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第9回本屋大賞 2位:ジェノサイド/高野和明

ジェノサイド (201x290)
1.ハインズマン・レポート
2.ネメシス
3.出アフリカ

answer.――― 84 点
第9回本屋大賞を総括すると、三浦しをんの大衆からの認知のQ.E.D.、『ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~』のランクインによるライトノベルの浸透(というより、現代の消費者によるイラストに対する歓迎の表明)だと思うが、個人的には、週刊文春ミステリーベスト10(2011年度)1位、このミステリーがすごい!(2012年度)1位、第145回直木賞候補!第33回吉川英治文学新人賞候補!など、おそらく今後も含めた高野和明という作家にとってのCareer-Highとなった本作『ジェノサイド』のランクインが一番印象深い。物語の概要は、破格の報酬に釣られてアフリカでの謎の作戦に従事することになった元グリーンベレー、事故死した父から謎の指示が届いた日本人青年を主人公に、一見、地理上でも交わるはずのない点が線となり、アメリカ合衆国の大統領の首を絞める!という気宇壮大なサイエンス・フィクション。冒頭より称えたくなるのは、「謎」の提示が巧みなこと。『新世界より』のレヴューで、面白いとは《矛盾していること》と説いたが、ストーリーの面からではなく、その外側―――演出の面から答えを出すのならば、面白いとは《先を読ませること》である。そして、その上で《先を読ませないこと》だ。それを成立させるために必要なのが「謎」である。「謎」は勿体ぶって「謎」のままにしてはならない、しかし「謎」のままでなくてはならない―――この《矛盾》をお手本のように施していったのが本作。一例を挙げる。元グリーンベレーに持ち込まれたのは「謎」の作戦である。その作戦は「高額の報酬」にも関わらず、「身の危険は無く」「特定の国の利害に関わらない」「人類全体に奉仕する仕事」―――そこから、主人公は「暗殺」と推察する。「謎」は「謎」のまま、しかし、その輪郭を読み手に《予告》的に「掴ませている」のが素晴らしい。もっとも、そんな「謎」を掴ませた直後、視点切り替わり、舞台も10000km以上、雰囲気も180度変えて(……これ、本当に繋がるの?)と思考を停止させてくるところは、「初手」天元な布石。これがただの奇手に終わらないのが圧巻である。諸所で言及されているように、嗚呼、こりゃKOREA!JAPANESE、死すべし!とアイタタタタ……な著者の史観が頁をめくる手を邪魔をしてくれるが、思わず検索してしまう「ハインズマン・レポート」など、作り込んだ設定が人類の絶滅を確かにカウントダウンさせてくれる快作。未読の方はハリウッド映画にも負けない《圧倒的なスケール》を是非、御体験ください。

第9回本屋大賞 2位:ジェノサイド/高野和明

category: た行の作家

tag: OPEN 80点 高野和明

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