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第2回小説すばる新人賞 受賞作:草小路鷹麿の東方見聞録/草薙渉

草小路鷹麿の東方見聞録/草薙渉 (196x290)
(あらすじ)
京都の公家の末裔・草小路鷹麿は「東京にいる婚約者を探しに行け」という父の遺言に従い上京するも、婚約者探しの過程で鷹麿に襲いかかるミステリアスな事件。一体、真実とは何なのか。

answer.――― 73 点
《受賞作を読む》というコンセプトの上で読書を続けていくと、知名度低い(売上悪い)ながらも興味惹かれる、いわゆる拾い物に出くわすことが間々ある。これぞ、―――《試作品》!と称えたくなる本作は、生まれて26年間、広大な屋敷から一歩も外に出たことがなかった公家の末裔・草小路鷹麿が「東京にいる婚約者を探しに行け」という父の遺言に従い、キラキラとした眼で世間を渡っていく、というもの。善性溢れる「天才」草小路鷹麿に凡夫なフリーターである主人公が嫌味なく圧倒されていく様を目にして脳裡を過ぎるのは、大二病罹患者御用達の作家・森見登美彦である。天才が凡人へ真摯にリスペクトを払い続ける、ただそれだけでどうしてこんなに愉快になるのか。出版は90年、四半世紀も過去の作品ながら、森見登美彦と同質のユーモアを堪能出来るのは何ともオツだ。惜しむらくは《文章》。森見登美彦を森見登美彦足らしめる、つまらないものさえ面白げに魅せるあの文体が当然、本作にはない。それで作品としての差が出てしまうのは致し方ないところ。それでも、草小路鷹麿というキャラクター、そして、彼によって味付け、解体される日常は、森見登美彦が用意するソレよりも上等と云えるので時代を先駆けてしまった《試作品》として目を通してみても良いと思う。個人的に大いに気に入ったので、続編と云える鷹麿の妹が主役張る『草小路弥生子の西遊記』に手を出してしまった―――が、そちらは筆を怠けていたのでイマサンの出来。残念。

第2回小説すばる新人賞 受賞作:草小路鷹麿の東方見聞録/草薙渉

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 小説すばる新人賞 草薙渉

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