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SD文庫:テルミー きみがやろうとしている事は/滝川廉治

テルミー
1.きみがやろうとしている事は
2.ソレトナク
3.Tell me why

answer.――― 66 点
ここにデビュー作(あるいは、デビュー・シリーズ)が売れなかった作家の「典型」がある。本来ならばデビュー作にこそ細心の注意を払って施さなければならない《お約束》を己の才覚に高を括って無視し、そうして、出てきてしまった惨たる結果に「……な、何で!?」と慌てふためく。拗れているとやれ表紙(イラスト)だ、編集だ、営業だ、と他人のせいにし腐って愚痴り、肝心の己の不徳に対しては一切省みようとしない。そんな青筋立てなくても大丈夫だ、安心しろ―――《エンターテイメント》作品ならば良いモノは必ず売れる、大小の差こそあれ(←これ、重要)。《売れなかった》のなら、お前が「何か」をサボったんだよ。……版元が悪い?俺の先輩が言ってたよ、「何か勘違いしてんじゃねえの?愚痴るような会社に入ったのはお前だろ?悪いの、全部お前じゃん」ってな。そんなところにしか入れなかったお前が悪いんだよ。と、話が昨今の社会人あるあるまで広がってしまったが、本作の著者・滝川廉治は第7回スーパーダッシュ小説新人賞《佳作》受賞作『超人間・岩村』でデビューしたわけだが、見切りをつけたのか、つけられたのか……明らかにシリーズ化を意図した幕引きにもかかわらず続刊せず、この『テルミー』を上梓して己の作家人生を仕切り直してきた。見苦しくも、と付け足したくなるのは上述通り、「典型」だからだ。何が「典型」なのかを説明する前に、本作の概要を―――冒頭、修学旅行での事故でクラス一つ、24人がいきなり亡くなる。その奇跡的に生き残ったヒロインと偶然欠席して免れた主人公が死んだ彼らの心残りを晴らしていくのがストーリーライン。この派手な《冒頭》が意味することは?そう、これこそが滝川廉治がデビュー作で身をもって知った《お約束》(のひとつ)であり、それを最大値に誇張してみせた己の才能の「底」である。わざわざ「底」と謳わせてもらったのは、採った方法が正解でありながらも安易だからだ。―――中略。本作は著者がデビュー作での己の「失敗」、そこから見い出した《お約束》(ex.「物語の提示」「女性投入」「性」など。この辺はデビュー作を実際に読んで貴方自身が感じたストレスを拾って頂きたい)を施している。が、それらは(……こうすりゃいいんだろう?)と読み手を鼻で笑うような「形」ばかりの投げやりなもので、そんな態度だから3章「Tell me why」で有川浩の《ベタ甘》並みの著者の勘違いがノンストップで披露されてしまった。デビュー作の中盤以降で披露していたライトノベルと大衆小説の良質なクロスオーバーが、偶然の産物であることを露呈してしまった。長いのでいい加減〆めるが、《お約束》をパッヘルベルのカノン―――「大逆循環」程度にしか考えてないから《「もはや」大衆小説》ではなく、《「所詮」ライトノベル》と見下げられる出来になってしまっている。本作は大手のレヴューサイトなどに取り上げられて好評を博したが、いざ読んでみて肩透かしを食らった人も多かったと思う。その肩透かしこそ著者の《お約束》に対する不誠実さに起因することをこのレヴューで伝えたい。でも、まあ、……たとえば『神様のメモ帳』が好きな人には本作をお薦め出来るかもね。俺は、本作を読むならデビュー作の『超人間・岩村』をお薦めするが。

SD文庫:テルミー きみがやろうとしている事は/滝川廉治

category: た行の作家

tag: OPEN 60点 滝川廉治

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