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第6回本屋大賞 7位:出星前夜/飯嶋和一

出星前夜
(あらすじ)
寛永十四年、突如として島原を襲った伝染病が一帯の小児らの命を次々に奪い始めた。有家村の庄屋・鬼塚甚右衛門は旧知の医師・外崎恵舟を長崎から呼ぶが、代官所はあろうことかこの医師を追放。これに抗議して少年ら数十名が村外れの教会堂跡に集結した。折しも代官所で火事が発生し、代官所はこれを彼らの仕業と決めつけ討伐に向かうが、逆に少年らの銃撃に遭って九人が死亡、四人が重傷を負う。松倉家入封以来二十年、無抵抗をつらぬいてきた旧キリシタンの土地で起こった、それは初めての武装蜂起だった…。

answer.――― 70 点
第2回の『黄金旅風』でも言及したが、本作もまた著者の十八番、綿密な取材により成立させる<時代考証>それ自体をセールスポイントに置く一作。気になる題材は、江戸時代初期の大乱「島原の乱」だが、この乱が単純な宗教的情熱などではなく、止むに止まれぬ事情―――理不尽な為政者に対して起こった必然的な反乱として描くため、下準備に当時の風邪の診断の仕方から治療法、その他の含蓄を事細かに綴っていく。これを是とするか非とするかはまさしく読み手次第で、僭越ながらいわゆる「大衆」の代表としてその是非の内訳を予想させて頂くと、「非」の判断が大勢を占めるかな、と。現在は地獄で家庭内暴力についての反省文をしたためているだろう井上ひさし御大ですら絶賛し、ファンには「飯嶋和一にハズレなし」と謳われているように、著者はプライドを持って「調べ」、作品を書き上げているのだと思う。その《仕事》っぷりには教科書程度の知識では疑問を挟む余地は無い。だが、遅々とした展開、何より「物語」を通しているものの、資料を読むかの如き錯覚を覚える文字量は酷だ。本作を読んで「楽しい」「面白い」という感覚を得るには、相応の《知識》が要る。飯嶋和一という作家は、インテリゲンチャ御用達の作家と捉えていいと思う。それだけに、我こそは……!という方は手を伸ばしてみてください。選民的エンターテイメントがここに御座います。

第6回本屋大賞 7位:出星前夜/飯嶋和一

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 飯嶋和一

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