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第28回山本周五郎賞 受賞作:ナイルパーチの女子会/柚木麻子

ナイルバーチの女子会 (202x290)
(あらすじ)
ブログがきっかけで偶然出会った大手商社につとめる栄利子と専業主婦の翔子。互いによい友達になれそうと思ったふたりだったが、あることが原因でその関係は思いもよらぬ方向に……。

answer.――― 75 点
中二病、高二病、大二病、社二病―――昨今謳われる、いわゆる“イタい”人。目下、そんな“イタい”人を描かせたらこの作家より右に出る作家はいないのではなかろうか?第88回オール讀物新人賞を『フォーゲットミー、ノットブルー』という“羨望”と“嫉妬”、そこから女子の愛憎交錯させる歪な青春譚で見事に受賞、デビューを果たした柚木麻子。本作はそんな彼女が満を持して届けたかのようなイタさ極まる“ヴィクトリア湖の悲劇”ナイルパーチな力作。物語の幕はキャリアウーマンの栄利子と専業主婦の翔子、二人がブログをキッカケに出会うことで開く。視点は交互に入れ替わっていく形式だが、……まず(そして、終始)目撃することになるのは栄利子の狂気である。コミュ障とは何なのか?それは本作にてげんなりするほどに理解させられる。中盤、同僚に暴露まがいに追い詰められての「なんとかします!……ごめんなさい。私、一人でなんとかします。寝ますっ。このフロアの男、全員とセックスします。頑張ります。だから私を許して下さい」という栄利子の咆哮は、おいそれと拝めるものではない必見の場面。それがピークかと思いきや、その後もブレーキを踏む様子なくコミュ障具合はメンヘラへと昇華、加速していくのが恐ろしい。そして、そんな“イタい”栄利子のストーカーの被害者であるはずの翔子もヤバい。これは是非とも自分の目で、第三者の立場として確認して欲しい。「お、お前……!」と翔子の無自覚な狂気を目の当たりにした瞬間、肉食魚《ナイルパーチ》を表題に冠した意味とともに、どんなバッドエンドに辿り着くのかと《先》を見てしまう。本作が無自覚という仕掛け(構造)を用いての“イタい”人たちの一種のドキュメンタリーだと気づかされる。正直、面白くはない。読んで誰が得するのか解からない。ただ、“イタい”を突きつける力作なのは間違いないので、SNSの危険性を知らしめる意味でも推せる作品ではある。栄利子の外見の変化とか、細かいエンタメ的配慮があるのも好感。

第28回山本周五郎賞 受賞作:ナイルパーチの女子会/柚木麻子

category: や行の作家

tag: OPEN 70点 柚木麻子 山本周五郎賞

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