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2013年10月のレヴュー更新(まとめ)

今月冒頭はファミ通文庫作品のレヴューを立て続けにすることになったが、しかし、残りの有名どころは終わりの見え無さに心が折れて後に回すことにした。そして、ようやく全て読み終わった日本ファンタジーノベル大賞受賞作群のレヴューが終わって、いよいよ忌まわしメフィスト賞受賞作群に突撃レヴュー!とりあえず、5回区切りで連続してUPして行こうかな、と。

●電撃小説大賞●
第19回電撃小説大賞 大賞:アリス・リローデッド ハロー、ミスター・マグナム/茜屋まつり
第19回電撃小説大賞 大賞:きじかくしの庭/桜井美奈

●えんため大賞●
第11回えんため大賞 優秀賞:空色パンデミック1/本田誠

●日本ファンタジーノベル大賞●
第14回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:戒/小山歩
第19回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:ブラック・ジャック・キッド/久保寺健彦
第21回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:増大派に告ぐ/小田雅久仁
第9回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:競漕海域/佐藤茂
第19回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:厭犬伝/弘也英明
第22回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:前夜の航海/紫野貴李
第16回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:ボーナス・トラック/越谷オサム
第22回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:月のさなぎ/石野晶

●受賞作以外のライトノベル●
ファミ通文庫:東雲侑子は全ての小説をあいしつづける/森橋ビンゴ (2012)
ファミ通文庫:東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる/森橋ビンゴ (2012)
ファミ通文庫:東雲侑子は短編小説をあいしている/森橋ビンゴ (2011)
ファミ通文庫:ココロコネクト ヒトランダム/庵田定夏 (2010)

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category: 更新情報

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ファミ通文庫:東雲侑子は全ての小説をあいしつづける/森橋ビンゴ

東雲侑子はすべて
(あらすじ)
3年生になり、卒業後の進路の事を考えなくてはならない英太。東雲はやはり進学するという。特別優れているわけでも劣っているわけでもない自分も、ひとまずそう考えるべきなのだろうと思いながら、自分のやりたい事が分からずに迷う。小説家という夢を既に実現してしまっている東雲と自分を比べて、漠然とした焦燥に駆られる英太だが、東雲と過ごしてきた時間が、彼の望む未来をほのかに照らし始める……。

answer.――― 66 点

男が雄であるために、避けて通れないもう一つの真剣勝負―――株式会社ナインストーリーズ代表取締役こと何の変哲もない高校生、森橋ビンゴこと三並英太が初めてのセックスに挑む!!ファミリーレストラン・ジョナサンで、覚醒する男の性、漢のSAGA!! 大好評、「東雲侑子」シリーズの最期を飾る本作は《少なくとも俺は、東雲の事を心から好きだと言える。純粋に。》と最初から最後までアクセル全開で惚気るHAPPY×HAPPY・Chainsaw Hな一作。稀に見るChainsaw H仕様らしく、前作でたわわなオッパイで誘惑してきた喜多川絵夢(18)は教育実習生(22)に破廉恥に告白され、♂が♀にバチコーン!クラスメイトの男たちは一人の女よりもお互いの友情を選んで、♂が♂にバチコーン!眼鏡外したあの子も後輩に告白させて、♂が♀にバチコーン!司書もパン屋で、♂が♀にバチコーン!兄貴とそのカノジョも、ゴムを着けていつも通りに♀が♂にバチコーン!と、全ての登場人物が「オレタチ、HAPPY×HAPPY!!」(;/゚)⊃[□;';';';';';';';';';';)と無敵のジェイソンとなって、それぞれ幸せになる展開は、上述の通り、―――森橋ビンゴ、ファミリーレストラン・ジョナサンで覚醒する男の性、漢のSAGA!! で、思わず(……うわぁ頑張ったなぁ)と著者の年齢を鑑みてしまい、素で感心してしまった。本作最大の見せ場は、やはり三並英太&東雲侑子、両名の旅館でお泊まり場面だろう。憧れの有美さんによるコンドーム指導等、読み手を(……準備は良いですか?良いですね?本当にやりますからね、私は止まりませんよ?)と煽りに煽って、部屋のドアが閉まれば、もう我慢出来ず、―――の主人公の青い衝動によるベッドへの押し倒しは、はわわわわわわ(〃ノωノ)と赤面必至の演出となっている。とまあ、茶化し気味に書いてはいるが、シリーズ全3巻、著者が真摯に作り上げたことが伝わる良質の青春譚。続刊毎に点数が控え目になっていますが、如何せん、展開が平坦なんでね。こんなもんだと思います。

ファミ通文庫:東雲侑子は全ての小説をあいしつづける/森橋ビンゴ (2012)

category: ま行の作家

tag: OPEN 60点 森橋ビンゴ 「東雲侑子」シリーズ

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ファミ通文庫:東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる/森橋ビンゴ

東雲侑子は恋愛
(あらすじ)
2年に進級した英太と東雲。東雲との関係が公になったことで心なしか賑やかな学校生活になってきた英太とは対照的に、東雲は初めてのスランプに陥っていた。そんな折、演劇部の女子喜多川が、「学園祭の舞台の脚本を東雲さんにお願いしたい」と英太に頼み込んでくる。その頼みを気分転換も兼ねて引き受けることにする東雲だが、思うように筆の進まない東雲と、奔放な喜多川に振り回される英太は少しずつすれ違っていき……。

answer.――― 68 点

「創作手法」の面からライトノベルと大衆小説のクロスオーバーに系譜を連ねてきた異色の恋愛譚「東雲侑子」シリーズ、第二弾。前作のレヴューから引用させてもらえば、その概要は《本当に俺は東雲が好きなのか?》というもの。前作で《俺は、東雲侑子の事が好きなのだ。》と気づいた主人公が、自分に好意を寄せる第三者が現れることで、思春期特有(?)の疑念を抱き、―――の展開には他作品と比したところで、特段の目新しい場面があるわけでもない。しかしながら、大衆小説に読み慣れていない(人生経験値少ないTeenな)ライトノベラーならば、無口な兄とその彼女の恋愛事情を交えた《本当に俺は東雲が好きなのか?》の丁寧な流れに十分な満足感を得られるだろう。前作に続いて本作も気に入ったのなら、そのままの勢いで完結編となる次作「東雲侑子は全ての小説をあいしつづける」で、……俺たちって、最高!エターナル・ラブ!なハッピーエンドを迎えて損は無いはずだ。さらりと学年が上がっていくのは青春の三部作に仕上げるべくの、著者のツボを押さえにきたアレンジ。……しかし、シリーズの表立ったギミックの東雲侑子が作家である設定は、本当にブラフみたいなもんだな。東雲侑子が作家である必要性がほとんど無い。作品の焦点をあくまで「思春期の恋愛」に置いてるからなんだろうけど、例えば設定を活かして、作家あるある披露したりの豆工夫、豆サーヴィスをしても良いんじゃねえかと思う。

ファミ通文庫:東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる/森橋ビンゴ (2012)

category: ま行の作家

tag: OPEN 60点 森橋ビンゴ 「東雲侑子」シリーズ

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第11回えんため大賞 特別賞:ココロコネクト ヒトランダム/庵田定夏

ココロコネクト
1.気づいた時には始まっていたという話
2.「お」から始まる『アレ』
3.そいつ曰く、なかなか面白い人間たち
4.人と繋がって、爆弾を抱えて、一週間が経って
5.ジョバーはなにを思う
6.ローブロー最強説
7.終わる。始まる。変わる。
8.そういう風に生まれた人間
9.ある告白、そして死は
10.……

answer.――― 71 点

○○系、××モノ―――そんな風に作品の題材をアバウトにカテゴライズするならば、本作は人格転移モノ。ひと癖あるアレンジは、主要登場人物5名のうち2名が、頁を進めれば、4名が「ランダム」に人格転移すること。そこに、思春期のちょっとばかりナチュラルな厨二パーソナリティが混入している文化研究部員がナイーブに恋を、友情を育み、心を掻き乱していく物語。人格転移モノのセオリーは1on1なその事象と並列して起こる何某かな事件を解決or巻き込まれる、というものだと思うが、本作では事件らしい事件は起こらず、人格転移によって登場人物それぞれの心の問題を暴いていく展開となっている。これはライトノベルでは案外に珍しく、分類すれば「文学」方面のアプローチで、ともすると派手さに欠け、退屈に直結するのだが、例えば本作中の中心人物として描かれる八重樫太一の「自己犠牲」、稲葉姫子の「人間不信」など、現実で誰しもある『悩み』を極大化し、『病気』として扱うことで読み手の関心を惹くアレンジ。男女による人格転移に付きものの、シモ事情は2章【「お」から始まる『アレ』】の072な章タイトルからも察せられる通り、出し惜しみない(もっと攻めても良かったと思うが)。自家製に拘らず、既存の手垢ついたアイディアを組み合わせて【オリジナリティ】を成立させる著者の背伸びしない取り組み方にも好感を抱く。ただ、人格転移が何故に1on1で占められるのかと言えば、―――処理の労。本作の最大の難点と云えるのは、誰が誰に転移しているのか示す括弧を用いた表記。キャラクターを把握し切るまで、相当の不快感を伴う。読み手の主な感情移入先になる八重樫太一の「自己犠牲」思考&行動もナルシズムに似た性質が強く、こちらも不快感伴う場合が多いだろう。しかしながら、人の無意識下、表面化していない「問題」を暴いていく様はいつの時代も醍醐味で、『病気』にまで膨らませてのアプローチはライトノベル「らしさ」を心掛けていて、ライトノベラーにはそこを一番「買って」あげて欲しい。個人的ハイライトを挙げるなら、「俺は稲葉を―――――――――オカズにしたことがある」なる秘密の告白。上げたハードルをしっかり超えてくるプロフェッショナルな仕事っぷりに、作中の話とはいえ、思わずゴクリと慄く暴露だった。実はイラストレ-ターの(印象操作気味の)アシストも見逃せない作品。第11回えんため大賞特別賞受賞作です。

第11回えんため大賞 特別賞:ココロコネクト ヒトランダム/庵田定夏

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 庵田定夏

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