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第17回ファンタジア大賞 佳作:マテリアルゴースト/葵せきな

マテリアルゴースト (207x290)
1.不本意な生還と能力覚醒
2.記憶喪失の浮遊霊
3.類は友呼ぶスクールライフ
4.甘くない同棲生活
5.両手に花。背中に幽霊。
6.VS 都市伝説
7.死ねない理由

answer.――― 64 点
このライトノベルがすごい!にもランクインしたヒット作『生徒会の一存』シリーズの著者・葵せきなのデビュー作が本作『マテリアルゴースト』。その概要は、自殺志願者の高校生・式見蛍が交通事故によって異能を得たことにより、記憶喪失の幽霊の少女ユウと出会い、……というもの。上記の代表作とはある種真逆のネガティヴな題材で、「」の連打よりも能弁で厭世気味な一人称の地の文が印象に残る。また、主人公の『幽霊を実体化させる』という異能設定は、シリアス&コミカルパートを必然と生む好設定。読み進めて拡がる作品の奥行きに、4コマライトノベル『生徒会の一存』から遡ってきたファンにはギャップに満ちた仕上がりになっていると云えるだろう。もっとも、そんなファンが楽しめる作品かどうかというと、そこは需要と供給の問題。主人公(♂)を取り囲むヒロインたち、いわゆる「ハーレム」な構図はこのデビュー作から盤石なれど、如何せん、シリアスなパート(……実は、バトルも有りマス!)が作品を占める。遡ってきたファンには、葵せきなに何を望むかで評価が分かれるだろう。作品単体としては、登場人物出揃った日常と設定に面白味を覚えるものの、総じて「粗い」印象。そんな意味で、『生徒会の一存』の作風は著者の長所(とりとめもない台詞のやり取り)をピックアップした作風に思えて、著者&編集の好判断に拍手を送りたくなりました。

第17回ファンタジア大賞 佳作:マテリアルゴースト/葵せきな

category: あ行の作家

tag: ファンタジア大賞佳作 OPEN 60点 葵せきな

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第1回ファンタジア大賞 準入選:リュカオーン/縄手秀幸

リュカオーン (206x290)
1.来訪者
2.闇の胎動
3.潜むもの
4.血の記憶
5.暗黒祭
6.魔神終焉

answer.――― 65 点
読んで早々に(……リュカオーンってこの肩に乗ってる女の子のほうなのね)と地味に驚かされた、記念すべき第1回ファンタジア大賞の《準入選》受賞作が本作『リュカオーン』。公募賞の第1回はナンダカンダで(後に)注目されるものだが、ファンタジア大賞の第1回と云えば、―――天下の『スレイヤーズ!』である。数多の公募賞の歴史のなか、第1回の受賞作として同作ほどレーベル、ジャンルを牽引した作品は無いのではなかろうか?そして、そんなBig Bang!的作品と肩を並べて同時受賞していたのが本作であり、故に読みはせずとも「題名だけ、表紙だけは知っている」という人も多いのではないかと思う。かく言う私もその一人だった。ストーリーラインは、人が人の姿を失ってしまった遥かな未来、バロスの街に訪れたのは奇妙な二人組……一人は機械の大男、もう一人は「……ノーマルだ!攫っちまえ!」というもの。出版当時、『スレイヤーズ!』ではなく、本作こそレーベルの本命だったというエピソードは知られているところだが、それも納得の、「ライト」SF……なのか?と首を捻りたくなるSFファンタジーで、水晶ドクロ、ニュートリノ、事象の地平線などノンフィクションな単語を散りばめる。序盤、中盤と広大な作中世界を披露しつつ、終盤にSEKAI NO OWARIを起こそうとするあたりはSFらしいダイナミックな展開。登場人物は誰もが強く、さじ加減で優劣逆転するカオスな様相も魅力的だ。独り善がりでない、読者を楽しませる視点がしっかりと設けられている。“重”のリュカオーン、“軽”のスレイヤーズ!と編集部が対比させたのも実際に頷ける、『スレイヤーズ!』とまさしく好対照な一作。今読んでしまえば「これ、……ライトノベル?」と疑問を呈されてしまうだろうが、そこにジャンルが確立する以前の混沌が覗ける。今あえて手に取るならば、“恐竜”を見つけた気持ちで読みましょう。

第1回ファンタジア大賞 準入選:リュカオーン/縄手秀幸

category: な行の作家

tag: ファンタジア大賞準入選(金賞) OPEN 60点 縄手秀幸

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富士見ファンタジア文庫:幻想封歌 - メルヴィ&カシム 1/冴木忍 (1991)

幻想封歌 (207x290)
1.竜の都
2.風の道
3.水底の夢
4.長い夜
5.黄金の門

answer.――― 60 点
冴木忍の初の「長編」デビュー作であり、富士見ファンタジア文庫が誇るライトノベル黎明期を支えた作品のひとつ。先に余談をさせて頂くが、小中学生時に公然と手に入れられるエロ漫画、それが『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』だった(私の一つ上の世代がおそらく「うん、そうだね」と首肯する直撃世代だと思われる)。その内容は、400年以上を生きる伝説の魔導師ダーク・シュナイダーが味方のヒロインたち、そして、敵の女戦士たちを裸にし、セックス未遂を繰り返し、男の敵は苦戦しつつもボコる!というサービス満載のもので、そこに天使が、天使が、―――最終戦争勃発ッッ!!と壮大なスケールで超絶に展開する。厨二病が発病してしまう漢字とカタカナ・ルビの魔法、その詠唱、二度と見られない必殺技、最終奥義の数々が惜しげなく披露され、改めて上述の言を繰り返すが、美麗なイラストでの乳繰り合いが最大のセールスポイントであるエロ漫画である。さて、本作、例えるならエロくない『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』である。超絶(美形)主人公メルヴィ、こき使われるユニセックスな弟子カシムが、ショボい依頼から壮大な事件に巻き込まれ、苦戦しつつも無敵に、それでいて捻くれつつも善性に、困難辛苦な過去を乗り越える。カシムの一人称、それに支えられた漫画な台詞のやり取り(「何故、逃げる!」「どうして追っかけてくるんですか!?「逃げるからだ」)など、実にライトノベル。キャラクター化激賞された現在、楽しむには登場人物の頭身が高過ぎるが、「漫画」以外に手を出したい当時のお年頃の人たちが手に取り易かったのは理解出来る作品。エロければ彼らはもっと喜んだことだろう。

富士見ファンタジア文庫:幻想封歌 - メルヴィ&カシム 1/冴木忍 (1991)

category: さ行の作家

tag: OPEN 60点 冴木忍 受賞作以外のライトノベル

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