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第21回山本周五郎賞 受賞作:果断 隠蔽捜査2/今野敏

果断
(あらすじ)
長男の不祥事により所轄へ左遷された竜崎伸也警視長は、着任早々、立てこもり事件に直面する。容疑者は拳銃を所持。事態の打開策をめぐり、現場に派遣されたSITとSATが対立する。異例ながら、彼は自ら指揮を執った。そして、この事案は解決したはずだったが……。

answer.――― 86 点
私利私欲を排し、意固地なまでに合理的であろうとする警察庁のキャリア・竜崎伸也を主役に配した隠蔽捜査シリーズ第二弾。前作『隠蔽捜査』での息子の不祥事を受けて、竜崎が都内大規模署である大森署署長という「現場」へと左遷的に配属される本作は、現場ならではの「不合理」な縄張り争いから、またしても《隠蔽捜査》が―――というダーティーなコンセプトを継続させているのがまず素晴らしい。もっとも、前作同様、起こる事件それ自体は決して目新しくはない。にもかかわらず新鮮に映るのは、やはり、竜崎のキャラクター故だろう。作中、すべての登場人物たちから「変人」扱いされるように、竜崎の采配はどこまでも合理的でありながら奇怪極まりない。因習に囚われず、私情も挟まず(が、心のうちでは愚痴をこぼしまくっているのが面白い。幼馴染「伊丹」へのコンプレックスは作品に多面性を大いにもたらしている思う、伊丹本人の小人物性を含め)、行動を決定、指示していく。合理的、という論理的な《知性》を感じさせる演出も様ざまあり、PTA対するクレーム処理は早々に読み手へ提示するインテリジェンス。部下の戸惑いを含めて著者のいぶし銀な仕事を垣間見る。SITとSATの対立、責任の所在への糾弾&紛糾、息子を通してのアニメへの理解など、仕事にプライベートに頭を痛める竜崎。前作よりも著者が伊丹を「掴んだ」のか、竜崎の彼に対する嫉妬がよりコミカルになったのも嬉しいところ。山本周五郎賞受賞に相応しい充実のエンターテイメント作品。シリーズ作ながら本作から読んでも楽しめる諸所に散らした情報もあるので、未読の方は順番を気にせずどうぞ。

第21回山本周五郎賞 受賞作:果断 隠蔽捜査2/今野敏

category: か行の作家

tag: OPEN 80点 今野敏 山本周五郎賞 隠蔽捜査シリーズ

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