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第4回小説すばる新人賞 受賞作:涼州賦/藤水名子

涼州賦_0001 (202x290)
1.涼州賦
2.秘玉

answer.――― 69 点
唐代末期、うだつのあがらぬ三十男が武威郡県尉となって西域である涼州へ赴任するも、そこは賄賂横行する腐敗の地で―――というストーリーライン。賄賂を跳ね除け、勧善懲悪!という単純な図式かと思いきや、上述の通り、主人公である尚参は良識こそあれ、冴える頭も鎮める腕っぷしもない、いわゆる「ヘタレ」な設定。では、どうやって物語が展開していくのかと云えば、賞金稼ぎの豹狄、勝ち気な居酒屋の女将・小杏―――サブキャラクターの活躍に因る。尚参が早々に四面楚歌の状況に放り込まれるなか、二人だけが味方してくれるわけだが、中盤、終盤の活劇の敵役が二人の因縁ある「殺人、強姦、何でもござれ!」の巨漢の用心棒・史亥であるように、実質、本作の「物語」は豹狄と小杏のもので、二人が《前へ進む》ためのキッカケが尚参という部外者だったということが解かる。「王道」的な展開だけに、安易に豹狄を主人公にしなかったところに著者のセンスを感じられるだろう。個人的ハイライトは、豹狄と史亥の《強弱》の妙味。作中、強さの不等号が当事者たちの評も含めて良い意味で定まらない。悪の親玉・董公の「お前一人で、あれをやれるか、史亥?」と訊き、意気込む史亥を「いや、無理だ」と制す場面は、(……え?無理なの!?)と読み手も驚く問答。なかなか洒落ております。表題作の他、女怪盗の活躍光る「秘玉」収録。

第4回小説すばる新人賞 受賞作:涼州賦/藤水名子

category: は行の作家

tag: OPEN 60点 藤水名子 小説すばる新人賞

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