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第9回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:マイ・スウィート・ホーム/富谷千夏

マイスウィートホーム
(あらすじ)
どうして私はこの人と暮らしているのだろう? 冷めきったカップルをリアルに描き、恋愛の魔力と夫婦の危うさを鮮やかに抉り出す、全男女震撼の結婚小説、ついに誕生!

answer.――― 66 点
誰しもそうだと思うが、《自分》が大好きだ。自傷癖のある方には、特にそれを強く感じる。《自分》が大好きなことは自然の摂理のようなものなのでそれ自体はまったく構わないが、他人に血を、傷を見せてまでアピールすることではないので、「―――大人になれよ、三井」と。そんなわけで「格好良く」描くこと、「格好悪く」描くこと、どちらが難しいのかといえば、甲乙つけがたいものの、あえて選ぶなら個人的には後者―――「格好悪く」描くことだと思う。中でもクズをクズとして描くことは、とりわけ難しい。仮にそれを成立させてしまえば、然るべき《報い》を与えるだけで読み手にカタルシスが生まれるからだ。冷めきった夫婦の顛末を描いた本作。夫が、稀に見るクズである。弱者に対してしか強気に出れず、口から出る言葉は誇大妄想気味な自己主張、己の非をあくまで認めない自己弁護。女にだらしなく、金も浪費する。自分の子どもさえ省みない。著者のファインプレーは、夫を遊び人らしい遊び人ではなく、塾講師という一見「まとも」そうな職からイメージ付けたことだろう。そんな夫に不満を感じつつも、生活の不安から離婚に踏み切れない妻もまた、苛つかせてくれる。このように頁をめくれば読み手に何がしかの感情の波を起こすことに成功しているので、そこは「買える」ところではあるが、それ以上のものは残念ながらないので、読了して数日で十把一絡げの作品として忘れ去られてしまうでしょう。時間を置いて書いたのか、時折り、たどたどしい筆もマイナスな印象。

第9回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:マイ・スウィート・ホーム/富谷千夏

category: た行の作家

tag: OPEN 60点 富谷千夏 小説新潮長編小説新人賞

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