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第18回山本周五郎賞 受賞作:君たちに明日はない/垣根涼介

君たちに明日はない
1.怒り狂う女
2.オモチャの男
3.旧友
4.八方ふさがりの女
5.去り行くもの

answer.――― 85 点
新語・流行語大賞を参照にすれば、勝ち組負け組に象徴される格差社会を意識させる言葉が03年からランクインし始めたが、その真っ只中の05年にリストラを題材に上梓されたのが本作『君たちに明日はない』。形式としては読み手に優しい連作短編で、リストラ専門会社「日本ヒューマンリアクト」の有能社員・村上真介が、会社側がリストアップしたリストラ対象者を調べ上げ、あの手この手で自主的に「……辞めます」とこぼすまで追い詰めていく―――という話には違いないのだが、大衆小説としては上々のシリーズ全4巻、コミカライズ&ドラマ化と展開したように、リストラ対象者に有能無能な一癖、二癖をつけ、時には彼らの人生を好転させるキッカケを、時には読み手もどちらに転ぶのか見物な判断を迫られ、そこに色恋のプライベートも織り交ぜる、貫録のエンターテイメントが収められている。著者の作家としての手腕は早々に主人公の年増好き、そして、ヒロインを披露/確定させる第一話「怒り狂う女」で確認出来るだろう。以降の話も《パターン》と見做されないように角度を変えて魅せていく。作中のハイライトは旧友を追い込む第三話「旧友」、あるいは、犬を残すか猿を残すか互角の実力者を天秤に掛ける第五話「去り行くもの」か。どちらも甲乙つけがたい秀作で、前者は未来を臨むハッピーエンド、後者はそれまでの四話とは別ベクトルの「理」が提出され、実に爽快な気分を堪能出来る。《リストラ最有力候補になる社員にかぎって、仕事と作業との区分けが明確に出来ていない。》なんて本質をさらりと突いてくる一文もあり、社会の荒波に呑まれる前に読んでおきたい一冊。就職先が決まって一安心している大学生にプレゼントする本に良いかもね。

第18回山本周五郎賞 受賞作:君たちに明日はない/垣根涼介

category: か行の作家

tag: OPEN 80点 垣根涼介 山本周五郎賞

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コメント

このシリーズ好きでしたー。
適度なところで完結したのでそのスッキリ具合もかねて好きです。

総評で書かれてた恩田さんの「中庭の出来事」
『未読の人は未読のままをオススメする』とありまして笑った。
私、この本帯に負けて(?)買ったんですよねー。
そんなにおもしろいのかと思って読んだら、
ちょっとショックだったので・・・(^^;)

igaiga #- | URL | 2016/03/19 08:39 | edit

Re: igaiga

コメント、有難うございます!というか、コメントあると何か更新しなきゃいけない気が起こりますね。書き上げよ!

> このシリーズ好きでしたー。
> 適度なところで完結したのでそのスッキリ具合もかねて好きです。

良く出来た作品ですよね。あんまりシリーズ作品は追わないのですが、シリーズ的結末気になった作品の一つです。

> 総評で書かれてた恩田さんの「中庭の出来事」
> 『未読の人は未読のままをオススメする』とありまして笑った。

売りたいのは解かるんですが、販促賞を与えるならその著者のちゃんとした《売れる》ものを推せよ!と心から思います。恩田陸だってこういう勘違いした作品でなければ、そこそこの作品を輩出出来るだけに「これを推す意味ねえわ!」と憤りました。

Medeski #- | URL | 2016/03/19 11:10 | edit
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