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この受賞作を読め! 【山本周五郎賞:第11回 ~ 第20回!】


この受賞作を読め! 【山本周五郎賞:第1回 ~ 第10回!】から引き続いて、山本周五郎賞での「この受賞作を読め!」第2弾!ここでも第11回 から 第20回の全14作の受賞作のなかから、3作+次点を選んでランキング!どれも有名作だが、やはり《売れる》だけあって面白いのよねえ!では、始まり始まり~。

* 作品タイトルをクリックすると、その該当作品のレヴューページに飛びます。

初の山本周五郎賞と直木賞のW受賞!という離れ業を為した、著者の代名詞となっている「マタギ三部作」の第2弾。やや及び腰になってしまう頁数がそのまま年輪となって一人のマタギを誕生させる構図は圧巻で、知名度高い販促賞、そのW受賞も誰しも納得出来るクオリティーがある。そもそも、熊が出て来ないのは意外なまでのサプライズだったが、やはり―――ラストはしっかり「山の神」と戦う。コイツは、創作物の熊史上最強の熊なんじゃねえか……!?と思わせる神々しさもあり、まさしく必見。兎に角、ドラマチックな一作。

森見文学はデビュー作より始まったとは思うが、いわゆる「森見登美彦」が森見登美彦となったのは本作からなんじゃなかろうか?京都を舞台に男と女がお洒落にすれ違う。個人的に3章「御都合主義者はかく語りき」は傑作的ご都合主義な一編。森見登美彦のフォロワーは今や五万と生まれているが、このレベルの一編はまず作れまい。大二病必読の一冊。

言語を絶するとはこの事か。在日朝鮮人・梁石日が実父をモデルに、おぞましいまでの「悪」を描いた大作。とにかく、《外道》極まっている金俊平は100冊、いや、200冊に1人の存在感を放っている。頁をめくれば、Rape & Violence!For Money!なんてドン引きせざるを得ないエンターテイメントがどこまでも続く。《吝嗇》がここまで「悪」へと繋がるのかと驚嘆させられるだろう。食傷を来たす繰り返しな展開に難があるものの、一度は出会っておくべき「悪」がここにいる。

勝ち組負け組と叫ばれ始めた時世に投下された連作短編。リストラ専門会社「日本ヒューマンリアクト」の有能社員・村上真介が、言葉巧みに「……辞職します」とリストラ対象者を追い詰めていく。旧友を追い込む第三話「旧友」は、これからの“人要らず”の淘汰の時代、嫁に読ませておきたい一編。また、いわゆる“ダメな社員”とは何なのかを冒頭早々に残酷に提示してくれるので、新社会人は予習として読んでおくと良いかもしれない。プレゼントにも使える便利な良作。

☆☆  総評  ★★

個人的に第11回から 第20回までの山本周五郎賞の受賞作……というよりも、受賞作家たちは第10回までの受賞作家たちよりも、より《売れる》ためのステップ的な意味での授賞を感じてしまうのは、吉田修一の『パレード』や森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』があるからなのかもしれないが、何にせよ、基本的にどの受賞作も「質」が高いのは読み手としては喜ばしいところ。そんな中で、恩田陸の『中庭の出来事』に関してはそもそも選考作に挙げてきたこと/残してきたこと自体が失態だと思う。未読の方は未読のままがオススメです。さて、今回も著名作を選定してしまったが、選んだ4作はどれも他の受賞作よりも実際、頭抜けて「面白い」。『邂逅の森』と『血と骨』は、ボリューム(とマチスモな題材)の点で手に取るのが億劫になってしまうかもしれないが、両作ともにエロ有り!バトル有り!のエンターテイメントとして充足の逸品である。特に後者、『血と骨』は「極悪」金俊平の類い稀な存在感があり、忘れられるには惜しい。後世に繋げるためにも、若い読書家の方は是非とも押さえて頂きたい悪漢小説だ。選定より漏れたが、アルツハイマーに罹る前に!という意味で、『明日の記憶』も目を通しておきたい一冊。現実はそんな綺麗事で済まないとは百も承知の上で、やはり「前を向ける」エンディングが実に心地良い。意固地を溶かす『小田原鰹』、男は黙って、……!な『蟹』が収められている『五年の梅』は、まさしく《いぶし銀》な短編集。時代小説をさらっと読みたくなった時、手に取ってみてもまず損は無いだろう。個人的には琴線に触れなかったが、中山可穂の『白い薔薇の淵まで』は百合ものとして知名度高い一作。こちらも押さえておいて損は無いだろう。と並べてみても、あからさまな“地雷”は上述の『中庭の出来事』くらいなので、山本周五郎賞は信頼出来る販促賞と言えると思いますね、ハイ。さあ、次は第21回~第30回のリストを飛ばして(まだ第28回までしか発表されてないからね)、All Time Best!!を選定しようと思います。乞う、ご期待!

☆ 受賞作:点数一覧 ★

86  邂逅の森/熊谷達也  【第1位】

85  君たちに明日はない/垣根涼介  【次点】

84  

83  夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦  【第2位】

82  血と骨/梁石日  【第3位】

81   

80

79  

78  五年の梅/乙川優三郎

77  明日の記憶/荻原浩

76  覘き小平次/京極夏彦

75  パレード/吉田修一

☝  満足  ☟  普通


74  ぼっけえ、きょうてえ/岩井志麻子

73  

72  

71  エイジ/重松清

70  

66  白い薔薇の淵まで/中山可穂

65  

64  安徳天皇漂海記/宇月原晴明

63

62

61  

60  泳ぐのに、安全でも適切でもありません/江國香織

☝  普通  ☟  不満


40  中庭の出来事/恩田陸

現在、2016年03月13日/修正

category: この受賞作を読め!

tag: OPEN 山本周五郎賞 この受賞作を読め!【山本周五郎賞】

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