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2014年04月のレヴュー更新(まとめ)

今月は色々と手が回らなくて更新が間延びしてしまったが、いざこうして挙げてみると、記事自体は9つはUP出来ていたのね。特別に少なかったわけじゃないのか、……意外だ!何にせよ、先月に引き続いてメフィスト賞を取り扱えたのは良かった。レヴュー、自分でも書いていて面白くない受賞作群だからイマイチ筆が乗らんのよねえ。しかし、メフィスト賞を全作レヴューする馬鹿(……失礼!)は1000人といないに違いない!俺がデヴィッド・モイーズよろしく「選ばれし者(The Chosen One)」としてレヴュワー界に焼き芋的な狼煙を上げてやる!ところで、「Medeskiの(o゚Д゚)=◯)`3゜)∵【All Time Best Album!:#.01 ~ #.100!】という企画を来月にUPしようと思います。結構、楽しんでいるので是非、皆さんも覗いて頂ければ幸いです。UPまで我慢出来ないそこの貴方、期間限定でここ(←クリック!)に予告されているよ!

●メフィスト賞●
第5回メフィスト賞 受賞作:記憶の果て/浦賀和宏
第4回メフィスト賞 受賞作:Jの神話/乾くるみ
第3回メフィスト賞 受賞作:六枚のとんかつ/蘇部健一
第2回メフィスト賞 受賞作:コズミック-世紀末探偵神話/清涼院流水 (随時更新中) ← すでに放置気味。

●アーティスト一覧●
Made in Heaven/Queen (1995)
Innuendo/Queen (1991)
The Miracle/Queen (1989)
A Kind of Magic/Queen (1986)
The Works/Queen (1984)

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category: 更新情報

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第5回メフィスト賞 受賞作:記憶の果て/浦賀和宏

記憶の果て
(あらすじ)
親父が死んだ。自殺だった。俺は安藤直樹。親父が残したパソコンのなかにいるのは裕子。いや違う、あれは単なるプログラムにすぎない。でもプログラムに意識が宿ったのならば……いったい彼女は何者なんだ!?徹底した方法意識に貫かれたテクストが読者を挑発する、第五回メフィスト賞に輝くデビュー作。

answer.――― 60 点

おふくろは言った。
「お父さん死んじゃった」
親父が死んだ。自殺だった。

この繰り返しが長らく続き、心、ここに非ず……な日常を丁寧に、そして、しつこいまでに演出してくる本作は、浦賀和宏の19歳でのデビュー作であり、これより刊行続く「安藤直樹」シリーズの第1作目。その内容は、唐突に自殺した父の書斎で見つけたパソコンがあたかも意志を宿しているかのような……という何とも不穏なものなのだが、冒頭の通り、ストーリーそれ自体の展開は遅々としたもので、率直に「退屈」と云えるだろう。それでも、本作、なかなか「挑戦」的な作風なのは惹かれるところ。「自分探し」「PCへの憧憬」とファンを含めた各レヴューサイトの言及にあるように、ジョージ・ウィンストン、エンヤ、YMOといった音楽が主人公の趣味として挿し込まれ、出版当時のPCという未知への伺い、己を冷やかに痛めつける思考を垂れ流す等、描き方が私小説のアプローチに近い。「面白ければ何でもあり」と掲げるメフィスト賞だが、基本は「ミステリー」をベースにした作品が多く、そこをエンターテイメントの軸に置いているが、本作は主人公とそのネガティヴな「日常」を押し出している。読み手を楽しませる目的で書いているとは言い難いので、人を覗きたい、共感したい、といった目的で手に取るべきだろう。19歳という、背伸びしたい我こそSpecial Oneな年頃ならではの一作。

第5回メフィスト賞 受賞作:記憶の果て/浦賀和宏

category: メフィスト賞

tag: OPEN 60点 浦賀和宏

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第4回メフィスト賞 受賞作:Jの神話/乾くるみ

Jの神話
1.桜の園
2.散華
3.召命の朝
4.受難の姉妹
5.受胎告知
6.再来
7.原罪
8.第四の駒
9.煉獄の門
10.対決
etc...

answer.――― 55 点

『イニシエーション・ラブ』の著者として知られる乾くるみのデビュー作は、何やらミステリーからよもやのSFへと様変わりするメフィスト賞の受賞作らしい受賞作。閉鎖的な全寮制の女子高で起きた変死、ということで、「レイプ」やら「切迫流産」やらのゴシップな話題を提供しつつの百合百合しい気配を序盤から醸し出してくるが、まだ書き慣れていないのが伝わってしまう冗長な文章が読み手の読書を妨害。これは最後まで解消されることなく、10章【対決】の末尾、「ストーリーは成り立っている。細部の辻褄も……」を目にしたところで、著者の一人相撲に付き合ってしまった徒労感が思わずため息となって表れるだろう。という訳で、真面目に読んではいけない作品と前提を置いて、本作、巷では《エログロ》と言及されるが、それは何故かと云えば、犯人「J」の存在故。本作をSFせしめているのもこの犯人「J」なのだが、―――オウイエェア!イエスンハァーイエスイエス!ファックミーイアぇア!オウ〜カモンベイビーイエスイエス!シーッハッーオウ〜!(@これ、文字に起こした人凄いわ……Respect!)といった感じのアメコミに登場しそうな「J」のキャラクター性は嫌いじゃない。映画『キラーコンドーム』を思わせる突飛なアイディアを評価出来るか否か。と書いていて改めて思ったが、「J」はさっさと姿を現すべきだったな。アクション小説としての裾野を広げられたと思う。振り返って、頭を抱えたくなる若気の至り的作品。

第4回メフィスト賞 受賞作:Jの神話/乾くるみ

category: メフィスト賞

tag: OPEN 50点 乾くるみ

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第3回メフィスト賞 受賞作:六枚のとんかつ/蘇部健一

六枚のとんかつ
1.音の気がかり
2.桂男爵の舞踏会
3.黄金
4.エースの誇り
5.見えない証拠
6.しおかぜ⑰号四十九分の壁
7.オナニー連盟
8.丸ノ内線七十秒の壁
9.欠けているもの
10.鏡の向こう側 
etc...

answer.――― 57 点

(……これ、案外と面白いんじゃねえか?)と玉石混交のメフィスト賞の受賞作において、石ころ中の石ころ!と聞き及んでいた身としては、予想外のリアクションを取っている事実に自分でも驚いているが、巻末の解説―――「たんなるゴミである」(笠井潔)&「作者はバカミスを逃げ口上にしているだけ」(村上貴史)―――を読んで納得した。そりゃ、1頁目から2頁目へのような順番に頁をめくる「読み物」として読んだら「ゴミ」でしょうよ。作品としては保険調査員・小野由一を主人公にした連作短編で、《アホバカ・ミステリ》とのレッテルの通り、各短編に施されたトリックが剛力彩芽な力技で、それを馬鹿らしいと呆れるのが醍醐味となっている。がしかし、馬鹿らしいと呆れて楽しめるのは実際問題、上級者の対応なので、僕(私)、一般的な感性!と自負のある方には本作の購読はまずお薦め出来ない。と、ここで冒頭の(……これ、案外と面白いんじゃねえか?)な私の反応に戻らせて頂くと、私が本作を案外なまでに楽しめた理由は《オチから読んでいた》からだ。むしろ、起承転結で云えば、「起」と「結」しか読んでいない。個人的な見解だが、これは読み手のための作品というより、書き手のための作品と見るほうがしっくり来る。特に、キャラクターが確立しているライトノベルで同じネタをすれば、ウケがまた違うと思う。それこそ、―――わたし、気になります!にはピッタリの幕間になるのでは?という訳で、読み方次第の作品。お気に入りは例によって「しおかぜ⑰号四十九分の壁」、「丸ノ内線七十秒の壁」かな?こういう力技は心のどこかで望んじゃうよね。

第3回メフィスト賞 受賞作:六枚のとんかつ/蘇部健一

category: メフィスト賞

tag: OPEN 50点 蘇部健一

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第2回メフィスト賞 受賞作:コズミック-世紀末探偵神話/清涼院流水 (随時更新中)

コズミック 世紀末探偵神話
『犯罪予告状』
「今年、1200個の密室で1200人が殺される。誰にも止めることはできない」 ― 密室卿

answer.――― 30 点 or 60 点

メモを開いてみると、「60」点―――「作中、エピソードをそれぞれ用意して19人殺してる」「天才の所業」「やれと言われてそうそう出来るものじゃない」「JDC!JDC!」ということなので、ちょっと「挑戦」してみようと思う。俺が出来たら、「30」点にする。

第2回メフィスト賞 受賞作:コズミック-世紀末探偵神話/清涼院流水


(随時更新中)
「とりあえず、19人殺してみてどれくらいストレス溜まるか調べてみるわ」 ― メデスキ 

俺日記 -Oyoso Medeski-

―――「およそ」メデスキ。

 それが今現在の俺の正式名称であり、勤め先から賜った有難くも迷惑極まりない《役》職だ。この「およそ」は響きの通り、「だいたい」「約」といった、「おおよそ」の意味合いで、厳密には俺はメデスキではないらしい―――なんて説明するのも面倒なので、自己紹介の折には「およそ」を省いて、端にメデスキと名乗っているのはこのBlog、Twitter、Facebook、果てはLINEで交流を持つ皆さんご存じの通りだ。

―――「およそ」メデスキ。

 今日から君は、―――「およそ」メデスキ。いつからか出世街道から外れた上司にそんなデタラメな辞令を言い渡されたその日も、俺はいつもと変わらず、目覚ましに起こされる前にベッドから抜け出した。顔を洗い、歯を磨き、シェービングクリームを塗りたくって髭を剃り、鏡を覗き込んで眉毛を抜き、仕上げにまた忘れていたかのように顔を洗った。水浸しの洗面所はそのまま。帰宅した後か、最悪、……週末の自分に任せて放置するのが悪い癖だ。滴る水をタオルで拭いながら、Dole®のクラシックなラインナップ(アップル、オレンジ、グレープ、グレープフルーツ、パイナップルだ。ミックスは断固認めない)を揃えた冷蔵庫を開け、そうして、ジリリリリリリ……! と目覚ましが時間通りに仕事を始めたことを確認する。これが俺の朝の一幕で、「およそ」メデスキになろうが、それは変わらないし、これからも変えるつもりもない。

―――Medeski, Martin & Wood。

 ジョン・メデスキ、ビリー・マーティン、クリス・ウッドの三人からなるニューヨークのピアノ・トリオ……いや、オルガン・トリオか。当たり障りのないくくりにするなら、ジャム・バンドとでも呼べばいいのかも知れないが、それはそれで見当違いのような気もする。何にせよ、今、《引っ越し》の荷物にあふれる車のなかで聴いているのは、悪趣味な仮面を被った3人の男がジャケットになっている『Uninvisible』、その二曲目「I Wanna Ride You」だった。
 
「およそ」メデスキの由来を尋ねたとき、

 上司は芝居がかったため息をついて、《引っ越し》先のアドレスを書いたメモと一緒にこの『Uninvisible』を渡してきた。それから、Medeski, Martin & Woodがニューヨークのブルックリンで結成されたこと、そのアバンギャルドな演奏からPhishの客を取り込めたこと、ジョン・スコフィールドを始めとした様ざまなアーティストとの積極的な共演、ジャズの名門ブルーノートと契約した経緯……そんな口にしている当の上司も興味の無いだろう彼らの歩みを淡々と説いていった。
 俺はこれが「手続き」ってヤツなんだろうと理解して、胸ポケットから煙草を取り出すと、上司の非難めいた視線にも気づかないふりをして吸い始めた。
 ……どうやら左遷ってヤツらしかった。三十路を前に飛ばされるなんて、お先真っ暗過ぎて泣けてくる。一体、俺が何をしたって云うんだ?
 口もとから昇る煙の行方を眺めながら考えてみるが、まったく身に覚えがなかった。降りかかってきたこの不幸に、ただただやるせない思いが募った。
 ジョン・メデスキのソロワークについての言及を終えると、上司はようやく本題の、俺の「およそ」メデスキとしての最初の仕事、……《引っ越し》を迫ってきた。先ほど渡されたメモにも書いてあったが、赴任先は聞いたこともない街「JET CITY」だった。

―――メロンソーダとチリドッグ、そいつがあれば生きていける。

 どんなところなのか訊いてみれば、上司は含んで笑い、そう答えた。……何を言っているのかさっぱり分からなかった。俺が生まれる前から大人だった連中のジョークにはどうにもついていけない。何にせよ、東京の片田舎で育って二十余年、念願の都心へ越してきたっていうのに、実家よりもっと都心から離れたところに飛ばされるなんて想像もしていなかった。
 大した資格を持っているわけでもないのだから、再就職も今の時代だ、難しいだろう。仮に出来たとして、今のサラリーが維持される保証はない。俺はこの辞令を呑むことにした。断れば職を失うのだ。何の準備も出来ていないまま、また社会の荒波にサーフボードを担いで挑むような真似は、決して若くない年齢と培ってきた常識が邪魔をした。
 耐えるしかないのだ、……少なくとも今は。
 しかし《引っ越す》までは良いとして、肝心の仕事内容を聞いていなかった。俺は「およそ」メデスキとして、その街まで飛んで何をするのだろう?
 広告の「制作」か、はたまた、「営業」か。あるいは、その両方か。
 心の部分を含めて、準備は早めにしておいたほうが良い。いや、心の準備こそ難題を突きつけられたときに何よりも先に整えておかなければいけないことだ。
 俺は辞令を承諾する旨を上司に告げ、「およそ」メデスキとして自分が何をするのか改めて質問した。すると、上司は不可解な顔つきで、―――説明しただろう? とたしなめてくる。
 ……説明? いつしたんだ? アンタが長ったらしく述べたのは、俺が「およそ」メデスキになることと、この『Uninvisible』のアーティスト、Medeski, Martin & Woodについて……
 そこで、俺ははたと気づいた。そして、いや、そんな、まさか、……と頭を過った考えを否定した。しかし困ったことに、様ざまな角度から「ソレ」は符合してしまった。……有り得ない! 何だ、「ソレ」は!?
 辿り着いてしまったのかもしれない袋小路な結論。
 咥えていた煙草を灰皿へ押しつけ、たっぷりと時間をかけてもう一度、考えを精査する。そうして、懸命に動揺を堪えながら、それでも震えてしまった声で、上司に訊いた。
「俺に、……マーティンとウッドを探してこいってことか?」
「違う、「およそ」マーティンと「およそ」ウッドを探すんだ」
「……オーケー」
 社会には冗談の通じない連中がいる。俺の会社には、選りすぐったようにそんな連中がいた。
―――「およそ」マーティンと「およそ」ウッドを探せ。
 ……いるわけねえだろ、そんなヤツら。やっぱり、今すぐ辞めようかなこの会社。

もう一時間ばかり、車を海岸へ沿って走らせていた。

 途中、ガソリンの補給に寄った街の街路樹には猿がいた。思い返せば、俺を見て「キィーキィー!キィーキィー!」と騒がれたあの辺りから治安が悪くなったように感じる。建物があれば、壁があれば、エアロゾールアートが所狭しと描かれていた。予算の削減か、リサイクルか、照明柱の上には街灯の代わりにどうみてもミラーボールが乗っていた。反対車線からすれ違うのは、今さら『イージー☆ライダー』に影響を受けたはずはないだろうが、チョッパーばっかりだ。時代遅れも大概にしてくれ、Hi-Ho!

―――Welcome to JET CITY!

 まるで中指を突き立てているような指差し看板が、この先に俺が新しく住む街があることを教えてくれた。ちょうど選挙中らしく、そこかしこでニヤついた顔が並ぶ看板が立てられている。面白いのは名前と一緒に$表記の数字が打ってあることだ。
……お前ら、賞金首かよ。
 コンビニでDole®を買い込み、ついでにノーズピンを嵌めたトサカ頭の店員からこの街の情報を仕入れてみれば、この選挙は市長選で、現職は出馬していないらしかった。いや、そもそも居ないのだ、……この世に。殺されたらしい。物騒な街だ。来て早々、ホームシックに罹る。
 市長選の開票は、今日の20時。あと3時間後に新市長が誕生するらしい。
「きっと、開票直後に当選が確定しますよ。誰が市長になるかなんて決まっているんです」
 大量のDole®を丁寧にビニール袋に詰め込みながら、店員はまるで他人事のようにつぶやいた。

駐車場はすぐに見つかった。

 入り組んだところにあるから迷うかもしれない、とあらかじめ上司に忠告されていたが、わざわざ下見してまで忠告してくれたわけではないので、又聞きの話を鵜呑みにして僻地に飛ぶ部下へ親切ぶってみただけなんだろう。
 その駐車場から、歩いて3分のところにこれから住むマンションがあった。10階建てで、俺に宛がわれたのはその最上階……の一つ下、9階の東の角部屋だった。駐車場からの道中、電信柱に張ってあったプラスチック製の広告を信じれば、8階のある部屋は1,800万円で売りに出されていたので、左遷された一社員が転がり込むマンションとしては上等だろう。
 部屋に入れば、話の通り、そのまま生活が出来るように家具ともども日用品は新品で揃えられていた。ただ、冷蔵庫の中身は空っぽだった。俺はさっそく買ってきたDole®を詰め、それから荷物を運び込んで、掃除を始めた。

気づけば、

 夕食も摂らず、掃除に没頭していた。時計を見れば、20時も近い。今後の景気づけにピザでも頼もうかと思ったが、その「今後」を考えてみれば、何で要り様になるのか分かったもんじゃない。無駄な贅沢は避けるべきだろう。保存食用に買っておいたカップラーメンで夕食を済ますことにした。
 湯が沸騰するのを待つ間、何の気なしにTVをつけてみれば、さっそく市長選の結果が目に飛び込んできた。開票後、一分と待たずの圧勝劇のようだった。
 コンビニの店員の話によれば、この街―――JET CITYは、日本のサッカーのナショナルチームのように、その任期が終わるまで市長の名前を頭に戴くらしい。新市長の名前は「当然」、……BLANKEYだった。

―――BJC! ―――BJC!
 
 支持者たちが熱狂的に叫ぶ。ブランキー市長はそれにポスター通り、看板通りの$1,000,000の笑顔と、手渡された真っ赤なバラの花束を掲げて応えてみせた。それからマイクを向けられると、支持者たちへの感謝の言葉を述べ、街の治安の改善、そして、前市長の殺害事件の究明を約束した。
 俺はこのブランキー市長が何者なのかは知らないが、治安の改善を謳ってくれたことには好感を抱いた。誰だって、危ない街になんて住みたくないものだ。
 そんなこんなで、この市長選の結果によって、俺は「BLANKEY JET CITY」の住人になった。前の市長の名前が途端に気になったが、それはまた、ここで生活をしていれば自ずと分かることだろう。
―――BJC! ―――BJC! ―――BJC! ―――BJC!
 カップ麺をすすり、ビールを飲む。飽きもせずに支持者たちは勝利に酔っていた。そんな画面越しの興奮に当てられて、昼からの疲れがドッとやってきた。
 歯も磨かずにベッドへと横になれば、明日からの、「およそ」メデスキとしての活動を思い描く。……が、そんなもの、想像出来るわけがなかった。顔はおろか、そもそも、本当にいるのかも定かではない「およそ」マーティン、「およそ」ウッドを探すのだ。大人になって学校の七不思議を探すくらい馬鹿げた話だ。いや、実際に探すわけだから馬鹿げたのレベルは通り越している。馬鹿だ、馬鹿。
―――BJC! ―――BJC! ―――BJC! ―――BJC!
 TVを消し忘れたか、支持者の声が未だに耳に届く。……機会があったら、俺もこの市長選に立候補してやろうと思った。キャッチコピーは「FREEZE 増税!」。きっと、この街にはピッタリ似合うはずだ。
 ……でも、本当に立候補するなら金が要るな。……どうやって資金を作ろうか。……ところで立候補出来たとして、俺の懸賞金は幾らになるんだろう?
 そんな愚にもつかないことを考えながら、俺は眠りに落ちた。だから、この後、誰がドアポストに手紙を投函したのかは解らない。

―――Welcome to BJC! 貴方の探し物が見つかりますように!
 
 ……どうも有難う。俺もその探し物が、お尋ね者じゃないことを祈っていたよ。夢の中でね。

(「およそ」メデスキは、まだ誰も殺せていない。―――残り、「19」人。……これは長い日記になりそうだ。やっぱ、天才の所業だな。まあ、この類の天才ってクラス(30~40人編成)に1人はいるんだけどな。途中で病気が治っちゃうだけで。

category: メフィスト賞

tag: OPEN 30点 60点 清涼院流水

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