ナマクラ!Reviews

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2013年9月のレヴュー更新(まとめ)

メフィスト賞をとうとう読み始めましたが、流石に界隈でもとりわけキワモノ集う公募賞。一作品、一作品の読書中、そして、読了後の疲労感はなかなかのものです。しかし、パトロン筋からタブーワードを課された『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い』を再再再改稿のやる気を手に入れるには、―――という惰性的な目的のために頑張っておりまふ。とりあえず、日本ファンタジーノベル大賞の受賞作、そのAll Completeまでカウントダウンが入りました。来月あたりで出来る予感。ちなみに、……何と言うか、ここは皆で(・∀・>)ゆりあピース! ← コレが今月のレヴューで作った一文の一番のお気に入りです。

●ファンタジア大賞●
第13回ファンタジア大賞 佳作:ラッシュ・くらっしゅ・トレスパス!/風見周

●スーパーダッシュ小説新人賞●
第9回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない/朝田雅康

●日本ファンタジーノベル大賞●
第24回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:かおばな憑依帖/三國青葉
第20回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:彼女の知らない彼女/里見蘭
第10回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:ヤンのいた島/沢村凛
第24回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:絶対服従者/関俊介
第23回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:さざなみの国/勝山海百合
第17回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:金春屋ゴメス/西條奈加
第7回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:バスストップの消息/嶋本達嗣

●受賞作以外のライトノベル●
ソノラマノベルス:インベーダー・ストリート/菊地秀行 (2005)
ソノラマ文庫:吸血鬼ハンター 風立ちて"D"/菊地秀行 (1984)
ソノラマ文庫:吸血鬼ハンター"D"/菊地秀行 (1983)
ハヤカワ文庫JA:スラムオンライン/桜坂洋 (2005)

●アーティスト一覧●
Kula Shaker
坂本真綾

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category: 更新情報

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Pilgrims Progress/Kula Shaker (2010)

Pilgrims Progress
1. Peter Pan RIP
2. Ophelia
3. Modern Blues
4. Only Love
5. All Dressed Up
6. Cavalry
7. Ruby
8. Figure It Out
9. Barbara Ella
10. When A Bravo Meets A Maid
11. To Wait Till I Come
12. Winters Call

Price Check.――― ¥ 200

再結成を喜びつつも、前作の煮え切らない内容―――Kula Shekerの「メンバー」でバンドをやりたかったのか、Kula Shekerの「名前」でバンドをやりたかったのか―――に嫌でも頭を過ぎってしまったのは、結局は集金目当ての「再結成」疑惑。そうして、三年の月日を経てリリースされた本作の方向性は如何に!?と構えてみれば、チェロで重苦しく刻んでくるリードシングル①「Peter Pan R.I.P」に象徴される脱インド音楽、脱東洋趣味。前作で見せていたインド音楽の減退はいよいよ極まり、フォークサウンドを基調にストリングスでまとめあげていく楽曲群が、1stアルバム『K』で貼りついたバンドイメージを徹底的なまでに剥がしていく。前述の①、マンドリン、リコーダー、ハーモニカで葬送する②、「ど」が付くフォークな⑥は開き直った《バンドの現在》を伝えてくれる楽曲。ながら過去は過去で昇華していて、Kula Sheker印が打たれたサイケデリックでグルーヴィーな③、脱インド撤回のシタール、タブラで編んでくる西部劇フォークの⑤は個人的なベストトラック。クリスピアン・ミルズ(Vo.&G.)の怪奇奔放なギターは鳴りを潜め、ハードロック的なダイナミズムをもはやこのバンドに求められないのが残念と云えば残念だが、その代わりの年相応の成熟を見せてくれているので「次作」への期待も出来る作品なった。ごった煮インストゥルメンタル⑩のエレキギターの挿し方は、まさに、……エレキギター!って感じで好きですワ。

Pilgrims Progress/Kula Shaker (2010)

category: H-N

tag: MUSIC 250円

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Strangefolk/Kula Shaker (2007)


1. Out on the Highway
2. Second Sight
3. Die for Love
4. Great Dictator (Of the Free World)
5. Strangefolk
6. Song of Love/Narayana
7. Shadowlands
8. Fool That I Am
9. Hurricane Season
10. Ol' Jack Tar
11. 6ft Down Blues
12. Dr. Kitt

Price Check.――― ¥ 150

フジ・ロック・フェスティバルへの参戦直前、再結成のご挨拶とばかりのEP「Revenge of the King」のリリースに狂喜乱舞した方々が追うのは結局、『K』の幻影―――90年代のブリット・ポップの庭に咲いた芥子の徒花Kula Shaker。本作は、彼らの通算3枚目、そして、再結成後初のオリジナルアルバム。その内容はフォーキーでブルージーな、……何とも「枯れた」内容。バンドのアイデンティティに挙げられるだろうインド音楽の色は減退し、よりシンプルなサイケデリック・ロックに近づいた印象。そういう意味では、クリスピアン・ミルズ(Vo.&G.)がKula Shaker解散後に結成したThe JEEVASがインド音楽に接近したと云う方がしっくり来る。エキゾッチクなコーラスが耳を惹く②が本作のリードシングル。これに続くねちっこいギターソロ映える③、前述のEPに収録されていた④、これぞKula Shaker!と懐かしめるインド音楽色濃い⑥あたりが本作の聴き所か。年を重ねればどんなロックンローラーも相応に落ち着くもので、このKula Shakerも例外ではないが、個人的に残念だったのはバンドのもう一人の主役アロンザ・ベヴァン(B.)のプレイ。本作中でも随所で流石のベースラインを披露してくれているが、このバンドのサイケデリックな部分を本当の意味で担っていたと思うので、もっと自己主張して欲しかったな、と。

Strangefolk/Kula Shaker (2007)

category: H-N

tag: MUSIC 250円

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シンガーソングライター/坂本真綾 (2013)

シンガーソンガー
1. 遠く
2. サンシャイン
3. everywhere(HAL mix)
4. ニコラ
5. Ask.
6. なりたい
7. カミナリ
8. 誓い(SSW Edition)
9. 僕の半分る
10. シンガーソングライター

Price Check.――― ¥ 150

「シンガーソングライター」、その表題通りの作詞&作曲、プロデュースまで坂本真綾自ら手掛けた意欲作。初のベストアルバム「Everywhere」で同名題の自作曲を手掛けて以来、曲ごとにプロデューサーが異なる7th「You can't catch me」など独り立ちへの準備をしていた感があったので、満を持してのリリース!とも云える本作。OPを飾る①はサビで繰り返される「遠く」以外に引っ掛かり少ない楽曲ながら、間奏のホーンセクションの物珍しさとドラムの主張の凄まじさに編曲者の仕事が見られる。と、このようにSSWの作品は結局、編曲次第で主役が変わるので、本作の鍵は編曲を担当した河野伸、渡辺善太郎の二人にある。前者は①、③、⑦、⑧、⑩を、後者はそれ以外の楽曲の編曲を担当。アルバムのリード曲はMVを作られた④なのだろうが、ハイライトは本作を既聴済みならば満場一致で⑦に決まるだろう。雷鳴のSEに導かれてギター一本、そこからVo.掛け合った後に絡んでくるストリングスは「SSW」坂本真綾を貶めることない編曲者の勝利だ。ながら、この⑦を除けば、可も無く不可も無く……の評価に落ち着く本作。手堅くまとめられ耳心地こそ良いものの、驚くような「何か」は見当たらず、曲の区別がつく瞬間は間奏(編曲者)任せになってしまっている。菅野よう子がプロデュースから離れても、ファンが坂本真綾を追い続けるのは「声」が主だった理由なんだろうから、SSWなんて箔付けで三十路を過ぎた女性の「これから」を巷の48グループ的な「成長」を見守る観点で《買う》のはキツイ。SSW成長譚はシングルのB面で披露して頂いて、次作以降は楽曲提供をしっかり受けて臨んで欲しい。それこそ未だ現役!なSSWの鈴木祥子なりに丸々一作プロデュースを受けるなりして。『かぜよみ』収録の「失恋カフェ」の出来も良かったので、TABO(ex-Superfly)のプロデュースでも面白そう。クレジットの注釈通り、③&⑦は過去収録の楽曲のmix違い、Ver.違いです。

シンガーソングライター/坂本真綾 (2013)

category: あ-な

tag: MUSIC 250円

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Driving in the silence/坂本真綾 (2011)

Driving in the silence
1 Driving in the silence
2 Sayonara Santa
3 Melt the snow in me
4 homemade christmas
5 今年いちばん
6 たとえばリンゴが手に落ちるように
7 極夜
8 誓い
9 Driving in the silence -reprise-

Price Check.――― ¥ 100

安心のマーヤ節と受け取るか、既存のファンに秋波を送って来たと邪推するか……河野伸をサウンドプロデューサーに招いて、賛否両論の7th『You can't catch me』から約10カ月とわずかな期間を置いてリリースされた本作は、<冬>をコンセプトにしたミニアルバム。曲の提供者にはアニソンをジャズでアレンジする人気シリーズ「Platina Jazz」で知られるラスマス・フェイバー、江口亮、永野亮、柴草玲と新顔が揃う。それでもPVも作成された②からも分かる通り、本作の目玉はやはりラスマス・フェイバー。<冬>がコンセプトと決めて、冬と云えば「―――北欧」というやや安直な連想からの提案ながら、そこからラスマス・フェイバーを引っ張ってきたのは面白い展開。さてどんな曲になるかと思いきや、②はストリングスアレンジといい、奇を衒うことのない「いつもの」坂本真綾ソングでビックリ。耳馴染み良く、これは出だし好調……と安心していると、同じくラスマス提供の③で「……セルフカバー?」と思わずクレジットを見ることとなる。いや、困ったことに③だけではない。他の曲も総じて既視感ならぬ既聴感が付きまとう。ただ、楽器アレンジ多いオモチャ箱ソング⑥で気づくのは、根本的な問題は<歌メロ>にある事実。これは坂本真綾自身では(気づいて欲しいが)気づけないかもしれない。だからこそ全曲編曲に携わった河野伸にどうにかして欲しかった。……いや、もしかすると、編曲した結果こうなったのか?そもそも、ストリングスの挿し込み方といい、編成といい、全部「同じ」に聴こえるぞ?幾らなんでもパターン少な過ぎじゃね?と私個人の判定はアウトながら、新規さん、坂本真綾マンセーな諸氏には安心の一作。BEST盤『everywhere』収録の表題曲以来の自身による作詞/作曲の⑧も収録されているので、彼女のSSWとしての成長具合を確かめるのも良いかもね。

Driving in the silence/坂本真綾 (2011)

category: あ-な

tag: MUSIC 100円

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You can't catch me/坂本真綾 (2011)

You cant catch me
1. eternal return
2. 秘密
3. DOWN TOWN
4. 美しい人
5. キミノセイ
6. ゼロとイチ
7. みずうみ
8. stand up,girls!
9. ミライ地図
10. ムーンライト(または“きみが眠るための音楽”)
11. 手紙
12. トピア

Price Check.――― ¥ 150

先行リリースされたシングル③が70年代に活躍した伝説のバンド「シュガー・ベイブ」のカバーというところからも察せられる通り、収録曲の諸所にレトロな音遣いが目立つ本作。坂本真綾自身もそれに合わせて他作品とは一風違った歌唱を披露し、そこが新鮮で耳を引く。全体的に懐古的でポップスに寄り過ぎな感もあるが、これは坂本真綾の意向というよりは、レコード会社の方針が透けて見える。インターネットの発達により<フリー>思想が蔓延している現在、固定ファンを持っている……踏み込めば、CDという不当に高い<モノ>を買ってくれるファンを持つアーティストを如何に抱えられるかがレコード会社の喫緊の課題な訳だが、坂本真綾は声優であり、故に彼女の支持層は9割方「ヲタク」である。この熱心な購買者を取り逃がさないためには単純にアニメの主題歌とタイアップさせればいいのだが、……要は、若い今は良いが、5年後、10年後はどうなのかと。菅野よう子に見い出されて以来、10代の瑞々しい感性を歌ってきた坂本真綾。その親元を離れて挫いて折れて、前作でとうとう20代の歌を手に入れ、本作では30代で歌っても恥ずかしくない曲を獲得するのがテーマなのだろう。これは実際、女性アーティストには大事な視点で、同じく年齢を重ねていくファンにも優しい視点と云える……がしかし、試みは賛成出来るものの、肝心の曲がパンチに欠ける。スネオヘアー(⑤)、スキマスイッチ(⑥)など従来の作曲陣以外からの楽曲提供も本作のセールスポイントのひとつに挙げられるが、もっと無茶ぶりして良かったと思う。例えば前者なら「トライアングラー」ばりに叫ばせても良かった。その点、もはやお馴染みの鈴木祥子の提供曲⑧は流石の出来。溌剌した女性像を想起させる曲で、歌い手が年を重ねてもその分だけ魅力を増しそうなのが素晴らしい。前作に引き続きスポット参戦した菅野よう子提供の④はリズム面からして明らかに異質の光を放っている……自由だなぁ~、この人。固定ファンには拒否反応が出てしまうだろうが、個人的には今後の坂本真綾に期待を持てた一作。全編鈴木祥子プロデュースの作品が聴いてみたいね。

You can't catch me/坂本真綾 (2011)

category: あ-な

tag: MUSIC 250円

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かぜよみ/坂本真綾 (2009)

かぜよみ
1. Vento
2. トライアングラー  
3. 風待ちジェット~kazeyomi edition
4. Remedy
5. 雨が降る
6. Get No Satisfaction!
7. 蒼のエーテル
8. 失恋カフェ
9. SONIC BOOM
10. ピーナッツ
11. さいごの果実
12. Colors
13. カザミドリ
14. ギター弾きになりたいな

Price Check.――― ¥ 300

自身のシングルでの最高記録であった3rdシングル「奇跡の海」のセールスを約10年振りに更新した②はTVアニメ「マクロスF」のオープニングという話題もさることながら、久方ぶりの菅野よう子の楽曲提供ということが何よりもファンを狂喜させた。曲自体も、坂本真綾「らしくない」声を張り上げる意外性のあるもので、これまた、プロデューサーとしての菅野よう子の辣腕ぶりを証明。そのままアルバムも全編プロデュースに戻るのかと思ったら、そこは話が違うようで、関わっているのは②と⑦のマクロス関連のみ。しかし本作、ようやく<脱・菅野よう子>と評しても批判を浴びない良質のポップスを揃えた好盤となった。やはり注目すべきは、<10代の歌>を止めたことだろう。鈴木祥子の手掛ける③、⑪のシングルはもちろんだが、収録曲はこれから年齢を重ねても歌える曲となっている。ボッサ歌謡⑧はその象徴的トラック。歌詞も含め、残り30秒からの展開は「新しい」坂本真綾と称えるに相応しい仕上がりだ。曲のバラエティに富んでいるのも特徴で、ライヴで自らリズムギターを弾くストレートなポップ・ロック⑥は中盤の良いアクセントになっている。大ヒットとなった②が実はこの作中で違和感バリバリの曲なのだが、エスペラント語で歌われる小曲①の後に配されているために気にならないのが隠れたファインプレー。ラスト⑫のアットホームな音作りも良かった。ファンの新規開拓も出来る坂本真綾の20代最後のアルバム。キャリアの上では、中期の代表作に数えられるだろう。

かぜよみ/坂本真綾 (2009)

category: あ-な

tag: MUSIC 500円

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30 minutes night flight/坂本真綾 (2007)

30minutes night flight
1. 30minutes night flight
2. ドリーミング
3. 記憶 - there's no end
4. 僕たちが恋をする理由
5. セツナ
6. ユニバース
7. 30minutes night flight-sound of a new day

Price Check.――― ¥ 100

前作での悪夢がありありと残るファンに、―――菅野よう子復帰!の吉報のないまま届けられたのは、『30 minutes night flight』と題されたミニアルバム。本作は全曲を合わせて「30分」のランニングタイムに設定されたコンセプトアルバム。坂本真綾のコンセプトアルバムと云えば同じくミニアルバム『イージーリスニング』が曲から歌詞(私が坂本真綾の歌詞で「巧い」と思うのはこの作品に収められたものだけ。異常に「巧い」故に、実はここでの歌詞、本当は書いてないんじゃないかとさえ疑っている)まで傑作だっただけに、否が応でも期待してしまうが、……さて、その結果は如何に?30分間の夜間飛行の幕開けを飾る①は新境地とも云えるダンスビートを採用した佳曲で、前作から遡って「初めて」外部ライター起用の意味を見い出せる一曲。それで、次の曲は、……と期待してはいけないのが本作。②からは前作での悪夢がフラッシュバックしてくるかのような、当たり障りの無さが逆に印象を悪くしてくれる曲が並ぶ。そういう意味ではコンセプトに反して、眠れない夜も思わず眠れてしまう退屈さはある作品だ。そんな中、坂本真綾自身が度々フェイバリットに挙げる⑥は聴き込んでくるうちに沁みてくるバラード。作曲した鈴木祥子(SSW)を前作の曲提供以来、随分と信頼しているようで、シングルでも続けてコラボしている。三十路も間近となり、曲にせよ、歌詞にせよ、相応の成熟を求められるなかで、40を超えて歌詞を書ける人に興味を持ったのかもしれない。もどかしさが残る内容ながら、上記に挙げた①と⑥、そして、時間制限のコンセプトで菅野よう子不在をファンにどうにか現実として受け入れさせた作品。

30 minutes night flight/坂本真綾 (2007)

category: あ-な

tag: MUSIC 100円

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夕凪LOOP/坂本真綾 (2005)

夕凪LOOP
1. Hello
2. ハニー・カム
3. ループ
4. 若葉
5. パプリカ
6. My Favorite Books
7. 月と走りながら
8. NO FEAR / あいすること
9. ユニゾン
10. 冬ですか
11. 夕凪LOOP
12. a happy ending

Price Check.――― ¥ 50

このアルバムを聴いて、まず思った……というか、気づかされたのが、自分は坂本真綾が好きなのではなく、菅野よう子の曲を歌う坂本真綾が好きだという事実。デビュー以来、一貫してプロデュースを手掛けてきた菅野よう子と離れた本作は、順調に<アーティスト>としてのキャリアを積み上げてきた坂本真綾に初めての明確な挫折をプレゼントしてしまった一作となった。坂本真綾が一声優から一アーティストへとそのランクを大きく上げたのは、CD Journalやミュージック・マガジンなどの音楽専門誌で2ndアルバム『Dive』が年間のベストアルバムに選定されたことに起因する。そこでの称賛は彼女の透明感のある声、それと10代の瑞々しい心情、日常の風景を切り取る作詞に当てられ、それ以来、菅野よう子のバラエティ豊かな楽曲を彼女の力で見事に昇華……なんてファンの勘違いをまさに正してくれたこのアルバムの曲は、7人もの外部ソングライターが持ち寄ったにもかかわらず、いずれも右から左に流れていく気の抜けたポップソング。それを証明するように、後に出すベストアルバムにはシングルとなった③(しかし、「ループ~sunset side」と改題されて完全に編曲し直されている)及び、安定のバラード⑧以外見事に収録されていない。とにかく、菅野よう子が関わらないだけでここまでつまらないアルバムになるとはファンでさえ思わなかった。菅野よう子と本作の作曲陣の分かり易い差は、ベースパートにあるだろう。聴き比べてみれば分かるが、菅野よう子はベースそれだけを追うとプログレ的展開をしているのだが、それでキャッチーに聴こえるのだから意味が分からない。それだから、本作のようなストレートなポップソングでは坂本真綾そのままの実力が出る。本作は、等身大の坂本真綾がいる。適度に透明感のある声で、日常を変わった語彙を使うことなく描くセンス。そして、曲を邪魔しない「無」個性。ラストトラック⑫がせめてもの救いのように平凡に輝く。

夕凪LOOP/坂本真綾 (2005)

category: あ-な

tag: MUSIC 100円

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ソノラマノベルス:インベーダー・ストリート/菊地秀行

インベーダー・ストリート
1.風の名はアムネジア
2.インベーダー・サマー

answer.――― 74 点

まずは、著者の本作に収められた作品への声明を御覧下さい。

『インベーダー・ストリート』に収められた二作は、私が最も好きな初期作品である。『インベーダー・サマー』は第三作、『風の名はアムネジア』は第四作―――この二作には、作家としての踏み出した私の気負いと闘志が漲っている。それは、今なお、読者を挑発し、面白い、と言わせることを止めない。若書きだが、その若さこそ、実は小説の生命だと読み取っていただきたい。

どうですか?まるでアメ公に目の前でガムを食っちゃべられながら、中指を突き立てられたような錯覚に陥りませんか?でも、これで良いのです。読み手と書き手の関係はこれくらい緊張感があったほうが健全です。「魔界都市<新宿>」「吸血鬼ハンターD」など、多くの著名シリーズを持つ菊池“Duke”秀行。シリーズ以外の単発の作品も数知れず、どこから手をつければ良いのか皆目見当つかないのが、後追いの読み手、そのあるあるな悩み所ですが、上述のような挑発―――「この作品を扱き下ろせるもんなら扱き下ろしてみろっ、凡人どもがっっ!」なるビッグマウスを叩かれれば、こちらも(……舐めんなよ?)と取る物も取り敢えず真剣で斬りつけたくなるものです。本作は別冊の単行をまとめた企画本。著者自ら若書きと謳うように、両作ともに手抜き無しのエゴイズム溢れる筆が魅力で、特に三作目にも係わらず、本作では敢えて後ろに配したのだろう『インベーダー・サマー』は、思春期の恋とは!の内容を含めた若気の至りが狂い咲く。正味な話、SFとはいえ、指一本でチンピラ半殺しーの、男連中最初から最後まで初恋ドッキリーの、事件は青春の一言で片付けーの、殺し屋(頭)痛いーの、とギャグにさえ思える「超」展開満載なのだが、目血走らせたDQNに「この作品を扱き下ろせるもんなら(ry」と喉元に筆ペン突きつけられれば「す、凄いッス!公爵、この作品は凄いッス!」と答えざるを得ない展開度外視させる脅迫的且つ、妄執的な文章が(マジで)凄い。腐乱死体でもあんのか、ここには!?と至る所で描写が蠅のようにまとわりつき、皮肉なく、若書きなる意味が解る逸品となっている。その点、四作目の『風の名はアムネジア』は心落ち着け、物語及び展開を修正しに来ている印象。突如、言葉の意味すら失った世界、そこから起こった惨劇の末の現在。謎のヒロインから主人公に課される「仲間探し」はバッドエンドさえ予感させるスリリングなリードブロー。が、言葉を失った世界故に、主人公の台詞がひたすら「ひらがな」というのは成る程、若書きな拷問である。しかし、声明通りの野心溢れた入魂の両作。「作家」の自負がある方は一作はこういう―――俺だ!俺だ!!俺だ!!!俺だ!!!!な若書きを残して欲しいね。本作の配点は『インベーダー・サマー』は76点、『風の名はアムネジア』は71点、両作を加して除して四捨五入の点数です。

ソノラマノベルス:インベーダー・ストリート/菊地秀行 (2005)

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 菊地秀行

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