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第13回本屋大賞 7位:戦場のコックたち/深緑野分

戦場のコックたち (198x290)
(あらすじ)
誇り高き料理人だった祖母の影響で、コック兵となった19歳のティム。彼がかけがえのない仲間とともに過ごす、戦いと調理と謎解きの日々を連作形式で描く。

answer.――― 76 点
異国を舞台に“少女”関わる様ざまな謎を詰め込んだデビュー作『オーブランの少女』でミステリー界隈に留まらない支持を受けた深緑野分の「初」の長編作品。デビュー作同様、本作もノルマンディー上陸作戦に従事する合衆国軍兵士という異国、そして、異邦人を採用し、翻訳小説を思わせる重厚な―――ともすれば(ボリューム含め)読み疲れる筆致で、読み手を戦場ミステリーへ誘う。目を惹かれるのは「パラシュート」「粉末卵」といった見慣れない道具から始まるミステリー!と紹介したいところなのだが、それらが謎として絡む序盤の二編は正直、退屈に映る。戦場コックへと実質降格した、凡庸、あるいはそれ以下の能力の主人公ティムは傍観気味で成長も特に無く、提示される謎は盟友エドによって解かれるだけに過ぎない。本作の醍醐味は読み手が(……これは面白くない!)と覚悟を決めたそこから先―――銃弾、爆弾当たればサヨウナラの状況のなか、重苦しく惨禍が進み、登場人物たちの心が麻痺し、歪になっていく様だろう。ミステリー小説から戦争小説へ。本作において「嬉しい!」「楽しい!」「大好き!」といったポジティヴな感想を吐けることはない。戦場の“日常”を登場人物とともに歩み、本を閉じたとき、そこから“現実”へ還る―――そのトリップに価値見出す作品。個人的には、文字量を半分にして、主人公には主導的な立場を与えて欲しかった。もっとも、そんなエンタメなアレンジしちゃうと本作を支持する人が離れちゃうだろうけどね。

第13回本屋大賞 7位:戦場のコックたち/深緑野分

category: は行の作家

tag: OPEN 70点 深緑野分 本屋大賞

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