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第8回山本周五郎賞 受賞作:閉鎖病棟/帚木蓬生

閉鎖病棟 (206x290)
(あらすじ)
とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった。彼を犯行へと駆り立てたものは何か? その理由を知る者たちは……。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。

answer.――― 73 点
おそらく《出版不況》というものを思わず後退りしてしまうほどに目の当たりにするのは、ベテラン作家でも、文学作家でもなく、現在の「新人」作家である。そして目の当たりしたとき、デビュー後、(……「次」の、世間の目に入る機会が少な過ぎる!)と痛感したときには後の祭りで、そこから挽回することはほぼ出来ない。それだけに、出版社各社はこの山本周五郎賞のような販促賞を濫発すべきだと思う。既得権益を存分に活かせるうちが華だ。仮に賞金も出ない、名ばかりの販促賞と言えども「箔(歴史)」を付けていけば―――なんて余談はさて置き、本作は精神科病棟を舞台にした群像劇。主要登場人物たちはそこの入院患者たちであり、彼らの過去を紐解きながら展開していく。物々しい表題と登場人物たちからサイコ・スリラーを予想していると、遅々としたハートフルな予感にややと言わず拍子抜けてしまうのは需要と供給の齟齬を招く頂けないところ。それでも、未だ「現役」と呼べるだけの定期刊行が出来ている著者だけに、中盤に起こす容赦無き「転」開は流石の一言。エンターテイメントとして、キッチリと仕上げに来てくれる。作中、目にしてしまえば誰もが心に刻まれるだろう「病院に入れられたとたん、患者という別次元の人間になってしまう」なる一文が本作のハイライト。これを読むために本作があると言っても過言ではない。非常に地味な作品だが、……だからこそ!と販促賞を与えてまで人の目に留めたくなるのも頷ける一冊。

第8回山本周五郎賞 受賞作:閉鎖病棟/帚木蓬生

category: は行の作家

tag: OPEN 70点 帚木蓬生 山本周五郎賞

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