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第23回山本周五郎賞 受賞作:後悔と真実の色/貫井徳郎

後悔と真実の色
(あらすじ)
“悪”を秘めた女は駆除する。若い女性を殺し、人差し指を切り取る「指蒐集家」が社会を震撼させていた。捜査一課のエース西條輝司は、捜査に没頭するあまり一線を越え、窮地に立たされる。これは罠なのか?男たちの嫉妬と裏切りが、殺人鬼を駆り立てる。挑発する犯人と刑事の執念。熾烈な攻防は驚愕の結末へ。

answer.――― 59 点
本作はデビュー以来、無冠のままキャリアを築いてきた貫井徳郎の悲願の山本周五郎賞“受賞”作。元は日本推理作家協会賞の“受賞”を「狙って」制作された背景を持っていたようだが、先に出版した『乱反射』が同賞を受賞(受賞理由:作家としての技量やミステリ界に対する貢献などが加味された。Wikipedia参照)したことで、棚ぼた式に山本周五郎賞を“受賞”出来たのは、著者にとっては嬉しい誤算だっただろう。がしかし、販促賞が作家の知名度を高めるためのツールであることを考慮してみると、本作の“受賞”は失敗だったと思う―――著者の他の本を読みたいと思わせられない故に。女性を殺し、人差し指を切り取る「指蒐集家」の捜査が混迷するなか、主人公の不倫が暴露され……というスキャンダラスなストーリーライン。“受賞”を「狙って」制作されただけあって、男の嫉妬やらの《人間》を描くことに力を注いでいる印象を受けるが、序盤より愛人とパコっているエリートらしい主人公のナルシーな間抜け具合が披露されるように、何を「面白い」、誰を「格好良い」と見定めれば良いのか判断が付けられず、読み手は迷走。そんな迷走をほぼ放置されたまま、主人公は何者かに不倫を暴かれて、同僚、世間に軽蔑され、でも俺は正義を捨てられねえ!あっやべっ、愛人死んでもうた!事件は会議室で起こっているんじゃない!俺の周りで起こっているみたいだ!と、ホームレスになってまで事件解決に勤しむ。……とネタバレ気味に書いてしまったが、要するに、―――「長い」。出来事と受賞「狙い」の《人間》模様が重なり、著者のスペックを超える処理量になっている。何を一番《後悔》しているのか、突き詰めれば、読み手は主人公を通して何を《後悔》するべきだったのか。ご大層な表題『後悔と真実の色』が読書中は勿論、読了してみても霞んだまま。「すでに」不倫しているのではなく、「途中で」不倫を始めたほうが良かったのでは?もっとも、それくらいのアレンジじゃ望むレベルでシンプルにならないが。著者にとって悲願の“受賞”作のひとつなわけですが、間違いなく著者の“代表作”ではないでしょう。

第23回山本周五郎賞 受賞作:後悔と真実の色/貫井徳郎

category: な行の作家

tag: OPEN 50点 貫井徳郎 山本周五郎賞

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