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第9回山本周五郎賞 受賞作:家族狩り/天童荒太

家族狩り
(あらすじ)
脂肪にぎらつくナイフが、肉を骨を家族を生きながら裂いてゆく地獄絵。「崩壊した家族に再生はあるのか」血の海に沈んだ家族がひとつ、またひとつ。一家心中か、連続大量殺人事件か。きっかけは、心理相談のラインに掛かってきた、一本の電話だった。

answer.――― 80 点
同性との初対面時、貴方はまず何を量るだろうか?私の場合、相手が自分より(喧嘩が)強いか否かを量る。これは意図せずのもので、言ってしまえば、反射的な―――本能的な反応だ。ところで、私の先輩に趣味でボディビルに励んでいらっしゃる方がいる。本人は「喧嘩なんかしたことないよぉ」とか弱く仰るが、あの尋常ではない肉体を目にしたとき、たとえ敵意を向けられていなくても、私には《脅威》と評価せざるを得なかった、己の身の危険を感じざるを得なかった。「崩壊した家族に再生はあるのか」。もはや血走っている表題は元より、単行本の厚み、文庫本ならばその冊数からも十二分に察せられるだろう著者のキ×ガイ染みた狂気。そうして、頁をめくってみれば想像通りの、いや、想像以上の(……コイツ、本物のキ×ガイだ!)という確信を抱かせる情念ならぬ情「怨」塗りたくった文章。「……勘弁してくれ、もう勘弁してくれ!」心のうちで何度そう叫んだことだろう。それでも、頁はまだまだ続いていた。読了したときの感覚をよく覚えている、……「無」である。私の心は著者によって蹂躙され尽くされていた。本作を一言でまとめると、家庭に問題を抱えた登場人物たちが遭遇する地獄絵図であり、やっぱり地獄絵図である。生きたまま鋸で斬られ、釘で打ちつけられる恐怖。本作は「詰まる/詰まらない」では語れない。世の中には《評価せざるを得ない》なんて己の嗜好を飛び越えたモノがあると思うが、私にとって本作はその類の怪作だ。……何を言っているか解からない?そりゃそうだ、「魂の殺人」……私は本作にレイプされたのだから。「……勘弁してくれ、もう勘弁してくれ!」しかまともに覚えてないわ。これに関して著者自身、憎悪という憎悪を込めた入魂の作品だったらしく、04年時の文庫化の際にはほとんど全面改稿に近い「文庫版の新作」として発表した。……なんてエピソードも付け加えさせて頂く。時を経て、著者自ら(……やり過ぎだ!)とマイルドに改変せしめた問題作。だからこそ、手を出すなら是非とも「オリジナル(ver.単行本)」で。

第9回山本周五郎賞 受賞作:家族狩り/天童荒太

category: た行の作家

tag: OPEN 80点 天童荒太 山本周五郎賞

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