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第12回えんため大賞 優秀賞:犬とハサミは使いよう/更伊俊介

犬とハサミは使いよう
(あらすじ)
「読まずに死ねるか!!」ある日突然、強盗に殺された俺。だが本バカゆえの執念で奇跡の生還を果たした―ダックスフンドの姿で。って何で犬!?本読めないじゃん。悶える俺の前に現れたのは、ハサミが凶器のサド女、夏野霧姫。どう見ても危険人物です。でも犬の言葉が分かる、しかもその正体は俺も大ファンの作家、秋山忍本人だった!?どうなる俺、あと俺を殺した強盗はどこ行った……!?

answer.――― 70 点
パッと思いついたところで、村上春樹の『風の歌を聴け』、東野圭吾の『悪意』、田中康夫の『なんとなく、クリスタル』が、思春期の私に《ストーリー》以外の部分で感銘を与えた小説に挙げられる。具体的に云えば、『風の歌を聴け』では作中「絵」を挿したことで小説=……な固定観念を確認出来たこと、『悪意』では先入観は台詞ではなく行動で植えつけられること、『なんとなく、クリスタル』では注釈が注釈以上の意味を持つことも有り得ることをだが、そんな三作のなかで一番使い勝手が良さそうなクリスタルなアイディアを施しているのが本作『犬とハサミは使いよう』。そのストーリーラインは、読書一筋の男が偶発的な殺人に巻き込まれるも犬畜生に執念で転生し、覆面作家(♀)に拾われてハサミで度々殺されかけながらも、己を殺した犯人を……というもの。本好き、というライトノベラーが隠れアイデンティティにしているだろう要素を主人公に配した上で(何を恥じることがあろうか?スタンスの)童貞のまま、犬で、作家(♀)と同棲で、となかなかにあざとい慧眼な設定もさることながら、やはり、……ライトノベルは表現のフロンティアだ!と言わんばかりの各章末の《注釈》は遊び心が溢れている印象。勿体無いのは実質、作品の個性にもなっている《注釈》が著者の戯れで終わってしまい、『なんとなく、クリスタル』のような時代を閉じ込めるドキュメント性が無いところか。せっかくのアイディアなのだからもっと意味を持たせても良かったと思う。それでも、ごくごく有り触れた主人公ながらにクスリとさせる造語を散りばめた一人称、それを解説的にアシストする《注釈》は好感度の高い著者の戯れには違いない。本作は、第1回ラノベ好き書店員大賞でも第10位にランクインしているように広く受け入れられ、2014年現在も刊行中のロングラン作品となっている。ただ、個人的にラストの戦闘場面は需要にそぐわない演出ミスに思うのだが、その辺はファンの方はどう捉えているのか気になるところ。登場人物の善性が魅力のライトノベル。

********注釈********
『風の歌を聴け』のイラストは~!『悪意』のトリックは~!『なんとなく、クリスタル』の注釈は~!とか、元ネタの話はしなくて( ゚Д゚)bイイカラネ!
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第12回えんため大賞 優秀賞:犬とハサミは使いよう/更伊俊介

category: さ行の作家

tag: えんため大賞優秀賞 OPEN 70点 更伊俊介 ラノベ好き書店員大賞

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