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第25回山本周五郎賞 受賞作:楽園のカンヴァス/原田マハ

楽園のカンヴァス
(あらすじ)
ティム・ブラウンはニューヨーク近代美術館のキュレーター。ある日、スイスの大邸宅に招かれれば、そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは……!

answer.――― 73 点
多くの人にとって敷居の高い《ART》だが、だからこそ触れてみたいと思うのが人間の性……がしかし、いざ臨もうとしたときに気後れしてしまうのはその作家&作品について《知らない》、《解からない》ことだと思う。《Classic》もそうだが、時間の精査に耐え得る作品を理解出来ない自分は受け入れ難いものだ。それを緩和するために《解からない》までも、その作家&作品への《知識》を得るのが手っ取り早い自衛の手段になるわけだが、さて、本作は《キュレーター》なんて肩書きを持つ原田マハがその肩書きを存分に活かして送る、アンリ・ルソーの最後の作品「夢」を題材に《真贋の駆け引き》を施したミステリ。本作を読めば来たるべきアンリ・ルソーとその「夢」について気後れしない鑑賞、その予習が出来る代物なわけだが、率直な感想を先に吐かさせてもらえば、連作短編にするべきだったと思う。過去に「天才」と謳われた元研究者のヒロイン、名前違いから招聘された、実力はあるものの燻っているキュレーターという主要登場人物の《設定》は魅力的ではあるが、「1」作家、事実上の「1」絵画についてのエピソードを交えた考察は冗長に映る。その観点に立てば、―――これ、ノンフィクション!とホラ貝吹いた上で相次ぐ殺人を起こした『ダヴィンチ・コード』のほうが段の違う匠(たくみ)な一作だろう。作中の唯一のゴシップ、明かされていくヒロインのプライベート(過去)は読み手を惹きつける深みは無い。何にせよ、起こるイベントの弱さは感じるものの、《知識》の享受、終盤の《真贋の駆け引き》による盛り返しもあり、読了後には一定の満足感は得られる。ちなみに、漫画『ギャラリーフェイク』を未読な方には、そちらをまずお薦めする。私の上述の連作短編を希望する意図が解かると思う。

第25回山本周五郎賞 受賞作:楽園のカンヴァス/原田マハ

category: は行の作家

tag: OPEN 70点 原田マハ 本屋大賞 山本周五郎賞

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