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MF文庫J:機巧少女は傷つかない〈1〉 Facing "Cannibal Candy"/海冬レイジ

機巧少女は傷つかない

answer.――― 72 点
《売れるものを作る》ということを、ともするとネガティヴに捉えてしまう方がいるが、それは自分の才能に限界を設けるどころか、元よりあったその才能の限界の三歩と言わず、十歩、二十歩手前にわざわざ設ける、信じ難い「間違え」だ。《売れる》ために答えを突き詰められれば、その意図した工夫を、人は作り手の《魂》とさえ見間違い、熱烈に歓迎する。踏みこめば《売れるものを作る》、これを本気で取り組められれば才能の限界さえ突破出来る。要は、取り組み方次第で全てが変わるのだ。《売れる》ために採った選択により自らの株を下げる結果が出てしまったのなら、選択が間違いだったと安易に己をなじるのではなく、まず、その程度しか《売れる》ことを突き詰めていなかった事実(自分)に気づくべきだろう。そう、創作を舐めているのは、己の感性を矯正しないままに―――《売れるものを作った》気になっている作り手なのである。彼らは頭から《売れているもの》を「舐めた」耳目で読み、聴き、見る三流の消費者であることは言うまでもない。03年に富士見ミステリー文庫から『バクト!』 でデビューし、今やレーベルを跨いで業界をSURVIVEしている海冬レイジ。本作は氏の事実上の代表作である『機巧少女は傷つかない』シリーズの第1巻。概要は、世界大戦の迫る二十世紀、自動人形の世界一を決める<夜会>に参加すべく日本より英国へ留学してきた主人公が内に秘めた本当の目的とは……というもの。いわゆる「王道」、いわゆる俺TUEEEE!である。本作に目新しい要素は無い。実際、読んでいても「整えられていく」状況に、どこか既視感を覚えるのも至極当然だろう。がしかし、これは随所に著者のなかなかの《売る》意気込みを感じる。俺TUEEEE!でも、俺はまだ……!や影でモテモテ、下ネタ、悲惨な過去、因縁など、誰しも不快にならない《お約束》のオンパレードは勿論だが、たとえば冒頭も冒頭、《止まらない列車を止める》オープニング。内から外へのアクション、「列車」の採用……たとえば著者はそういう工夫をしている。別に、それが新しいわけでも、とりわけ良いというわけでもない。ただ、そういう「当たり前」を抜かりなく続けていく。刊行ペースを含め《仕事》を感じるシリーズ。書いていて著者自身が楽しいかは定かではないが、陰に日向にな《仕事》は評価に値すると思う。

MF文庫J:機巧少女は傷つかない〈1〉 Facing "Cannibal Candy"/海冬レイジ  (2009)

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 海冬レイジ

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