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第16回山本周五郎賞 受賞作:覘き小平次/京極夏彦

覘き小平次
(あらすじ)
一日中押入れ棚に引きこもり、わずかの隙間から世間を覗く「売れない役者」小平次。妻のお塚は、一向にその不気味な性癖がおさまらぬ亭主に悪態をつく毎日である。そんなふたりのもとへ、小平次の友人で囃子方の安達多九郎が訪ねてくる。禰宜町の玉川座が、次回の狂言怪談の幽霊役に小平次を抜擢したという。一座の立女形、玉川歌仙の依頼を受け、奥州へと向かう小平次。しかしその興行の裏には、ある仕掛けが施されていた…。

answer.――― 76 点
Yahoo!知恵袋にて「京極夏彦さんはなんでいつも手袋をしているんですか????子供のころからやっていると聞きましたが。」なるファッションセンスを存分にリスペクトされる質問があるように、ミステリー界の「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」を地で行く京極‘堂’夏彦。氏が手掛けるシリーズは、自ら(?)主役を務める百鬼夜行シリーズがつとに有名だが、他にも搦め手で直木賞を受賞した『後巷説百物語』の巷説百物語シリーズ、古典怪談を基にした江戸怪談シリーズなど、売れっ子らしく複数あることは知られるところ。本作はそのうちの江戸怪談シリーズの第2弾、山東京伝の「復讐奇談安積沼」を下敷きに上梓された作品。その概要は、誰とも会話もせず、一日中押し入れに引きこもり、妻を覗き見する幽霊役者・小平次に芝居の依頼が入り、そこから殺人事件に巻き込まれるものの、当人は特に何もせず終わる、というもの。この紹介ではどうしようもない話に思われるかもしれないが、主役が何もしないだけで、その他の登場人物が「動く」ので問題は無い。本作の醍醐味は何かと訊かれれば、京極夏彦の「筆」だろうか。京極夏彦と云えば、やはり「百鬼夜行シリーズ」が代表作として挙げられると思うが、本作での京極夏彦の「筆」は登場人物たちのキャラクター性を抑えている分、浅ましい《人間》を彫り出していくことに腐心している。たとえば多久郎が小平次の妻・お塚に抱く劣情を、「男」「女」と書かず、「牡」「牝」と当てて語っていく地の文に象徴されるように、登場人物から「品」を落とし、おどろおどろしく彩っていく。「人に非ず」。ここに出てくる登場人物は《人間》という化生の類なのだ、と訴える。登場人物を覗くストーリー。やや癖はあるものの、怪しげな雰囲気を堪能出来る作品です。

第16回山本周五郎賞 受賞作:覘き小平次/京極夏彦

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 京極夏彦 山本周五郎賞

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