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第8回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:太陽がイッパイいっぱい/三羽省吾

太陽がイッパイいっぱい
(あらすじ)
バイト先の解体現場に人生のリアリティを見出した大学生のイズミ。巨漢マッチョ坊主カンや、左官職人崩れで女性に対し赤面症の美青年クドウ、リストラサラリーマンのハカセなどと働く「マルショウ解体」の財政は逼迫し、深刻な問題が……。

answer.――― 81 点
投稿時の『ハナづらにキツいのを一発』から出版に際して『太陽がイッパイいっぱい』と爽やかに改題された本作。その概要は、生温い大学生活から解体現場のアルバイトに身を投じれば、「労働って素晴らしい!」と汗水垂らして底辺の同僚たちと帰りにビールを煽る、刹那のイッパイいっぱいな青春模様を描くもの。基本的には連作短編の章構成で、主人公イズミの働き先であるマルショウ解体の面々を紹介しながら、草野球、デート、給料泥棒、経営危機など、泥臭くもハートフル、ソーシャル・ブルーなストーリーを展開していく。が、中盤からは実質の主人公交代、本作の主役は無敵の喧嘩師カンとなる。半グレ集団“シックス・クール”との抗争はまさしく怒涛のサプライズで、「カン!カン!!カン、カモ―ン!!!!」と血湧き肉躍る大活劇に読み手の頁をめくる手は止まらなくなる。喧嘩真っただ中の描写も頭一つ、二つ抜けている匠を見せつけてくれるが、個人的には喧嘩前、カンとハラケンの探り合いは珠玉の描写として挙げたい。不良の不良らしい、怜悧かつアドレナリン滾る分析&思考放棄は、書こうと思っても書けるものではない。そんな脇役カンに「ほんで?ややこしいハナシはえぇから、はよ用件ゆうてや」と主役の座を完全に奪われた主人公だが、終盤に垣間見せるナンダカンダで鍛えられているサービスな事実は実に心地良い。作品としての〆めも抜かりなく、社会の「形」を教えてくれる。何の変哲もない若者譚が続く序盤は若干のストレスも感じるが、終わって見れば視界良好!快作と呼ぶ相応しい青春譚、青春小説でした。地味なところで、この汗臭い設定で女性キャラクターの存在感をしっかり出せているのも素晴らしい。出版時期から考えて、版元は関西版『池袋ウェストゲートパーク』として売り出したかったんだと思うが、本家よりも気に入りました。【推薦】させて頂きます。

第8回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:太陽がイッパイいっぱい/三羽省吾  【推薦】

category: ま行の作家

tag: OPEN 80点 三羽省吾 小説新潮長編小説新人賞 酒飲み書店員大賞 推薦

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