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第20回電撃小説大賞 大賞:ゼロから始める魔法の書/虎走かける

ゼロから始める魔法の書
一章 魔女と獣堕ち
二章 【ゼロの書】
三章 ゼロの魔術師団
四章 十三番
五章 火刑
六章 禁呪
終章 魔法免許

answer.――― 72 点
時折り《何でも書ける》と謳いたがる輩がいるが、その「何でも」は多くの場合、多様な「題材」を扱うことを己の《何でも書ける》の論拠にしており、「何でも」の幅の狭さを披露してくれる(ついでに、その手の輩は「題材」自体、そもそも扱い切れていない)。己の筆を誇示したいのならば、《何でも書ける》より《〇×しか書けない》と謳うほうがよほど健全だ。踏み込めば、筆において《何でも書ける》とは超絶技巧的《調整力》であり、その意味するところは障りなく読み進められる文章、破綻ない展開の創出であり、それを貫くためならば、己さえ捨てるプロフェッショナルな判断を下す理性である。故に《何でも書ける》筆を持つ者は、物語を流れるように目通しさせるものの、結果的に「(なんとなく)つまらない」「(面白いけど)引っ掛かりの少ない」作品に仕上がってしまう因果に苛まれる。電撃小説大賞、その節目の第20回の栄えある《大賞》受賞作である本作は、そんな物珍しい《何でも書ける》筆で綴られたファンタジー。魔女狩り行われる世界を舞台に半人半獣の傭兵と魔女が出会い、物語の幕が……という冒頭を読めば何が新しいわけでもない、クラシックな作品だと解る。驚くべきは作中の設定の処理―――リーダビリティの高さで、台詞、地の文、魔女という「語る」先入観などを駆使して流麗に説いていく。既視感漂う設定にもかかわらず、「読めてしまう」のである。正直、目を瞠った―――こんなつまんなそうな設定なのにスゲエ!!と。 人間、ストレスなく「読める(読み切れる)」と一定の評価を下してしまうが、本作はその典型に挙げられると思う。本作は「つまらない」作品だ。しかし本作を「面白い」と感じたならば、その「面白い」の正体は「巧い」である。著者は《何でも書ける》。だからこそ伝えたい、貴方の筆は「面白い」人のためにある。存分に己(の筆)を使いこなしてくれるパートナーを見つけましょう。滅茶苦茶な設定を渡されても、貴方なら「巧く」処理出来る。大事なのはその設定が面白いか否かだ。

第20回電撃小説大賞 大賞:ゼロから始める魔法の書/虎走かける

category: か行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 70点 虎走かける

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