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第22回電撃小説大賞 大賞:ただ、それだけでよかったんです/松村涼哉

ただ、それだけでよかったんです (204x290)
(あらすじ)
ある中学校で一人の男子生徒Kが自殺した。『菅原拓は悪魔です。誰も彼の言葉を信じてはいけない』という遺書を残して。Kは人気者の天才少年で、菅原拓はスクールカースト最下層の地味な生徒。なぜ、天才少年Kは自殺しなければならなかったのか。

answer.――― 68 点
経済学に「悪貨は良貨を駆逐する」という格言があるように、品質の高低において高い位置にあるものがその《基準》として採用されたとしても、必ずしもソレが絶対の基準として流通し続けるとはかぎらない。概して、均してしまえば低く流れるものだ。悪貨と謗るつもりはないが、ライトノベル界隈の事実上の最高勲章《電撃小説大賞》、その《大賞》受賞作である本作は、果たしてライトノベルなのか?イジメから自殺した天才少年の真相に迫っていくミステリーなストーリーライン。「天才」「悪魔のような中学生」というレッテルこそあれ、キャラクターらしいキャラクター性の薄い登場人物たちが《イジメ》を探っていく様は大衆小説的で、MW文庫ならまだしも電撃文庫の作品としてリリースされたことに違和感を禁じ得ない。巷の評判の通り、ひたひたと近づき、そして、近づけられてきた真相という不穏が輪郭づけられていく後半はまさしく胸くそ悪いもので、逆にそれが本作が決して質の低い作品ではない証明となる。が、本作は果たしてライトノベルなのか?踏み込めば、これがライトノベルとして扱われる必要があるのか?たとえば小説すばる新人賞でも、小学館文庫小説賞でも送り先は良かったと思う―――受賞するかはさて置き、だ。そもそも、ライトノベルとは何か?という話になると、「そんなものは決まっていない」と曖昧にすることを是とする意見を目にする。が、読み手はそれで問題ないかもしれないが、少なくとも書き手は「ライトノベルとは?」という問いへの自分なりの答えを出しておかなければならない。それが《ライトノベル作家》としての矜持になるからだ。本作が大衆小説の公募賞へ投稿されたとき、果たして受賞出来るのか?「悪貨は良貨を駆逐する」、本作は誰が読んでも「ライトノベル」と認められなければならない。

第22回電撃小説大賞 大賞:ただ、それだけでよかったんです/松村涼哉

category: ま行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 60点 松村涼哉

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コメント

ご無沙汰しております。threeです。

書店で見かけてからあらすじを調べいて、なんとなく気になっていました。
私もライトノベルらしからぬ暗くて重いテーマだなぁと。私も最初はメディアワークス文庫かと思いましたが、電撃文庫として出版されているのですね。ライトノベルらしからぬといえば入間人間・著『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』を思い浮かべましたが、あの作品はメディアワークス文庫ができる前でしたね。
電撃文庫で出す理由……編集部は、竹岡美穂さんの挿絵を入れたかったのでしょうか。けっこう重いテーマを扱っていた『文学少女』シリーズのように。

作者さんの新作、シリーズ第二巻が発売されたようですね。あらすじだけ見た私は、シリーズ化して続編が出る作品だと思わなかったので驚きました。投稿者からプロになった作者さんによる「ライトノベルとは?」という問いへの答えがあるのか、ですね。

three #UdjG8aXE | URL | 2016/09/11 15:47 | edit

個人的には、「ライトノベル」は「アニメーションを文章化したもの」だと思っています。本作はどちらかというと「ライト文芸」に分類されるのではないでしょうか。ただ、作者の年齢に相応する文章や構成が目立つため、メディアワークスは避けたのではないかと(とはいうものの、同時期にメディアワークスから出た『トーキョー下町ゴールドクラッシュ!』や『恋するSP』も同レベルの文章と構成でしたが)。つまるところ、「ライト(=文章・構成)文芸(=内容)」な作品だと思います。

カゲフミ #0sUulrwY | URL | 2016/09/11 17:33 | edit

Re: three

コメント有難うございます!こちらこそご無沙汰しております!そして、ブラック企業脱出&残業代奪取、本当におめでとうございます!(笑)

> 電撃文庫で出す理由……編集部は、竹岡美穂さんの挿絵を入れたかったのでしょうか。けっこう重いテーマを扱っていた『文学少女』シリーズのように。

なるほど、イラストの観点から考えたことなかったですね。そして、続編出るのかよ!?これは逆に読みたくなってしまった!「ライトノベルとは?」という問いは、自問しないかぎり、まず問おうとも思いません。「書きたいものを書く」は欲求としての真理ですが、その割に作家は《語る》ものです。黙れないなら、せめて答えは決めておくべきですね。

Medeski #- | URL | 2016/09/13 16:00 | edit

Re: カゲフミ

コメント、有難うございます!

> 個人的には、「ライトノベル」は「アニメーションを文章化したもの」だと思っています。本作はどちらかというと「ライト文芸」に分類されるのではないでしょうか。

ライト文芸、これは本当に便利な言葉だと思っています。出来損ないの大衆小説、を言い換えると、このような言葉になるのでしょう。ライト「文芸」というなら、『しゃばけ』『僕僕先生』あたりを求めたいところですね。


>作者の年齢に相応する文章や構成が目立つため、

作者の年齢に相応する文章や構成、というのは適当な表現ではないとも思いますが、実際、若さ出てますよね。もしかすれば意図しているのかもしれないので何とも踏み込めませんが、この「ライト」さは大衆小説としては二流(多分、印象だけなら三流)認定されてしまうと思いますね。ただ、続編があるとのことなので、ちょっと読んでみたくはあります。

Medeski #- | URL | 2016/09/13 16:12 | edit

お返事ありがとうございます。
また、祝福のコメントもありがとうございます(笑)

>そして、続編出るのかよ!?これは逆に読みたくなってしまった!
電撃文庫の公式サイトやAmazonでは、作者さんの新作『おはよう、愚か者。おやすみ、ボクの世界』がこんな風に紹介されていました。
「圧倒的感動を呼んだ第22回電撃小説大賞≪大賞≫受賞作『ただ、それだけでよかったんです』に続く、待望の衝撃作」
「圧倒的感動で話題を呼んだ『ただ、それだけでよかったんです』に続く、待望の衝撃シリーズ第2弾」
http://dengekibunko.jp/title/ohayou/?rf=top-main-visual

シリーズ第2弾とありますが、登場人物やストーリーを見ると完全新作のような気もします。新作どころか受賞作も読んでいないのに、曖昧な情報をお伝えしてしまい申し訳ございません。

three #LScFWg6w | URL | 2016/09/13 22:55 | edit

Re: three

コメント、有難うございます!ブラック企業からの奪取は難しそうなミッションだと思っていましたが、真っ当に勝てたとのことで勝手に喜ばせて頂きました(笑)

> シリーズ第2弾とありますが、登場人物やストーリーを見ると完全新作のような気もします。新作どころか受賞作も読んでいないのに、曖昧な情報をお伝えしてしまい申し訳ございません。

形上でもシリーズ化するということは、マーケティング的な決断もあったと思いますが、実際、著者もあの登場人物たちを「キャラクター」として認識してるのかもしれないので、ちょっと興味深いところですね。柴村仁の<由良三部作>的に扱うのかもしれませんね。悪くないアイディアだと思います。

Medeski #- | URL | 2016/09/15 16:57 | edit
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