ナマクラ!Reviews

03/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./05

第3回小説すばる新人賞 受賞作:絹の変容/篠田節子

絹の変容
(あらすじ)
レーザーディスクのように虹色に輝く絹―――その妖しい光沢にとりつかれた長谷は、ハイテク技術で蚕の繁殖を試みるが……。バイオ・テクノロジーの恐怖を描く。

answer.――― 76 点
未だ現役、作家生活は25年を数える篠田節子のデビュー作は、人類によって野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物『蚕』を題材にしたパニックSF―――そして、バイオハザードを蓑にした紛うことなきホラー小説。物語は、斜陽の中小企業の若社長が虹色の光沢を持つ絹布を見つけたことから始まる。そこから「蚕」という馴染みうすい昆虫の、人間無しでは生きられない奇天烈な生態が語られ、野心抱く人間たちとともに、「捕獲」「量産」「改良」―――とバッドエンドへ向けた絞首台へ上がっていく。本作がホラーと化すキーワードは改良の末に遂げた《15cm》の体長、旺盛な食欲を満たすための《雑食》―――《肉食》への転換だろう。体長は実に具体的で、それらが何千、何万と蠢き、ついに人の手から離れる様は生理的嫌悪感を帯びて、読み手を無力な大衆へと貶めてくれる。鶏舎の惨劇は作中の緊張感をグッと高める秀逸醜悪なイベントだ。この他にも、まさしく《パニック》となる脈絡無き死を設け、上々のエンターテイメントとして仕上げている。「蚕」それ自体が興味深い生物なので、そのアレンジも含め、個人的に著者の着眼点の良さを何よりも称えたい一作。楽しめます。

第3回小説すばる新人賞 受賞作:絹の変容/篠田節子

category: さ行の作家

tag: OPEN 70点 篠田節子 小説すばる新人賞

[edit]

page top

« 第4回小説すばる新人賞 受賞作:マリアの父親/たくきよしみつ  |  第2回小説すばる新人賞 受賞作:草小路鷹麿の東方見聞録/草薙渉 »

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://medeski02.blog95.fc2.com/tb.php/1244-b8cc21f9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
page top