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2014年03月のレヴュー更新(まとめ)

ずっとやりたかった企画【この受賞作を読め!】をついにUP出来ました!……というか、そもそものブログ立ち上げの目的をすっかり忘れていた失態。いやいやいや、思い出して良かったよ本当に。そんな今月でしたが、ついにメフィスト賞のレヴューを開始したことに是非とも注目して欲しい。つーか、逃げてたわけじゃねえから!普通に読むのが辛かっただけだから!特に、『コズミック』!そして、未だにその『コズミック』のレヴューが終わらねえし!どうすっぺ!どうすっぺ!という訳で、また来月!ばいちゃ! ← と予約投稿で書いておいたら書き上がったわ。

●この受賞作を読め!●
この受賞作を読め! 【電撃小説大賞:第1回 ~ 第10回!】
この受賞作を読め! 【日本ファンタジーノベル大賞:All Time Best!!】
この受賞作を読め! 【日本ファンタジーノベル大賞:第21回 ~ 第25回!】
この受賞作を読め! 【日本ファンタジーノベル大賞:第11回 ~ 第20回!】
この受賞作を読め! 【日本ファンタジーノベル大賞:第1回 ~ 第10回!】

●メフィスト賞●
第1回メフィスト賞 受賞作:すべてがFになる/森博嗣

●日本ファンタジーノベル大賞●
第25回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:忘れ村のイェンと深海の犬/冴崎伸
第25回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:星の民のクリスマス/古谷田奈月

●アーティスト一覧●
Hot Space/Queen (1982)
Flash Gordon/Queen (1980)
The Game/Queen (1980)
Jazz/Queen (1978)
News of the World/Queen (1977)

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category: 更新情報

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この受賞作を読め! 【電撃小説大賞:第1回 ~ 第10回!】

今や天下に号令をかける電撃小説大賞の黎明期からいよいよ攻勢に転じる成長期直前と云える【第1回~第10回】までの受賞作から5作+次点をチョイスしてみました。短評、総評もつけたので、過去の受賞作に興味がありつつも未読のまま、……な方は参考にしてみて下さい。では、始まり始まり~!

* 作品タイトルをクリックすると、その該当作品のレヴューページに飛びます。

同級生と大人たちに色々な卒業を迫られるライトノベラーに「……僕はここにいてもいいんだ!」と錯覚させ、ずっとライトノベルを読むことを肯定させた記念碑的作品。多くのライトノベルがTeenな主人公を採用するにもかかわらず、日々迫る“将来”へ対する憂鬱を未だ描けずにいるが、10余年前に出版された本作は、その第1章「浪漫の騎士」で《ブギーポップ》というファンタジーを絡めて見事に描いた。頁をめくれば、そこにモラトリアムなアンニュイがある一作。思春期のうちにどうぞ。

ライトノベルと大衆小説のクロスオーバーの先陣を切った作品……というと、やや語弊があるかもしれないが、ライトノベルというジャンルが時代の潮流的に求めていた「シリアス」な一面を押し出してきた一作。何が「シリアス」なのか?それは本作の「1章」、続く「2章」に目を通せば分かるだろう。ただ、「3章」以降は趣味の分かれるところ。白馬の王子様的ロマンスが待っている。誰が呼んだか、有川浩の「自衛隊三部作」の一作目。

バッド・ボーイ製造機、成田良悟のデビュー作。禁酒法時代末期のアメリカを舞台に、マフィアを交えた不死の酒を巡る群像劇を展開する。映画を思わせる歯切れの良い場面切り替え、マフィアを雰囲気損なうことなく、ライトノベル仕様に仕立てているのが特徴。キャラクター先行の物語には違いないが、いわゆるライトノベルとは一線を画す徒花的作風。

題材は王道、「野球」……主に筆力(ex.「努力」場面の処理など)の関係で、スポーツを題材としたライトノベルの成功例は数えるほどだが、その稀少な成功例に挙げられるのが本作。実在するプロ/アマ問わずの選手のエピソードを交え、現実ではなかなか「一見」出来ない、「百聞」な知識を施してくれる。それまで興味の無かったジャンルへ好奇心の芽を植えてくれる有用なライトノベル。時事ネタが多く、鮮度が切れてしまっているのが残念。

巷にあふれ返る「陰陽師」を題材にした作品のなか、ライトノベラーが卑屈になることなく自信を持って薦められるだろう「陰陽師」題材のライトノベル。マニアックになり過ぎない知識、作品のために誂えた文体、陰陽師と云えば、……の「阿倍晴明」も差別化を図ったデザインで、安易なアイディアを挟んでこない。著者の真摯な創作姿勢がうかがえる作品。

猫が好きならば、=ライトノベラー!は成り立たなくても、ライトノベラーならば、=猫が好き!が成り立つほどに、ライトノベラーは<猫>に弱い。本作は、随所で猫が徘徊する作品。ただ、単なるマスコットものかといえば「話」は違う。ほのぼのした日常にどこかバッドエンドが薫る。派手さに欠けるが、そこに渋味があるライトノベル。

☆☆  総評  ★★

ランクイン作品をご覧になれば分かる通り、錚々たる顔ぶれ……というよりも、わざわざ選ばなくても、一端のライトノベラーの皆さんならば既読済みの有名作ばかりが並んでしまったが、1位と2位の作品に関しては事実上、電撃文庫を象徴する作家のデビュー作なので誰が選んでも動かしようがなかったかな、と。3位以降が人によって選ぶ作品も順位も変わる印象。第10回までの電撃小説大賞《大賞》受賞作は、7作。そのうち、第2回の『ブラック・ロッド』、第9回の『キーリ 死者たちは荒野に眠る』の2作がこの手の企画で支持を集めそうな作品だが、個人的に前者はいかにもSFから路頭に迷って投稿されたような作風から、後者はTeen受けする翳りがあるので【次点】にするか迷ったものの、コンパクトさに欠ける印象で選外にした。この他、私の中でランクインさせようか迷った、第6回の『ダブル・ブリッド』、第7回の『ウィザーズ・ブレイン』、第9回の『七姫物語』あたりもそれぞれ長期シリーズとなった事実からもランクインに相応しい支持を受けるかな、と。そんな中、3位、4位、5位の作品を選んだ理由は、エンターテイメント面の質の高さもさることながら、当時の電撃小説大賞らしい、「イロモノ」手前のライトノベル具合から。3位の『バッカーノ!』は、ストーリー展開こそ難があるが、著者の成田良悟のキャラクター作りと演出はやはり他作品では見掛けない魅力がある。4位の『若草野球部狂想曲』は、これぞ知る人ぞ知る良作。時事ネタが多く(阪神の川尻って言っても現代っ子はもはや解らんだろう)、完全な消費期限切れを起こしているので是非とも【現代版】としてリメイクして欲しい。それでも、読む価値は十分にある鮮度切れの一作だ。5位の『陰陽ノ京』は単純にライトノベルを読もうとして、……ライトノベル?と首を傾げてしまう感じになるので「5位」に置かせて頂いたが、受賞作中一番「巧い」ので、その意味でも読む価値はあると思う。次点の『吸血鬼のおしごと』は、とりあえず「猫」が出ているので推してみた……と云うのは半分冗談で、半分は本気だ。賞の歴史やらを重視するなら、第7回の『天国に涙はいらない』を選んでも良いかもしれないが、今読んでもそれ程価値があるとは思えないので選外にしました。そんな感じで、【第11回~第20回】編も該当受賞作を全部読み次第、作ってみようと思います。ではでは!

以下に電撃小説大賞の受賞作のみの【点数一覧】を付け足しておきます。相対評価なので、ちょいちょい点数は前後しますのでご了承下さい。

☆ 受賞作:点数一覧 ★



80

79  陰陽ノ京/渡瀬草一郎  【第5位】

75

☝  満足  ☟  普通


74  

73

72  我が家のお稲荷さま。/柴村仁
    ブラックロッド/古橋秀之
    リングテイル 勝ち君の戦/円山夢久

71  吸血鬼のおしごと/鈴木鈴  【次点】

70  ブギーポップは笑わない/上遠野浩平  【第1位】
    七姫物語/高野和

69  塩の街 wish on my precious/有川浩  【第2位】
    天国に涙はいらない/佐藤ケイ
    バッカーノ! The Rolling Bootlegs/成田良悟  【第3位】

68  ウィザーズ・ブレイン/三枝零一
    ダブルブリッド/中村恵里加

67  大唐風雲記 洛陽の少女/田村登正

66

65  

64  キーリ 死者たちは荒野に眠る/壁井ユカコ
    シャープ・エッジ stand on the edge/坂入慎一

63  若草野球部狂想曲 サブマリンガール/一色銀河  【第4位】
    結界師のフーガ/水瀬葉月

62  先輩とぼく/沖田雅
    五霊闘士オーキ伝 五霊闘士現臨!/土門弘幸

61  

60  冒険商人アムラフィ 海神ドラムの秘宝/中里融司

☝  普通  ☟  不満


59  

58  悪魔のミカタ 魔法カメラ/うえお久光

57  クリス・クロス 混沌の魔王/高畑京一郎

56  シルフィ・ナイト/神野淳一
    猫目狩り(上巻/下巻)/橋本紡

55  パンツァーポリス1935/川上稔
    月と貴女に花束を/志村一矢

54  NANIWA捜神記/栗府二郎
    天剣王器 dual lord reversion/海羽超史郎

53  僕の血を吸わないで/阿智太郎
    学園武芸帳「月に笑く」/白井信隆

52  コールド・ゲヘナ/三雲岳斗

51  

50  シュプルのおはなし Grandpa's Treasure Box /雨宮諒

49

48

47  

46

45  インフィニティ・ゼロ 冬~white snow/有沢まみず

☝  不満  ☟  アマチュア


35

21  A/Bエクストリーム CASE-314[エンペラー]/高橋弥七郎

現在、2014年03月04日/修正

category: この受賞作を読め!

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第3回ラノベ好き書店員大賞 2位:ナイツ&マジック 1/天酒之瓢

ナイツ&マジック
(あらすじ)
一人のメカオタクが事故でこの世を去った。彼の魂は、異世界において『エルネスティ・エチェバルリア』として転生する。しかも、前世である日本人としての記憶を受けついだまま。生まれ変わった世界で巨大人型兵器である幻晶騎士と出会ったエル。彼は狂喜乱舞しながら、その操縦者となるべく行動を開始した!

answer.――― 68 点
貴方の周りに《ライトノベラー》なる人種はいるだろうか?私の周りには一人、「猫が好き」「宇宙が好き」「天才が好き」「モテモテ?当然!」「ネット?止められない!」「(精神的に)貴族(だから人を見下す)」というライトノベラーのメインストリート、そのど真ん中を往く男がいる。正直、《安い》感性の持ち主である。しかしこの男が求めたとき、あたかも追って―――世間が動いていた。数年前、その男は「最近、またネット小説を読み始めたわ」なる報告を私の耳に届けた。学生の頃ならば(……クズだな)と心のうちに抱いた思いをそのまま口にして終わらせていたが、私が身を以て世の理を学んでからは、この男の言動はもはや《神託》として「……マジかよ!?」と新時代のムーヴメントを告げられるように恐れ戦くようになってしまった。さて、そんなある日、男が得意げに渡してきたのが本作『ナイツ&マジック』。小説投稿サイト『小説家になろう』の書籍化商品で、例によって、今や(笑)を通り越して(怒)と付きかねないド直球の異世界転生、「強くてニューゲーム」な俺TUEEEE!モノである。とりあえず冒頭も冒頭、中小企業のデキる、しかしあくまで一般人AなSE(♂)の突然の交通事故死――開始数頁で己の至強が《お約束》される異世界転生の経緯に目を通して頂きたい。そして、「……are you OK?」と確認されて、「OォオオオオオオオオオオォオォKェエエエイイイィッ!!」と叫べたなら、そこから先はめくるめく「強くてニューゲーム」、貴方の快進撃が始まる。と揶揄しているように書いているが、失笑してしまうほど丁寧に俺TUEEEE!を成立させる演出から察せられる通り、本作、実にニーズに応えた逸品。ロボット題材、ネット小説発ということで説明その他が冗長ではあるが)語彙豊富、ピンチなイベントなど、綴る筆も貫録あり、巷でdisられる類の作品ではない。むしろ安心安全の「ライトノベル」で、お薦めに値する出来だ。なので導入部で拒否反応が出てしまったのならば、貴方がライトノベルから卒業すべきだと思う。点数が抑え目なのは「一巻」時点の採点のため。きっと、巻数を増すごとにJay-Zで、右肩上がりになる作品でしょう。

第3回ラノベ好き書店員大賞 2位:ナイツ&マジック 1/天酒之瓢

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 天酒之瓢 ラノベ好き書店員大賞

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第3回ラノベ好き書店員大賞 3位:グランクレスト戦記 1 虹の魔女シルーカ/水野良

グランクレスト戦記
1.契約
2.野心
3.災厄
4.戦旗
5.決断

answer.――― 67 点
実しやかに囁かれる噂はどこの業界にもあると思うが、たとえばライトノベル界隈ならば、ライトノベラーは一作家(につき)「1」シリーズしか追わない、というのがある。もちろん、例外は幾らでも見つかるだろう。がしかし、私はこれ、―――本当だと思う。それというのも、ライトノベルを「読む」時期に関係している。ライトノベルは《ティーンが読む》本だ。二十歳超えた、あるいは三十路超えた、ましてや四十路を超えた者のためのジャンルではない。ティーンが読む、つまりは《思春期に読む》本。これが意味するところは、《有限》だ。誰しも加齢とともに時間の進みを早く感じていると思うが、ティーンの三か月と二十歳以降の三か月は、同じ「三か月」でも体感がまるで違う。それだから、たとえば全10巻の足掛け「3」年の「1」シリーズは、実際は「3」年以上、ともすればその「倍」以上の月日を共にしてきたような錯覚を経て、著者を「思い出」へ葬り、「旧い」作家と見做してしまう。著者のイメージも固定され、そこから外れれば、……と、この通り、ライトノベラーが一作家(につき)「1」シリーズしか追わない理由は、ライトノベルを《思春期》に読むが故の特徴だと思う。さて、本作はかの『ロードス島戦記』の著者、水野良の新作ファンタジー。「聖印」を世界観の軸とした領土奪取&……!な本作は、雑感としてヒストリーな『ロードス島戦記』、キャラクターな『魔法戦士リウイ』の氏の代表シリーズの折衷的作風で、前者の水野良を望むファンも強烈な拒否反応の出にくい出来となっている。サクサクと進むファーストフードな展開はモダンで、その辺りも新旧の読み手を意識した著者の本作への意欲が伺えるが、……如何せん、新規開拓の魅力には乏しいかな、と。ファンタジーに求めるのは「未知」、あるいは圧倒的な筆で綴られた「既知」だと思う。本作にはそのどちらの要素も残念ながら「足りない」。それでも、腐っても「水野良」が垣間見えるのは間違いないので、ノスタルジーに駆られた方は手に取って損は無いでしょう。

第3回ラノベ好き書店員大賞 3位:グランクレスト戦記 1 虹の魔女シルーカ/水野良

category: ま行の作家

tag: OPEN 60点 水野良 ラノベ好き書店員大賞

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第3回ラノベ好き書店員大賞 4位:灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ /十文字青

灰と幻想のグリムガル
(あらすじ)
ハルヒロは気がつくと暗闇の中にいた。何故こんなところにいるのか、ここがどこなのか、わからないまま。生きるため、ハルヒロは同じ境遇の仲間たちとパーティを組み、スキルを習い、義勇兵見習いとしてこの世界「グリムガル」への一歩を踏み出していく。その先に、何が待つのかも知らないまま…これは、灰の中から生まれる冒険譚。

answer.――― 70 点
時流を読んだか、俺TUEEEE!ならぬ俺YOEEEE!主人公(たち)を採用した十文字青の異世界転生ファンタジー。一読と言わず、開始数頁で思わず著者を疑いたくなるのは、作家志望の中高生がチャットで思いつくままに打ち込んだかのような粗悪な文章。十文字青らしい書きなぐり、なんて格好良く評しているレヴューを目にしたが、書きなぐりな文章は感情が発露する場面でこそ映えるものであって、説明、日常パートやらの「静」的な場面で目にしたときには単なる拙い文章である。早々に放り投げようかと持ったが、……しかし!一般ライトノベラーだけでなく、ラノベ好き書店員(=現役古参ライトノベラー)なんてDEEPな界隈で好評を得ているのは、上述の俺YOEEEE!を徹底している故である。右も左も分からない世界での職業選択、武器&道具購入、雑魚モンスターを命を賭けて倒すドラマ―――まさしく、リアルRPG!を追体験して、初めてRPGをプレイしたあの頃を思い出させてくれる。ハイライトは、露店での買い食いを挙げたい。ファンタジーといえば食事シーン。これの有無で作品の出来は大きく変わるものだが、著者はコレを如才なく押さえて己の創作センスを示している。ふらりと目の留まるタイミングで挿された、実によだれ誘う肉料理は絶品である。学園を舞台にしたライトノベルが主流となり、長らくアットホームなファンタジーの盟主が不在だったが、今の現役中高生にお薦め出来る「ボクたちのファンタジー」が出てきた印象。もっとも、(おそらく刊行ペースを早めるため)文章は本当に粗悪な出来なので大学生以降の年齢での読み物としてはまったくお薦めしたくないが。しかし、そこさえ目をつむれば、ライトノベラーならば、いや、ライトノベラーだからこそ歓迎したくなる、「あぁ恐いね!恐くない方がどうかしてる!」ポケットの中の戦争な新世代ファンタジーです。

第3回ラノベ好き書店員大賞 4位:灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ /十文字青

category: さ行の作家

tag: OPEN 70点 十文字青 ラノベ好き書店員大賞

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第1回メフィスト賞 受賞作:すべてがFになる/森博嗣

すべてがfになる
(あらすじ)
愛知県にある妃真加島、そこに建てられた真賀田研究所に向かった犀川創平と西之園萌絵。真賀田研究所には優秀な研究者が集い、彼らなりの論理・生活形態とそれを許容する環境の下で精力的に研究を進めていた。その頂点に君臨するのが、真賀田四季博士。彼女は現存する最高の天才で、名実ともに研究所の活動の中心人物であった。しかし、滞在の最中に、異様な殺人事件が起こる。

answer.――― 88 点

読み手が求めるのは、―――結局、「天才」である。その昔、何て安易な!と憤ったものだが、認める、これは間違っていない。「天才」を如何に演出するかで、エンターテイメントの質が決まる。玉石混交、数多の問題作に賞を授け続けるメフィスト賞、その栄えある「授賞」第一作目は玉か石かで分ければ、まさしく《玉》だった。後に執筆活動を「ビジネス」と言い切る森博嗣のデビュー作でもある本作は、理系ミステリーと名高いS&Mシリーズの一作目。しかし、本来ならば五連作であった《四作目》を編集の意向に沿って《一作目》として出版するなんてさっそく「ビジネス」な判断を下された「曰く付き」の代物だ。そのストーリーラインは、少女時代から研究所で隔離された生活を送っていた天才工学博士・真賀田四季が両手足を切断され、ウェディングドレス姿で発見される―――密室で。というもの。飾りも少ないごくシンプルな文体ながら「天才」という言葉が随所で躍る。ともすると陳腐に響くはずの「天才」に説得力を与えているのは理系用語を散りばめているからだろう。日常、接しない言葉は作品に「格」を、読み手に「距離」を与える。本作の理系用語は多くの読み手に「……なにそれ」と敬遠させず、むしろ「……なるほど」と近づけさせる親近感さえ湧かせているのが素晴らしい。物語は表題の通り、《すべてがFになる》。その畳み掛けるような謎解きはまさに理系ミステリーと呼ばれるに相応しい。ただ、個人的には読み手との暗黙の了解を陰に日向に汲んでいる著者のセバスチャンな職人芸に感嘆したくなる。誰しも、「天才」になりたいものだ。多くの作品がその願いを主人公を通して叶えてくれる。しかし本作は、その「天才」になりたいという願いを、物語が閉じる間際に変則的に叶える。「天才」に近づけたのは、犀川創平「だけ」だ。本作を言及しようとすれば、どうしてもラストの場面が思い浮かんでしまう。本作の物語としての核は、《すべてがFになる》ことではなく、「天才」と出会うことなのだ。読み手が求めるのは、―――と、本稿の冒頭に辿り着く一作。ある種の時季ものなので、思春期に読むのが良いでしょう。

第1回メフィスト賞 受賞作:すべてがFになる/森博嗣

category: メフィスト賞

tag: OPEN 80点 森博嗣

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第0回メフィスト賞 受賞作:姑獲鳥の夏/京極夏彦

姑獲鳥の夏(仮)
本書を手にされた方々に、薔薇と十字の祝福があらんことを―――

answer.――― 73 点

ライトノベル界に御三家あり―――魑魅魍魎、蛇尾駄作。表に裏に陰謀の渦巻くライトノベル界で、天上人となって甘い蜜壺を抱え、時勢が己に傾くとぬらぬらすする三者がいる。一人は性本能の赴くままに筆を爆裂、そして、ラムネで酔わせ、喜び組たるマリオネットを派遣し、己自身もライトノベラーであった現中堅ライトノベル作家たちに萌えの芽を植えつけた‘外道’あかほりさとる。一人は某巨大掲示板で現在に至るまでキング・クリムゾンの1stアルバムと並びプロレス的に<神>と囃し立てられる‘琵琶法師’田中芳樹。そして、ミステリー界の「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」を地で行く京極‘堂’夏彦……今回紹介させて頂くのは現在、御三家中もっとも勢いのある宮家・京極‘堂’夏彦の代表的シリーズ「百鬼夜行シリーズ」、記念すべき第一作『姑獲鳥の夏』である。第0回メフィスト賞受賞作とも称される本作は、まさに問題作と云える奇天烈ミステリー。その概要は、東京のある医院でくすぶる奇怪な噂を文士が聞きつける。その噂とは、娘は20箇月も身籠ったまま、そして、その夫は密室から失踪したというもの。シリーズの主役、京極堂が長く語る序盤の<認識論>が物語の鍵を握る怪事件。……とりあえず、解き明かされる謎がもはや謎なのが本作最大のジェイソン・サプライズ。作品の解説にさえ引用される本シリーズの象徴的名言「この世に不思議なことなど何もないのだよ」は、御三家のしきたりの前では己の生き方こそが無作法と知ったのが懐かしい。そもそも、ミステリーと思って読んだのが間違いで、その前提を解けばなるほど、怪作として楽しめる。シリーズを追えば、その辺の人を撲殺出来るボリュームとなっていく外装も面白い。かの三大犯罪者・奈須きのこもこの御三家の門、京極堂の暖簾をくぐったのは知られるところ。ヴィジュアルノベル『月姫』(18禁)においては、大胆なサンプリングで著者へのリスペクトを披露している。デタラメな作風は今なお多くの作家に影響を与え続けている。巷では圧倒的文章力!と騒がれているが、本作における筆力は特段、取り上げるほどではない。敢えて誉めるなら京極堂へ至るまでの坂道の描写くらいだろう。おそらく京極堂の高説を巧いと言っているのだと考えられるが、……京極夏彦の文章をあくまで称えたいなら『巷説百物語』を推薦する。ここでの彼の文章こそスタンダード、上出来だ。(←読み返したら癖があるだけでそうでもなかった)。横道に逸れたが、本作は完全な色物。漫画を消化した小説、それこそ新伝綺だ。怪死体、リアル怪事件(未解決済み)に興味のある方はどうぞ。ところで友人の推測だが、作中、無頭児について言及する場面がある。手塚治だなこりゃ、と本作のネタ元を見抜いた慧眼に私は感服した。

【画像は著者近影(This Is The Psychedelic Violence Crime Of Visual Shock!)】

第0回メフィスト賞 受賞作:姑獲鳥の夏/京極夏彦

category: メフィスト賞

tag: OPEN 70点 京極夏彦 御三家

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この受賞作を読め! 【日本ファンタジーノベル大賞:All Time Best!!】

【第1回~第10回】は⇒こちらへ!

【第11回~第20回】は⇒こちらへ!

【第21回~第25回】は⇒こちらへ!


流石は数多の著名作家を輩出してきた日本ファンタジーノベル大賞。BEST 5では絞り切れず、急遽、次点を+1して全7作の選出と相成りました。短評、総評もつけたので、日本ファンタジーノベル大賞に興味がありつつも未読のまま、……な方は参考にしてみて下さい。では、始まり始まり~!

* 作品タイトルをクリックすると、その該当作品のレヴューページに飛びます。

Q.ザ・日本ファンタジーノベル大賞な作品とは?という問いが出たとして、とりあえず、答えに本作を挙げておけば当の受賞者たちを採点者に招いたとしても「正解」にするだろう日本ファンタジーノベル大賞の象徴的作品。読書を〝義務〟にしている玄人、読書を〝嗜み〟にしている素人、どちらの読み手であっても楽しませられる《いぶし銀》な中華風ファンタジー。ちょいエロの魅せ方が格好良い。未読の方は押さえておきましょう。

ライトノベルを想起させるキャラクターを前面に押し出した、親しみやすさを強調したモダンな逸品。まんまとシリーズ化し、第13回の『しゃばけ』と並ぶヒット作に。著者自身も当シリーズの刊行を「ライフワーク」と語る代表作となっている。現況、日本ファンタジーノベル大賞が打ち出した、最後の〝売れる〟ファンタジーの「答え」でもある。

『ピアニスト』『ギタリスト』『ヴァイオリニスト』でも構わないと思うが、そんな音楽家な表題を持つ作品が日本ファンタジーノベル大賞で《大賞》を受賞したとすれば読んでみたくなるでしょう?今回がたまたま「オルガン」を題材にした『オルガニスト』だったと云うだけのことです。さあ、「なんとなく」手に取らないのは止めて、「なんとなく」手に取って読んでみましょう。世にも珍しいオルガン・ファンタジー。

第15回は森見登美彦の《大賞》受賞作『太陽の塔』に隠れてしまったが、もう一作、〝推したくなる〟受賞作があった。それが本作『象の棲む街』。〝レイプ〟〝スカトロ〟〝臓器売買〟……と7つの大罪ならぬ、様ざまな「悪」を凝らした、ある種のバッドエンドが続く短編連作。視点者の選定が絶妙で、あるべき短編連作の形を提示してくれている。

朝鮮半島を舞台に設定しただろう本作は、逆臣と罵られた英雄の物語。曲者集う日本ファンタジーノベル大賞、その受賞作「らしさ」は希薄ながら、道化を演じる天才が躍動するオーソドックスな魅力に溢れる一作。荒俣宏、井上ひさしからの評価が低く、注釈付きながらも、残りの3人の選考委員たちが「楽しんだ」辺りで本作の方向性を察して欲しい。いっそライトノベルとして装丁を変えれば、隠れ切れずに話題を呼ぶスケール感がある。

インテリゲンチャが一目を置く〝大蟻食〟こと佐藤亜紀のデビュー作。「国際舞台にも通用する完璧な小説」と選考委員にホラ吹かせた理由が何なのか?それを理解出来るのならば、貴方も立派なインテリゲンチャだ。一般的に第1回の『後宮小説』と本作が、日本ファンタジーノベル大賞の確立に貢献したと云われているが、万人にお薦め出来ないのが難点。

何故に次点に選んだのかと訊かれれば、(……こんな小説があるんだ)というなかなか出会えない感覚をプレゼントしてくれるからに他ならない。空前絶後、後にも先にも生まれない、「鉄塔」徹尾なルポルタージュがここにある。ちなみに、多くの読了者がそうであるように、私もまた本作が面白いとは全く思っていない。しかし稀少、故に価値がある。

☆☆  総評  ★★

日本ファンタジーノベル大賞の【All Time Best !!】―――そのBEST 5を妥当に選ぶなら、『後宮小説』、『バルタザールの遍歴』の両《大賞》作を不動のワン・ツーに置いて、残りの三枠を日本ファンタジーノベル大賞切っての売れっ子作家たちである畠中恵の『しゃばけ』、森見登美彦の『太陽の塔』、仁木英之の『僕僕先生』の三者で埋め、次点で知名度は低いがウケの良い『オルガニスト』、アイディア賞の『鉄塔 武蔵野線』で押さえる―――といざ並べていて思ったが、これはマジで誰も文句つけないラインナップだったな。これならこれであんまり悩まなくても良かったかもしれんが、 せっかくなのでエンターテイメント色豊かで、物珍しくも尖り過ぎず、読んで得する著名作と掘り出し物的な良作を基準に選んでみた。1位の『後宮小説』は短評の通りの説明不要のザ・日本ファンタジーノベル大賞な作品。2位の『僕僕先生』は全受賞作中、1,2を争うキャッチーさから選出。3位の『オルガニスト』は音楽モノにハズレ無し、……でも、題材はまさかの「オルガン」!という物珍しさから選出。4位の『象の棲む街』、5位の『戒』は候補作が溢れる中で、掘り出し物、隠れた良作具合を重視して選出した。両作ともに「型」がバッドエンド風のため、ともすると低評価を招いているが、読後感は決して悪くないので、それを心配している方がいるなら安心して頂きたい。まさかの次点に配した『バルタザールの遍歴』は、―――面白い!と唸るには確実に無理をしなければならないため。娯楽目的で読むには敷居が高いかな、と。『鉄塔 武蔵野線』は、日本ファンタジーノベル大賞の懐の深さが解る異色の作品。実際、活字中毒なんです、助けて下さい!Your love forever!とうそぶきたい諸氏には必読の一冊と云える。さて、ここからはランクインを逃した(私の中の)候補作について一言ずつ。第13回の『しゃばけ』はド真ん中の大衆小説で、わざわざ日本ファンタジーノベル大賞の受賞作なんて肩書きは不要でしょう。第15回の『太陽の塔』は森見登美彦のデビュー作ではあるが代表作では無いため。必殺の「ええじゃないか」は彼の後発の作品のほうがより洗練されているだろう。第21回の『増大派に告ぐ』はPaint It, Black!な文章に推したくなるものの、如何せん、「壊れた」大人のパートは作品には必要でも楽しむ類では無いため。第24回の『絶対服従者』は個人的に最後までランクインさせようか悩んだが、ライトノベルの亜種とも云えるこの手の作品が仮に日本ファンタジーノベル大賞の「受賞作」として毎年出版されるなら《日本ファンタジーノベル大賞》という看板は降ろすべきだろう。「格」が足りない。とりあえずの〝最後〟となった第25回の『忘れ村のイェンと深海の犬』は、同賞が残す置き土産な一作。続きが気になるのは確かだが、如何にも「粗い」。―――と、長々と書いたが、受賞作家以外にも、最終選考者に岩本隆雄、恩田陸、小野不由美、高野史緒……といった第一線で活躍出来る作家を輩出した素晴らしい公募賞でした。レヴューしていて楽しかったですワ。また時間を置いて、第1回~第10回、第11回~第20回、第21回~第25回のリストを勝手に作ろうと思います。ではでは!おっと、せっかくなので以下に【点数一覧】を付け足しておきます。相対評価なので、ちょいちょい点数は前後しますのでご了承下さい。

☆ 受賞作:点数一覧 ★

86  しゃばけ/畠中恵

85  後宮小説/酒見賢一  【第1位】

84  戒/小山歩  【第5位】
    バルタザールの遍歴/佐藤亜紀  【次点】

83  僕僕先生/仁木英之  【第2位】
    オルガニスト/山之口洋  【第3位】

82  絶対服従者/関俊介

81  象の棲む街/渡辺球  【第4位】

80

79  忘れ村のイェンと深海の犬/冴崎伸

78  金春屋ゴメス/西條奈加
    月桃夜/遠田潤子

77  厭犬伝/弘也英明

76  ブラック・ジャック・キッド/久保寺健彦
    仮想の騎士/斉藤直子
    楽園/鈴木光司

75  増大派に告ぐ/小田雅久仁
    ボーナス・トラック/越谷オサム
    太陽の塔/森見登美彦

☝  満足  ☟  普通


74  クロニカ 太陽と死者の記録/粕谷知世 
    さざなみの国/勝山海百合
    前夜の航海/紫野貴李

73  闇鏡/堀川アサコ

72  月のさなぎ/石野晶
    ヤンのいた島/沢村凛
    糞袋/藤田雅矢

71  バガージマヌパナス ― わが島のはなし/池上永一
    競漕海域/佐藤茂

70  昔、火星のあった場所/北野勇作
    吉田キグルマレナイト/日野俊太郎
    ラス・マンチャス通信/平山瑞穂

69  なんか島開拓誌/原岳人

68

67  天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語/中村弦
    かおばな憑依帖/三國青葉

66  英雄ラファシ伝/岡崎弘明
    彼女の知らない彼女/里見蘭
    アイランド/葉月堅

65  鉄塔 武蔵野線/銀林みのる  【次点】
    イラハイ/佐藤哲也

64  青猫屋/城戸光子
    宇宙のみなもとの滝/山口泉

63

62

61

60  バスストップの消息/嶋本達嗣
    BH85/森青花
    酒仙/南條竹則

☝  普通  ☟  不満


57  信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス/宇月原晴明

54  青猫の街/涼元悠一

50  ベイスボイル・ブック/井村恭一

45  世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ/西崎憲

40  星の民のクリスマス/古谷田奈月

現在、2014年03月04日/修正
【第1回~第10回】は⇒こちらへ!

【第11回~第20回】は⇒こちらへ!

【第21回~第25回】は⇒こちらへ!


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この受賞作を読め! 【日本ファンタジーノベル大賞:第21回 ~ 第25回!】

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日本ファンタジーノベル大賞の【この受賞作を読め!】企画の“とりあえず”の最後となる【第21回 ~ 第25回!】編は、受賞作の数が全10作ということで、【BEST 5】ではなく【BEST 3】に変更し、【次点】も無しという設定で選出させて頂きます。まあ、この手の企画で興味持つのなんて、せいぜい1~2作だろうからむしろ改良でしょ( ゚∀゚)ハッハー!ではでは、始まり始まり~!

* 作品タイトルをクリックすると、その該当作品のレヴューページに飛びます。

「壊れた」大人と「壊れかけ」の少年のひたすら陰鬱な言葉が連ねられていく「人の底」な一作。「壊れた」大人のパートは意味の無さがストレスを運んでくるものの、「壊れかけ」の少年のパートは暗澹たる人間模様が披露され、著者の今後の活躍を期待したくなる。どちらかといえば「物語」というよりも、著者の「筆」を評価したくなる作品。

何の準備もせずに「うっかり」ライトノベル作家となった著者が、多くの「うっかり」作家たち同様に世間から忘れられていったものの、……俺にも意地がある!と起死回生を賭け、上梓。雇用問題をファンタジーでアレンジ、途中で合流する“ツンデレ”Beeなヒロイン、何より人称を極力省くモダンな文章など、ライトノベル作家の素養を存分に発揮した快作。

―――私、続きが気になります!日本ファンタジーノベル大賞がその幕を“とりあえず”閉じる間際、残していった置き土産的ファンタジー。キノコ、コケといった菌類で生計を立てる村を舞台に後に「女傑」となるイェンの幼少期を描いた物語。粗さは目立つものの、兎に角、エンディング間際は必見必読の「……始まったよ!」なサプライズが起こる。

☆☆  総評  ★★

荒俣宏だったと思うが、ファンタジーらしいファンタジーが応募されなくなってきた、と選評で嘆いていた記憶があるが、こうしていざ選んでみれば、確かに(……日本ファンタジーノベル大賞の役割が終わったのかな?)とも思うラインナップとなった。別に詰まる&詰まらないという話ではなく、ナニコレ?的イロモノが淘汰されている感じがね。選ばせて貰った三作は、それぞれ難を抱えながらも(それは【第1回~第10回】編、【第11回~第20回】編のランクイン作品にも勿論云えることだが)、粗削りな魅力が勝る作品たち。ここでは選ばなかったが、第21回の『月桃夜』は【第21回 ~ 第25回】の受賞作の中では一番出来が良いと思うので、サプライズ抜きの物語を求めたい人にはそちらをオススメしたい。残りの6作の受賞作は時の運を得ただけの印象。受賞出来て良かったね、と。とりあえず、【第21回 ~ 第25回】の受賞作群は【All Time Best!!】には割って入れない「どこか」小粒なところが何とも残念。

☆ 受賞作:点数一覧 ★

82  絶対服従者/関俊介  【第2位】

81  

80

79  忘れ村のイェンと深海の犬/冴崎伸  【第3位】

78  月桃夜/遠田潤子

77  

76  

75  増大派に告ぐ/小田雅久仁  【第1位】

☝  満足  ☟  普通


74  さざなみの国/勝山海百合
    前夜の航海/紫野貴李

73  

72  月のさなぎ/石野晶

71  

70  吉田キグルマレナイト/日野俊太郎

69  

68

67  かおばな憑依帖/三國青葉

66  

65  

☝  普通  ☟  不満


40  星の民のクリスマス/古谷田奈月

現在、2014年03月04日/修正

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この受賞作を読め! 【日本ファンタジーノベル大賞:第11回 ~ 第20回!】

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昨日の今日、勢いに乗り切れず、ちょっと遅れましたが、……日本ファンジーノベル大賞の【第11回~第20回】編の始まり始まり~!何でしたら、先に前回の【第1回~第10回】と合わせてご覧下さいませ。

* 作品タイトルをクリックすると、その該当作品のレヴューページに飛びます。

当時の流行り、そして、今現在ではもはやスタンダードと化しているNot in Education,Employment or Training=NEETを題材にした中華ファンタジー。なんて戯れな説明は不要でしょう。さあ、無職の人は着の身着のまま、(見た目は)美少女仙人・僕僕に弟子入りした気分になって旅に出よう!就職活動より大事なことが書いてあるかも!?

日本ファンタジーノベル大賞らしいか否かなんて議論はとりあえず隅の隅に置いて、ただただ「面白い」から受賞したのだろうド真ん中を行く大衆小説。非常に丁寧な造りで、「転」がまた親切なくらいに分かり易い。お江戸が舞台、踊るは妖怪。貴方は利発な若旦那。な一作。「家鳴り」は、もはやマスコットと化している女性人気がある印象。

森見登美彦の『太陽の塔』に隠れてしまったが、アメリカと中国に統治&隔離された東京、なんてどこか予言めいた設定の上で、読み手にある種のバッドエンドを目撃させ続ける本作もまた、第15回の逸品。「面白い」なる価値観が人それぞれなのは百も承知だが、それでも、一言「面白い」と添えたくなる上質の視点切り替えを堪能して欲しい。短編連作。

皆さん、知ってますか?さるクリスマス・イヴに京都の四条河原町で「ええじゃないか」騒動が起こったって話。その発端がこの小説のラストにあるんです。今やTeen御用達の森見登美彦。そのデビュー作は京都って云うか、俺たち京大生って、ええじゃないか!ええじゃないか!と煽る選民的快作。ちょっと背伸びしたくなる年頃にたしなむにはピッタリの作品。

物語無き物語とも云える前半は評価が分かれるところだろうだが、2章「混血劇場」の汚れたバイト先、3章「次の奴が棲む町」における衝撃の童貞喪失劇は、善人ぶった人々へ向けて憎悪のペンキを浴びせかける著者の力作場面。どこか「違和感」付きまとう主人公を配した耽美的な部分もあり、日陰好きな芸術家肌の人にオススメ。

何をやらせてもその道の達人の域へとすぐさま辿り着く天才中の天才を主人公に配し、そんな彼を小国の道化師へ全うさせるべく著者がトラウマを施して、あの手この手で四苦八苦させる物語。日本ファンタジーノベル大賞の受賞作としては《知識》と《完成度》(@ハア?(゚Д゚)ナニソレ?とか言わないの♪)が物足りない。しかし、エンターテイメント作品としては十分なので、いっそ「ライトノベル」として読んでみましょう。

☆☆  総評  ★★

上記のランクインしている作品をご覧になって頂ければお分かりの通り、【第11回~第20回】は漫画頼りの出版不況、肩身狭い文筆業、その御時世を反映するように、それまでのキワモノキワモノ、カモン、カモン!の武士の商法を思わせる選考から一転、回を増すごとに「売れる」可能性を求めていった印象がある。もっとも、応募作の作風自体もその傾向にあったらしいので一概には言えないのだが、だからといって、第14回の『世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ』のような「我々が求めていたのはこれだ!」的選考をすると、逆にセンスの悪い事態に陥る状況ではあったと思う。そういう意味で、【第11回~第20回】の受賞作の中で選考委員たちが満場一致で歓迎したのはここでも第4位に選んだ『太陽の塔』だろう。この作品は非常に誉めやすかった―――否、認めやすかったと思う。選考委員もキャリアを積んでいようと所詮、「作家」だ。自分の敵には厳しくなる。……て、んん?何かズレたな、止めた。とりあえず、【第11回~第20回】は即戦力を多く輩出出来た、日本ファンタジーノベル大賞にとって実りある実施期間と云えるのではないでしょうか。……そーれ、ええじゃないか!ええじゃないか!ヨイヨイヨイヨイ!やっぱり、【All Time Best!!】から作っちゃいかんな(笑)色々が適当になる。ここで選ばなかった受賞作の中では、第16回の『ボーナス・トラック』、第19回の『ブラック・ジャック・キッド』が構成難に眉が寄るものの、万人受けの目のある作品。特に前者は『陽だまりの彼女』の著者・越谷オサムのデビュー作でもあるのでファンの方ならまず読んで損のない出来です。

☆ 受賞作:点数一覧 ★

86  しゃばけ/畠中恵  【第2位】

85

84  戒/小山歩  【次点】

83  僕僕先生/仁木英之  【第1位】

82 

81  象の棲む街/渡辺球  【第3位】

80

79  

78  金春屋ゴメス/西條奈加

77  厭犬伝/弘也英明

76  ブラック・ジャック・キッド/久保寺健彦
    仮想の騎士/斉藤直子

75  ボーナス・トラック/越谷オサム
    太陽の塔/森見登美彦  【第4位】

☝  満足  ☟  普通


74  クロニカ 太陽と死者の記録/粕谷知世 

73  闇鏡/堀川アサコ

72  

71  

70  ラス・マンチャス通信/平山瑞穂  【第5位】

69  

68

67  天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語/中村弦

66  彼女の知らない彼女/里見蘭

65  

60  BH85/森青花

☝  普通  ☟  不満


57  信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス/宇月原晴明

45  世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ/西崎憲

現在、2014年03月04日/修正
【第1回~第10回】は⇒こちらへ!

【第20回~第25回】は⇒こちらへ!

【All Time Best!!】は⇒こちらへ!

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