ナマクラ!Reviews

01/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29./03

2016年2月のレヴュー更新(まとめ)

うーむ、今月は三つしか仕上げられなかったか!と、個人的にも案外なまでの結果に。下書きは増えているので、あとは仕上げるだけなんだが、……どれも妙に気に入らなくて放置していると月末を迎えてしまう悪循環。やっぱり、レヴューしたい作品があるってのがモチベーション的に大事ですね。そういう意味で、とりあえずの更新ペースを上げるためにも、既存の受賞作群をレヴューするのを止めてみようかしらん?と考え中。新サスケさんにもコメントで言及されたが、たまたまとはいえ、レヴューの点数にバラつきが出ていないので、その辺のエンタメ感が出ていないのも定期訪問して頂いている方には退屈かもしれないし。何にせよ、来月の自分に期待したい。

●このライトノベルがすごい!●
このライトノベルがすごい!(2014年版) 2位:ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン/宇野朴人
このライトノベルがすごい!(2014年版) 7位:東京レイヴンズ 1 SHAMAN*CLAN/あざの耕平

●ラノベ好き書店員大賞●
第2回ラノベ好き書店員大賞 1位:マグダラで眠れ/支倉凍砂

ライトノベルの点数一覧は⇒こちらへ!
大衆小説の点数一覧は⇒こちらへ!
アーティストの点数一覧は⇒こちらへ!

category: 更新情報

[edit]

page top

第2回ラノベ好き書店員大賞 1位:マグダラで眠れ/支倉凍砂

マグダラで眠れ (204x290)
(あらすじ)
錬金術師クースラは、昔なじみの錬金術師ウェランドと共に戦争の前線の町グルベッティの工房に送られることになる。グルベッティの町で、クースラたちは前任の錬金術師が謎の死を遂げたことを知る。そして辿り着いた工房では、白い修道女フェネシスが二人を待ち受けていた。

answer.――― 67 点
作家という生き物は本来的に傲慢であり、ある程度のセールスを伴うキャリアを積むと、―――己は何でも書ける!と万能ぶる。とは、森見登美彦の意欲作『ペンギンハイウェイ』のレヴューでの一文だが、その一文をそっくりそのまま貼りつけたくなる本作は、電撃文庫の00年代のドル箱『狼と香辛料』の著者・支倉凍砂が手掛けた下卑た野心丸出しの新シリーズ。そのストーリーラインは、社会不適合な錬金術師が己の夢を追う、というもの。主人公の倫理外れる思考/行動の抑制として、敬虔な修道女をヒロインに配しているのが今後のファンタジーを招く主だった仕掛け。前作で《経済》を題材にライトノベルに新風を吹かせた著者だが、本作では《錬金術》という一種の魔法に時に化学な裏付けをしつつ、中世当時の常識を披露するなど、変わらずライトノベルらしからぬ作風を貫いている。が、「……で、これ、誰に読ませたいの?」と首を傾げたくなるのが、正味な感想。性悪な錬金術師が修道少女を小馬鹿にし、心内では冷笑気味に世間&世界を説き、危機が起これば淡々と処理していく。そもそも、ほぼ何も起こらないまま(物語が見えないまま)、中盤へと進んでいくのは眉をひそめたくなる構成難。《錬金術》に対して頁の消費量が明らかに多過ぎる。しかし、だからこそダイレクトに伝わるのが「俺を見ろ!」という著者の自己主張だろう。「いいか、錬金術ってのはなー!」という御高説である。著者は見誤っている。『狼と香辛料』が多くの支持を集めたのは、《ホロが可愛かった》ことに尽きる。それが大前提にあってこそ、《経済》を題材にした物珍しさがクローズアップされたのであって、その逆ではない。本作のどこにそんな大前提を見い出せばいいのか。修道女に耳生やすなら出会ってすぐに生やせや!『狼と香辛料』が何で売れたのか、著者本人も実は解かっていなかった事実を露呈してしまった一作。人は成功すると化けの皮が剥がれる、……全ては慢心からだ。何でも書けるなんて幻想なのである。書けてしまう場合は、そこまで売れるものは作れない。

第2回ラノベ好き書店員大賞 1位:マグダラで眠れ/支倉凍砂

category: は行の作家

tag: OPEN 60点 支倉凍砂 ラノベ好き書店員大賞

[edit]

page top

このライトノベルがすごい!(2014年版) 2位:ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン/宇野朴人

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (199x290)
(あらすじ)
隣接するキオカ共和国と戦争状態にある大国カトヴァーナ帝国。その一角にとある事情で嫌々、高等士官試験を受験しようとしている少年イクタ。戦争嫌いで怠け者で女好き。そんなイクタが、のちに名将とまで呼ばれる軍人になろうとは、誰も予想していなかった……。

answer.――― 75 点
丁か半か、黒か白か。当事者、あるいは、傍観者であっても勝負事は面白いものだが、何が面白いのかといえば、どちらも勝とうとしているからに他ならない。一生懸命に“負け”を競って面白いなんてことは有り得ない。“負ける”ことが“勝つ”ことに繋がるなら話は別だが、あくまで“勝つ”ために、“勝とう”という意志がぶつかり合うからこそ、エンターテイメントが成立する。さて、本作は何とも物珍しい“負け”を着地点にする物語。と云っても、あくまで“勝つ”ため―――外憂内患の母国救国故の着地点が“負け”ということであり、そのために幾度もの勝利を積み重ねなければならない矛盾が構造的面白味。また、“精霊”介在するファンタジーな世界観ながら、多対多の集団戦を描いているのも珍しい。“能ある鷹は……”な怠惰な主人公は地形その他から戦術を立て、危機に陥ろうが常時余裕しゃくしゃくに仲間を導き、敵を撃破していくのは痛快だ。いわゆる俺TUEEEE!な軍師もの、と捉えれば良いだろう。主人公は冒頭より毛嫌いする軍人へ、貴族へ、英雄へ……と成り上がっていくところも《お約束》な演出。ところで、本作の目玉は脇役マシュー・テトジリチなのは読了した貴方ならばご存知のことだろう。称賛浴びる仲間たちのなかで埋もれている己に忸怩たる想いを抱きながら、決して人前に出さず、そのくせ“諦めない”雑草根性は(……マシュー、お前は主役を食うんだな!?)と読み手を「筋」を無視した魅力的な博奕へと誘う。主人公とかどうでもええわ、マシュー!マシュー!!マシュぅぅうううー!!!と、拳を突き上げて応援したくなるラストの純粋なマシューの“決意”はどんな物語よりも面白い。ここには著者が本当に描きたい物語、読み手へ敷いたミスリードがある。読み手に想像(=創作)させること、それが本来的な「物語」の本質である。

このライトノベルがすごい!(2014年版) 2位:ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン/宇野朴人

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 宇野朴人 ラノベ好き書店員大賞 このライトノベルがすごい!

[edit]

page top

このライトノベルがすごい!(2014年版) 7位:東京レイヴンズ 1 SHAMAN*CLAN/あざの耕平

東京レイヴンズ (205x290)
(あらすじ)
東京を中心に霊的災害“霊災"が多発するようになった現代。名門・土御門家の血を引きながらも霊的才能に見放された春虎の前に土御門家次代当主であり幼なじみの夏目がやってきて!?

answer.――― 68 点
凋落していった富士見ファンタジア文庫を支えた『BLACK BLOOD BROTHERS』に幕を下ろし、斜陽のレーベルの新たな屋台骨となるべく「学園陰×陽ファンタジー」というテーマの下、あざの耕平が着工した長期シリーズの第1作目。さて、個人的に《陰陽師》という目垢/手垢のついた題材をどうアレンジしてくるのか気になるところだったが、「学園」「警察」「陰陽師」「東京」といった外殻、そこに「幼馴染」「約束」「凡才」「天才」といったパーソナルな要素を絡めて展開する―――有り体に云えば、(……どこかで見たことあるような?)という「王道」そのものな作品で、特に言及するほどのアレンジが無かったのは残念と言えば残念。もっとも、実は一途に想っています、堂々と嫉妬しています!の主人公周り、バトル&バトルの派手なア(トラ)クション、頁をめくれば判明してくる宿命的な陰謀……!という何のてらいのない「王道」は、持ち前の語彙&構成力で手堅く飾られている。「王道」は、小説ならば《文章力》がその質に差をつける。その意味で、本作は「王道」作品として十分に及第点を与えられるだろう。ただ、やはり欲を言えば、作中でたとえば裁判を起こすような《陰陽師》とはかけ離れたサプライズを起こして欲しかった。作品としての出来はともかく、他の作品を差し置いて推したくなる作品ではない。

このライトノベルがすごい!(2014年版) 7位:東京レイヴンズ 1 SHAMAN*CLAN/あざの耕平

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 あざの耕平 このライトノベルがすごい!

[edit]

page top