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第3回小学館ライトノベル大賞(ガガガ文庫部門) 大賞:あやかしがたり/渡航

あやかしがたり (202x290)
1.水待人
2.煙々羅
3.勘定間諜
4.犬追われ物
5.騒ぐ刀
6.懐疑は踊る
7.山手騒動
8.あやかしがたり

answer.――― 70 点
ゲスト審査委員を務めた田中ロミオより「達者な筆致と高い完成度を誇り、作者の年齢を鑑みると同じ物書きとして「ちょっと今のうちにどうにかしておきたいな」と暗い情念を抱かせるものがありました」とその将来を嘱望された渡航のデビュー作。その概要は、あやかしなトラウマ持つ若侍・新之助が帰郷の道中に出会った珍奇な仲間と辿り着いた郷里であやかし関わる陰謀に挑む、というもの。本作の感想は上記の講評に尽きる印象―――とどのつまり、「巧い」である。語彙が豊富なことはそれこそ一頁目から察せられるだろうし、登場人物の台詞遣いも目垢のついていない言葉に「格」負けしていない。個人的に唸ったのは、一章「水待人」における相次ぐ出会い。第一の脇役である拝み屋ふくろうは、主人公も怪しむ存在ながら逆にそれが主人公自身の紹介へと繋がり、第二の脇役である謎の娘ましろは、まさしく「謎」そのものとなって舟へと飛び込んでくる。どこにでもありそうな、何気ないオープニング……ながら、よくよくその演出の意図に気づけば、ところがどっこい!の凡とは一線画す“仕事”だと解かる。もっとも、そんな唸らせられる第一章が“先”を期待してしまうピークとも云えるのが本作の難点。文章は所詮、物語を彩り、飾るものでしかない。巧ければ面白いのかと問われれば、やはり限界があるのである。そもそも、「主人公」新之助が常に自分を見つめているのは作品の、構造的な問題となっているようにも思う。「物語」のために主人公が要る、これが本来的な大前提だ。この逆、《主人公のために「物語」が要る》というアプローチで筆を執るならば、あやかし関わる故郷の藩の権力闘争という大風呂敷ではなく、もっと小さな事件を用意したほうが良かっただろう。《小説》としての出来は高いものの、……な「物語」の弱さ目立つアンバランスな一作。

第3回小学館ライトノベル大賞(ガガガ文庫部門) 大賞:あやかしがたり/渡航

category: わ行&数字の作家

tag: 小学館ライトノベル大賞(ガガガ文庫部門)ガガガ大賞 OPEN 70点 渡航

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