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第7回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:スイーツ!/しなな泰之

スイーツ
(あらすじ)
狛犬が爆発した。その中から現れた少女・麻衣と出会った高校生・章輔は、思春期の少女にありがちな超常能力『スイーツ』をめぐる事件に挑むことに。従姉妹の伊乃や先輩の千代も巻き込んだ冒険が始まる!

answer.――― 62 点
親類に駆け出しの映画監督(見習い。近況は詳しく解らないが、TVのテロップで流れるくらいには出世した模様)がいる。そこそこに風変わりな子なのは間違いないが、だからといってトんでいるというほどでもなく、世間と隔てる「凄み」のようなものは特段感じられない……のだが、個人的に(……おお、流石)と小さく唸らせられたのは《解っている》ことだった。というのも、周りの学生と自分との違いを訊いたとき、―――皆は撮りたい「場面」が頭にあって、それを中心に創っている気がする。なる趣旨の答えを返してきたからだ。そう、その場面は確かに面白いかもしれない。しかし、そこへ到るまでの他の場面は……?誰しも「面白い」には《一家言》持っているものだが、そんな《一家言》だけでは処理出来ないのが現実だ。時たま、著者が何の自信を持って展開しているのか解らない作品に出会う。おそらくと言わず、「面白い」と思うからこそ描いているのだと思うが、それがよく伝わらない。狛犬が爆発し、ボーイ・ミーツ・ガールする本作『スイーツ!』は私にとってその類の作品。とにかく女の子、女の子である。そこに「うん、そうだな。みんなそう言う。『お前のチャックは開いている、だから閉めろ』と。だが―――おかしいと思わないか? 閉める必要があるなら、なぜ開くようにできているんだ? そもそもチャックなんてものは、開けるためにあるんじゃあないのか?」というティーン薫るギャグを咬ます。主人公はヒロインたちの言動を下ネタとしてナチュラルに変換(勘違い)して動揺する……その様は、確かに読み手を楽しませてくれる。著者の狙いは伝わる、その精度も(求め過ぎなければ)上等だ。が、=面白い作品!とは当然、ならない。著者自身に問いたいのは、貴方は作品に触れる際に瞬間、瞬間を切り取って「面白い」と評価するかということだ。本作は、文字が敷き詰められている。多くは主人公の勘違い下ネタを成立させるために。「エロ」。著者にとってのセールスポイントなのだろう、その「狙い」は解る。だが、それだけで作品を「面白かった」と読み手に総括させるには、今度は筆力が不足している。そして、何より作品と接するとき、読み手がまず読もうとするのは「物語」だ。暗黙の了解、大前提過ぎる大前提だからこそ、いつの間にか作り手は忘れてしまう。時たま、著者が何の自信を持って展開しているのか解らない作品に出会う。まずは、―――「物語」で魅せる。実際の頁数より先を読ませないことには、「面白い」は始まらない。

第7回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:スイーツ!/しなな泰之

category: さ行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞(佳作) OPEN 60点 しなな泰之

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