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この受賞作を読め! 【山本周五郎賞:第1回 ~ 第10回!】


新潮社が開催した日本文学大賞の後継イベントとして1988年に創設された山本周五郎賞。2016年3月現在、第28回まで開催済みだが、ここではその第1回から第10回までの全11作の受賞作のなかから、【この受賞作を読め!】と銘打って3作+次点を選んでランキングしてみました。第11回から第20回の【この受賞作を読め!】も間を置かず制作予定。乞う、ご期待!ではでは、始まり始まり~。

* 作品タイトルをクリックすると、その該当作品のレヴューページに飛びます。

当時の社会関心であった《債務》を題材に、「最後の一行に犯人が出てくる小説」という着想から始まった宮部みゆきの代表作のひとつ。一時、インテリゲンチャたちに「昨今の文学作品よりも……」と称えられた《人間》に迫った筆は、たとえば不動産屋・倉田康二が語る離婚の理由に見い出せる。時勢を読んだ作品のためにやや黴臭くもあるが、08年発表の集大成企画「このミステリーがすごい!」ベスト・オブ・ベストでは第1位に選ばれた作品でもある。大衆小説の「古典」としても読まない理由は無い。

日本産のバナナとして世界に輸出される“吉本ばなな”。個人的に「ばななは『キッチン』さえ読んでおけばいい!」という持論があるものの、「吉本ばなな」という作家を知る上では押さえておきたい知名度高い一作。表題になっている「ヒロイン」つぐみは、出版から四半世紀過ぎた現在でもVividで、第1級のヒロイン格を保てているのは実際、素晴らしい。デビュー作『キッチン』と比すれば、洗練された天性の「筆」がここにある。

「希に見る美しい小説」と評されたことで知られる、稲見一良のレイ・ブラッドベリの『刺青の男』をモチーフにした短編集。翻訳小説を思わせる剛健な筆で読み手を選ぶ一作ではあるが、各短編で奇跡的な《数瞬》を力強く印象づけてくれる。そんな中で終章「デコイとブンタ」はやや毛色違うポップな逸品。デコイが空を飛んだ瞬間は、希に見る爽快感を与えてくれる。余談だが、本作も何気に上述の集大成企画「このミステリーがすごい!」ベスト・オブ・ベストに第6位にランクインしていたりする。

記念すべき山本周五郎賞の第1回の受賞作。自覚なく痩せ細っていく―――というホラー仕立ての物語ながら、アットホーム極まる“すき焼き小説”として名高い矛盾は、自分の目で確かめて頂きたいところ。新聞などさらりと引き合いに出される作品なので、押さえておくとお得感も。

☆☆  総評  ★★

芥川龍之介賞あれば三島由紀夫賞あり、直木三十五賞(以下、直木賞)あれば山本周五郎賞あり!という認識で実際、間違いないと思うが、大衆小説の販促賞として(直木賞と比すれば二格は落ちるものの)そこそこに浸透している山本周五郎賞。この第1回から第10回の《初期》とも云える段階でも、受賞者の顔ぶれは豪華絢爛。そうして、【この受賞作を読め!】と銘打って選んでみると、宮部みゆき、吉本ばななといったビッグネームのビッグセールスな作品をナンダカンダで選定してしまうイマサンな事態に……が、山本周五郎賞を総括する【All Time Best!!】では角度を変えて選び直していく予定。とりあえず、この稿ではベターに押さえておきたい作品を挙げておきました。何せ、1位と2位の作品は多作の両者の代表作に該当する作品だろうからね。未読ならば是非読んでおきましょう。両者のセンス欠いた近作しか読んでいない方ならば、「ああ、これは売れるわ」と認識を改められると思う。個人的なメインは第3位の『ダック・コール』、そして、次点に選んだ『異人たちとの夏』の選定。どちらも知名度は知る人ぞ知る程度だと思うが、前者は「希に見る美しい小説」という希に見る選考評を確かめるために、後者は“すき焼き小説”と謳われる所以を確認する意味でも、一読の価値があると思う。ところで次点は早々に決められたものの、実は3位はどれにしようか迷った。その迷った作品は船戸与一の『砂のクロニクル』、天童荒太の『家族狩り』。どちらも見た目(頁数)からして重厚で、実際に読んでみても膝をつきたくなるほど圧倒的な筆力で描かれているのだが、……凄過ぎて安易にお薦め出来なかったのが選外の決め手となった。また、江戸川乱歩のスランプ期を題材にした『一九三四年冬 - 乱歩』は耽美的な展開もあって女性受けしそうな印象もあり、この10回までの受賞作で3作挙げるならばダークホース的集票があっても不自然なことではないと思う。何にせよ、埋もれかけていて読めば(……拾い物!)な作品としては、個人的に『異人たちとの夏』を強く推したい。上にも書きましたが、“すき焼き小説”って人に薦めるときに言えるのが良いじゃないですか。勝手に(この人、読書家なんだ……)って勘違いしてくれますよ、きっと (๑´ڡ`๑)ブヒィ

☆ 受賞作:点数一覧 ★

85  火車/宮部みゆき  【第1位】

84  

83  砂のクロニクル/船戸与一

82

81  ダック・コール/稲見一良  【第3位】

80  家族狩り/天童荒太
    TUGUMI/吉本ばなな  【第2位】

79

78  一九三四年冬 - 乱歩/久世光彦
    異人たちの夏/山田太一  【次点】

77  奪取/真保裕一

76

75

☝  満足  ☟  普通


74  

73  閉鎖病棟/帚木蓬生

72  

71  エトロフ発緊急電/佐々木譲

70  

65  

64  

63

62

61  ゴサインタン -神の座-/篠田節子

60  

☝  普通  ☟  不満


59

現在、2016年03月13日/修正

category: この受賞作を読め!

tag: OPEN 山本周五郎賞 この受賞作を読め!【山本周五郎賞】

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