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第13回メフィスト賞 受賞作:ハサミ男/殊能将之

ハサミ男
チョキ、チョキ、チョキとハサミ男が行く
悪い子たちの遊びをやめさせるんだ
チョキ、チョキ、チョキとハサミ男が行く
きみも彼の名簿に載ってるかもしれないよ
きみも彼の名簿に載ってるかもしれないよ
―――XTC<シザー・マン>

answer.――― 82 点
『クロックタワー』なるゲームの存在を知ったのは高校一年、もしくは、高校二年の年末だったと思う。友人宅でヲタクによるヲタクなアニメ『トップをねらえ!』のフルコース鑑賞の後、ああ、お腹いっぱい!さて、帰るか!―――はい、雑煮!とばかりに、ダン・バロウズ@『クロックタワー2』がハサミを鳴らしながら追ってくる様には(……いや、今日はもう勘弁してくれ)と思春期だけにメモリーが足りず、もはや笑えばいいのか、怖がればいいのか判別付かないまま、外が白けるまでクリアを目指し画面に釘づけになったのを現在でも強烈に覚えているが、さて、そんな「ハサミ」繋がりで紹介させて頂く本作『ハサミ男』は、今は亡き覆面作家・殊能将之のデビュー作。「面白ければ何でもあり」と謳うメフィスト賞だが、本作はこれぞメフィスト賞!と同賞のマイルストーンの一作として扱いたくなるグロウルなキャラクター推理小説となっている。物語は喉にハサミを突き刺された女子高生が相次ぐ猟奇殺人事件を軸に進むが、見所はその猟奇殺人鬼「ハサミ男」の視点があるところ―――そして、「ハサミ男」が自らの事件に巻き込まれて混乱する様だろう。殺人鬼(視点)を描け、と課せられた場合、難しいのは《理知的でありながら狂っている》という相反する奇怪な思考を披露し、読み手にそれを共感させるでなく、(出来れば生理的に)嫌悪させることだと思うが、本作はそれを前半/後半で仕掛けを変えて成立させてくるのが素晴らしい。生まれついての殺人鬼も、人であるかぎり「普通」を宿している。故に殺人鬼が起こす結果は恐ろしくても、そこに到る過程―――特にその準備段階は、きっとファニーであるはずなのだ。著者は「ハサミ男」の日常をグロテスクに、それでいてどこかユーモラスに飛躍を伴なわず描けている。『クロックタワー』のダン・バロウズを目にしたとき、(……お前、そんなデッカいハサミを持ってナニを考えてる!?)と私は言葉に出来ない衝撃を受けたが、殺人鬼(の視点)を描くときにはそんな当人には疑問さえ湧かない(読み手しか気づかない)デカダンを組み込めるかでリアリティが決まると思う。やや時代を感じる作風なものの、「ハサミ男」のデザインから【推薦】させて頂きます。

第13回メフィスト賞 受賞作:ハサミ男/殊能将之  【推薦】

category: メフィスト賞

tag: OPEN 80点 殊能将之 推薦

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