ナマクラ!Reviews

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2014年07月のレヴュー更新(まとめ)

もはや更新停止するような感じに陥りましたが、ちょっとした七月病でした。いや、カレンダーを捲っても完治に至っていないようなので予断を許さないんですけどね。何よりも読書メーターをやり始めたのですが、そもそもの感想がそこに書かれているようなものなので、あそこから膨らませる俺、凄いわ。と客観的に感心しております。楽を覚えるといかんわ。とりあえず、8月はもう少し更新したいところ。

●えんため大賞●
第7回えんため大賞 優秀賞:学校の階段/櫂末高彰
第4回えんため大賞 大賞:吉永さん家のガーゴイル/田口仙年堂

●スーパーダッシュ小説新人賞●
第10回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:くずばこに箒星/石原宙

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☆★ 今月のパワープレイ ☆★
2014年7月

#.2 SATORI PART2/Flower Travellin' Band 【SATORI (1971)】

イントロを聴いただけで、(……おっ!)と拾い物をした感じになること請け合いの、かの「Rock 'n' Roll」内田裕也が関わっているにも関わらず、ちゃんと《音楽》として聴ける名盤『SATORI』の2ndトラック。海外でも知る人ぞ知る的な評価高く、実際、日本でももっと知名度があっても良いアルバム、そして、バンドだと思う。

#.1 Walk on Water/Aerosmith 【Big Ones (1994)】
Night Rangerの面々がソングライティングに関わっているだけあって、実にハードロックしているが、スティーヴン・タイラー(Vo.)がひたすら格好良いオープニング・トラック。ブルースハープがAerosmith「らしさ」を残している。

#.6 あなただけ見つめてる/大黒摩季 【MAKI OHGURO BEST OF BEST~All Singles Collection~ [Disc 1](1999)】
大黒摩季の歌詞を「巧い」と思ったことはないが、それでも、これなんかは一世一代の感がある代表曲。現代っ子が書くと女々しくなるだろうから、その辺も含めても貴重な出来。「苦手だったSpicy Your Mama 今ではお茶してる」とか面白いよね。

#.7 Crazy Botch/ONE OK ROCK 【BEAM OF LIGHT (2007)】

何故にリピートをし続けたのか不明だが、おそらく7月はCrazy Botch(一人旅行)していたので、この曲名に親近感が湧いたのだと思う。

#.9 2人のストーリー/YUKI 【POWERS OF TEN [Disc 2] (2012)】

タイアップのCMだと「コンビニ」に置き換えられていたらしいが、この曲、冒頭に「ローソン」って固有名詞が飛び出してくるから耳を惹くんだと思うんだよね。どうってことないけど、色々な作詞の醍醐味が隠れていると思う。

#.4 Sun/OLD 【未だかつて見たことのない素晴しいもの (2013)】

シングル「傷つけたくない、傷つけちゃうけど」の次に好きな曲になりました。死にたい、生きたいの捉え方が前向きでヨロシイ!しかし、このバンド、ドラムが良いよね。

category: 更新情報

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星海社FICTIONS:ビアンカ・オーバースタディ/筒井康隆

ビアンカ・オーバースタディ
1.哀しみのスペルマ
2.喜びのスペルマ
3.怒りのスペルマ
4.愉しきスペルマ
5.戦闘のスペルマ

answer.――― 63 点

スペルマ、スペルマと明け透けなまでに並ぶ章タイトルから察せられる通り、筒井康隆が口角を上げて制作しただろう、昨今の軽小説の流れに棹挿すブラックジョークなライトノベル!!と言いたいところだが、私が考えるに、ライトノベルを揶揄するならば「面白い」を突き詰めたストーリーの上で、ライトノベルらしい《お約束》のオンパレードを起こして「破綻」させるのが常道なのだと思う。そういう意味で本作を鑑みさせて頂ければ、……御大も寄る年波には逆らえないようだ、筆にまったく冴えがない。物語は「美少女」が登場し、―――といった具合に、ライトノベルを書くにあたっての雛型として『涼宮ハルヒの憂鬱』を下敷きに採用しているのが見受けられるが、上記の通り、スペルマ出しておけば良いだろ?的な安易さが御大のアイディアの枯渇を表明しているようで、ただただ哀しいかぎり。本作の見所は事実上、そのスペルマを出すため、美少女、美女、幼女がそれぞれ手コキ、手コキ、レイプ未遂(*スペルマとは無関係)される場面。しかし、これを楽しむために読むのは違うだろう。とにかく投げやりな作品で、筒井康隆の意欲作と謳うにしても、例えば章が始まる度に同じフレーズで美少女が登場するのだが、これは『ロードス島戦記』等を思わせる旧来的な書き出しで、こういう省エネ的作業を含めて、そもそも「ライトノベル」の読書量が足りなかったのではないだろうか?とある種、場違いな非難を向けたくもなる。「旧い」ことに気づけないのは創作家として一番「イタい」。御大、やるなら「いつも通り」徹底的にやりましょう。

星海社FICTIONS:ビアンカ・オーバースタディ/筒井康隆 (2012)

category: た行の作家

tag: OPEN 60点 筒井康隆

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文春文庫:わたしのグランパ/筒井康隆

わたしのグランパ
(あらすじ)
五代珠子は中学校でいじめを受けていた。ある日同級生にからかわれているのを、刑務所から出所してきた祖父「ゴダケン」こと五代謙三に見られてしまう。初めはいじめられているのを隠そうとした珠子も、謙三の正義感や優しさに感化されていく。謙三は不良や暴力団などに立ち向かって問題を解決していくが、昔のいざこざの関係から、珠子を誘拐されてしまう。

answer.――― 75 点

筒井康隆による『時をかける少女』以来のジュブナイル!と喧伝される本作は、第51回読売文学賞を受賞、映画化されれば第27回モントリオール世界映画祭における最優秀アジア映画賞を受賞など、およその名誉を賜ったお行儀の良い作品となっている。それでも冒頭、いきなり「囹圄」というパンチの効いた言葉からして「読ませてくれる」。いや、ほとんどの人はこの漢字を「読めない」ことだろう。エンターテイメントの著しい発達によりどんなジャンルにおいても「すぐに盛り上がれる」ファーストフード的展開が持て囃され、小説に関して言うなれば、一行目が大事!の意味を履き違え、「絶望」など感情のメーターを振り切る単語、「性」や「暴力」と直結した一文を持ち出す安易な工夫が目立つ昨今だが、本作は何かを起こさずとも「読ませる」文章で攻めてきたように、筒井康隆流の『坊っちゃん』とでも呼びたくなる、小難しさを排した気風の良い作品。と書きつつ、「囹圄」の意味が分かってしまえば、……結局、お前もかよwと上述の一行目は大事!の件がご愛嬌となる。「イジメ」と「教育」を扱い、〆に「ヤクザ」で楽しませる構図。表立ててエログロを出さず、しかし、スッと爽やかに混ぜてくるあたりは職人芸で、これくらいの作品ならいつでも書けるよ?という傲岸不遜な著者の主張が透けて見える。説明こそあれ、グランマの行動が腑に落ちないが、そこは人それぞれ。分かる人には分かるのだろう。とりあえず、難しいことを考えず、本作は気風を感じて楽しみましょう。

文春文庫:わたしのグランパ/筒井康隆 (1999)

category: た行の作家

tag: OPEN 70点 筒井康隆

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新潮文庫:旅のラゴス/筒井康隆

旅のラゴス
1.集団転移
2.解放された男
3.顔
4.壁抜け芸人
5.たまご道
6.銀鉱
7.着地点
8.王国への道
9.赤い蝶
10.顎
11.奴隷商人
12.氷の女王

answer.――― 82 点

本作は消失し、後退した文明を舞台に、旅をする主人公ラゴスの青年期から老年期を描いた連作短編。やはり注目すべきは青年期から老年期、作中で《時間を経過させている》ことだろう。作中で時間を経過させる―――それが文学に通じることを知ったのは、高校時分に読んだ中河与一の『天の夕顔』だったが(正確に言えば古典『若きウェルテルの悩み』が引き合いに出されて激賞されるも、当時の俺には理解出来なかったために他作品で披露されない事象を技巧と解釈した。文学=文章の機微程度の認識だった典型的TEI脳)、本作では旅を続けるラゴスが出会う不可思議な登場人物、遭遇する災難など紆余曲折の旅先での「滞在」により分かり易く《時間の経過》を意識出来る造りとなっている。もっとも、時間の経過は本作のあくまで一面で、その《時間》を引き金にした産業の発展、ラゴスの「知」を得る一連の過程(修得→反映→伝達)を人生の縮図と置き換えたり、とマクロにミクロに試みている辺りは流石の一言。また、人生の縮図、という意味での個人的なファインプレーは終章【氷の女王】で〆めたことに尽きる。どんなファンタジーも最後はいつまでも【To be continued】、「個」で終わるべきで、使命とも云える旅を終えたラゴスが前を向いた先で気づいた【氷の女王】は、まさにラゴスにとってのエバーグリーンな物語。「群」と「個」、ファンタジーに用意されるべきまったく性質の違う「使命」を丁寧に教えてくれる目から鱗の演出だ。ファンタジー書きは「……ナイス・エンディング!」と唸りましょう。

新潮文庫:旅のラゴス/筒井康隆 (1986)

category: た行の作家

tag: OPEN 80点 筒井康隆

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中公文庫:虚人たち/筒井康隆

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(あらすじ)
同時に、しかも別々に誘拐された美貌の妻と娘の悲鳴がはるかに聞こえる。自らが小説の登場人物であることを意識しつつ、主人公は必死の捜索に出るが…。小説形式からのその恐ろしいまでの“自由”に、現実の制約は蒼ざめ、読者さえも立ちすくむ前人未踏の話題作。

answer.――― 30 点

筒井康隆の数多くある作品のなかでも、「読み手を突き放す」アマチュアリズム溢れる一作。こんな本があるんだ、という意味では読んでおいて損は無い。特に奇天烈な作品制作を目論む作家志望には良いお灸となるので、その点では推奨したい(尚、Wikipediaなどで作品解説を既読した上で臨むことも合わせて推奨。意図を理解していてさえ掛かるストレス、書き手の勝手な実験に付き合わざるをえない読み手のストレスを知ろう)。時折りと云わず、筒井康隆の代表作!と謳われてしまうが、ある面では確かに間違っていない作品だけに余計に罪深い。

中公文庫:虚人たち/筒井康隆 (1981)

category: た行の作家

tag: OPEN 30点 筒井康隆

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