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第12回メフィスト賞 受賞作:ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ/ 霧舎巧

ドッペルゲンガー宮《あかずの扉》研究会 流氷館へ
(あらすじ)
ゴシック様式の尖塔が天空を貫き屹立する「流氷館」。いわくつきのこの館を学生サークル『あかずの扉』研究会のメンバー6人が訪れたとき、満天驚異の現象と共に悲劇は発動した!20世紀最後の新本格派・霧舎巧が島田荘司氏の推薦を受けて放つミステリフェロモン100%のデビュー作。

answer.――― 65 点
何事にも「適性」と云うものがあると思う。それはジャンルという大枠から一場面の一演出、登場人物の「でも、〇×△□……」といった台詞の語尾につく三点リーダーのような(意図せずの偶然も含む)著者が施した微細に及ぶ。「適性」がそこに描かれているものを、そこに描かれている以上のものを「読み取らせる」。本作は霧舎巧のデビュー作であり、《あかずの扉》研究会シリーズの第一弾。≪20世紀最後の新本格派≫なんて大仰なキャッチの通り、あくまで本作は推理がメインの、そして、いわゆる《館モノ》に軒を連ねる作品。物語は、『あかずの扉』研究会が流水館に訪れれば、そこで相次ぐ殺人事件……なのだが、ミステリというと俗な私が求めるのは暴かれる痴情、事件の【動機】だが、この辺がどうにも希薄で目が滑ったまま、淡々と館の形が出来上がっていく。それだから【館】のダイナミックなデザインに感嘆すべきところで、残念ながら、ほう、の一つも出ず。私自身に元よりミステリへの「適性」がない分を差し引いても、頁数、文字数、ご覧の通り!の詰め込み過ぎな印象を拭えない。いきなりの一目ツン惚れ、内側と外側に配される二人の探偵など、キャラクター小説風の工夫も見られるが、実際にそう捉えるには弱いし、何より人が死んでも、そこに恐怖が無いのが厳しい。―――いやいや、どんな作品もこんなもの!と抗する方もいらっしゃると思うが、その「どんな作品」もこんな頁数を費やして書きはしない。本作は【館】を中心に描かれ、【館】を主役に描いている。それだから、「適性」がない人にとって、種明かしのその時まで何を楽しめばいいのか解らないのが作品構造上の問題だと思う。なんて私はこの通りダメでしたが、ミステリ愛好家には好評な模様。……何事にも「適性」というモノがあるのです。

第12回メフィスト賞 受賞作:ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ/ 霧舎巧

category: メフィスト賞

tag: OPEN 60点 霧舎巧

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