眺めていた私の感想だが、そんな中にあって一早く<萌え>なるモノの本質を捉え、ライトノベルに置き換えたのがライトノベル界の三大犯罪者が一人、この西尾維新である。 約1年の後に出版された『涼宮ハルヒの憂鬱』の著者・谷川流と違い、西尾維新は間違いなく「掴んでいた」。そう、―――「萌え」など「無い」ことを。今現在でさえ<萌え>は、書き手の泣き所だ。庇護心/庇護欲を掻き立てる、という

(ただ今、編集中)

第23回メフィスト賞 受賞作:クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い/西尾維新

category: メフィスト賞

tag: OPEN 70点 西尾維新 三大犯罪者

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