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第26回山本周五郎賞 受賞作:残穢/小野不由美

残穢
(あらすじ)
京都市で暮らす「私」の生業は小説家である。大人向け小説が中心だが、かつては少女向けにライトノベルやホラー小説を執筆しており、そのあとがきで読者に「怖い話」の募集を呼び掛けていた。その縁で、かつての読者から「怖い話」を実体験として相談されることがあった。

answer.――― 76 点
個人的に、小野不由美という作家を再考&再評価することになった作品がこの第26回山本周五郎賞を受賞した本作『残穢』。それというのも、大長編『屍鬼』、そして、小野不由美と言えば……!な著者の代表的シリーズ『十二国記』しか読んでいない身としては、あたかも半自伝的な書き出し―――<私>という作家を投入しての冒頭からのリーダビリティの高さには(……これは想定外!)な衝撃を受けた。小野不由美は、いわゆる「文章力」に定評がある作家だが、二作を読了してその定評には個人的に大いに疑問を持った。巧拙の判定を迫られるとすれば、迷わず「拙」のほうにベットする。小野不由美は《自分のために頁を割いている》というのが主たる理由で、この作家は「全て」を整えてから物語を動かし始める―――自分の筆がノるまで、読み手に我慢を強いる。あまりに駄文が多い。それが『屍鬼』、『十二国記』のどこまでも続く「冒頭」に色濃く刻まれていた。《小野不由美》という看板が無ければ、「面白かった」という評判が無ければ、個人としては読み止めていたと思う。がしかし、本作では冒頭より<私>という強烈なキャッチで読み手の心を掴み、あたかも実体験であり、現在進行形の実話のごとく静かに、おどろおどろしく進めていく。そうして、例によって怪奇な事象の発端へと遡っていき、「触穢」という《知識》を挿して読み手さえ巻き込み、そのホラー具合は頂点に―――!もっとも、箒から和服という謎解き、自殺の連鎖などショッキングな序盤、中盤は惹きつけられるものの、時々に挿される《知識》は仕掛けも兼ねているとしても冗長で、そこからかの呪いのテープの作品と重ねてしまえば興味も急降下してしまうのも否定出来ないところ。個人的には、ストーリーそれ自体より、どこからホラーが始まったのか?恐怖の種を植え付けられたのか?を探るのが本作の醍醐味かと思います。小野不由美を見直しました。

第26回山本周五郎賞 受賞作:残穢/小野不由美

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 小野不由美 山本周五郎賞

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