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第5回山本周五郎賞 受賞作:砂のクロニクル/船戸与一

砂のクロニクル (202x290)
(あらすじ)
それは現代史大逆転の、最後の賭け。二万挺の自動小銃に託された壮大なるロマン。ロンドンからモスクワへ、そして戒厳令下のイランへ。日本人武器商人はひた走る。歴史の隠された真実を明かしながら。煮えたぎる情念をまき散らしながら。物語作家としての天才と、メッセージのすべてを叩き込んだ未曽有の巨編。

answer.――― 83 点
先日、訃報が流れた船戸与一による80年代末期のイランを舞台にした大作。いわゆる“死の商人”である二人の日本人「ハジ」を軸主人公に起用し、イランより独立を目指すクルド人ゲリラへの武器手配、その顛末を濃厚なSex & Violenceを押し出しながら描いていく群像劇。ほとんどの人にとって教科書に記載されている程度の見聞だろう「イラン革命」の理想とその《腐敗》を革命隊の末端である「サミル」から目の当たりに出来る点、たとえばゾロアスター教徒が革命へ憎悪を抱く理由など「イラン革命」にまつわる《知識》が挿される点は、本作ならではのセールスポイントに挙げられるだろう。手抜き知らず……と、たじたじに評したくなる著者の筆圧を含め、読了する頃にはしっかりと頭(と時間)が困憊していることを《お約束》出来る仕上がりとなっている。エンターテイメント満載の内容ながら、上述の通り、さして効果を発揮していない同名の軸主人公の採用、それ以外にも視点人物が何度も切り替わるのは集中力を強いる大きなマイナス要因で、これが原因でGive Up!してしまう読者も少なくないことが予想されるので、個人的には構成に「難有り」と思う次第。各章のメインキャラクターを示すために、西暦、ペルシア暦、イスラム暦と前置いているが、それで「整理」出来るほど、「ハジ」は書き分けられていない。登場人物で云えば作中、もっとも魅力的に映ったのはグルジアの武器密売業者ゴラガジビリ。金こそ全て!の二枚舌、女垂らしの下衆というキャラクターは、堅苦しい展開のなかで一種の清涼剤とさえなり、その「最期」は、群像劇ならではの《意外な視点人物》として栄誉の抜粋。女に溺れた男らしく、散るその時まで楽しませてくれました。

第5回山本周五郎賞 受賞作:砂のクロニクル/船戸与一

category: は行の作家

tag: OPEN 80点 船戸与一 山本周五郎賞

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