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第12回本屋大賞 5位:土漠の花/月村了衛

土漠の花 (198x290)
ソマリアの国境付近で、墜落ヘリの捜索救助にあたっていた陸上自衛隊第一空挺団の精鋭たち。その野営地に、氏族間抗争で命を狙われている女性が駆け込んだとき、壮絶な撤退戦の幕があがった。

answer.――― 75 点
月村了衛と言えば、巷を騒がす10年代の機動警察パトレイバーこと『機龍警察』シリーズがまず思い浮かぶと思うが、緊張感のある雰囲気作り、達者な「動き」―――戦闘描写を大衆小説への転換せしめたのが「自衛隊」派遣を題材にした本作。ソマリアを舞台に、現地の女性の助けに応じたことによって《虐殺》に巻き込まれた自衛隊員たちが専守防衛という枷を解き、精神を削りながら抗戦するストーリーライン。概要からも昨今の時代情勢を踏まえたメッセージ性ある娯楽作品と解釈出来るが、早々にゲリラに襲撃を受け、以降は混乱の中での逃亡劇。とりあえず、―――登場人物たちは鮮血を撒き散らして死んでいく。断続的に挿し込まれる戦闘場面はどれも著者の自慢の筆力を存分に注ぎ込んでいるため、血沸き肉躍るその瞬間を覗きたい読み手には満足感高い仕上がり。銃撃戦はもちろん、カーチェイス、廃墟での立て籠もりと手を替え品を替え危機を演出してくれる。ながらに、逆に言えば、それ以外は特段取り上げたくなる要素は少ない。何故、執拗に襲撃を受けるのか?助けた女性は何者なのか?という物語の核となる謎も蓋を開けずとも察せるもので、物語としての求心力は弱い、と言わざるを得ない。この点、高野和明のSFを孕んだ力作『ジェノサイド』と比較してみると、本作に「足りない」ものが輪郭を持って解かるだろう。筆力の高い凡作、といった印象だが、筆力の高さ故に緊張感は演出出来ているので「読める」。

第12回本屋大賞 5位:土漠の花/月村了衛

category: た行の作家

tag: OPEN 70点 月村了衛 本屋大賞

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