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このライトノベルがすごい!(2010年版) 9位:とある魔術の禁書目録/鎌池和馬

とある
1.幻想殺しの少年のお話
2.魔術師は塔より降り立つ
3.奇術師は終焉を与える
4.魔道書は静かに微笑む
5.退魔師は終わりを選ぶ
6.禁書目録の少女の結末

answer.――― 77 点

自分の部屋に、純白のシスターがいきなり空から降ってきた―――ボーイ・ミーツ・ガール、物語の始まりこそありきたりだが、シリーズ累計10,000,000部を超える発行部数は伊達ではない。よくある場面によくある台詞。しかし、主人公・上条当麻が提示していく「よくある」台詞はその右手に備えた《幻想殺し》と同様に、ことごとく読者の既視感を打ち破っていく。気張らずスカさず、それでも、キメるところはキメる読者本位本望な主人公像に対するのは、映画《ダイ・ハード》を思わせる息つく暇もないピンチの連続、我が身に降りかかった不幸なアドベンチャー。常時満タンの燃料タンクにガソリンを注ぎ続けるような文章が熱い。前のめりなその文章は「……ん?六万回?」と時に勢いを殺しかねない無茶も散見出来るが、地の文で《上条当麻》とフルネームで物語られる度、「おっ、また《ダイ・ハード》?」と期待してしまう。魔術VS超能力、評判高い異能バトルもありそうで少ない題材。怒涛という言葉がよく似合う一巻の押し寄せる内容だが、そのエンディングには疑問が残る。主人公が「欠ける」、その必然性を感じなかったからだ。「記憶」、あるいは「女の子を守る」がテーマだったとしても、物語をテーマで縛るのと、作者がテーマに縛られるのはまったく違う。主人公が「欠ける」なら、そうならざるを得ない意味が欲しかった……まあ印象に残るし、劇的で良いかもしれないけど。売れて当然、対ライトノベラーのために編まれた一作。

このライトノベルがすごい!(2010年版) 9位:とある魔術の禁書目録/鎌池和馬

category: か行の作家

tag: このライトノベルがすごい! OPEN 70点 鎌池和馬

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コメント

こんばんは。

来ましたね「とある魔術」

>そのエンディングには疑問が残る。

私も同様に感じました。
このエンディングが異なっていたら
2巻ももっとのめりこんで楽しめたかもしれません。

ただ作品の中には
作品そのものがストーリーを選ぶ事があるのも確か。

この作品がそうかどうかは分かりませんが
シリーズ全般を通して
このエンディングがどういう意味合いを持つか
というところでしょうか。

一刻 #- | URL | 2011/03/03 01:11 | edit

Re: タイトルなし

> シリーズ全般を通して
> このエンディングがどういう意味合いを持つか
> というところでしょうか。

確かに。一刻さんのコメントを読んでそこまで考えていなかった自分に気づきました。というのも、二巻以降も特に意味が無かったと聞いていたからなんですが、しかし意味がある可能性もありますね。スマートに終わらせてくれても十分面白かっただけに、欲張ッていた自分を発見です。

一刻さんのBlog復活、楽しみに待っています。

Medeski #- | URL | 2011/03/03 10:21 | edit

ダイハード……いい表現ですね。あまりこのシリーズを巧いとは思っていない僕が、どうして未だに引きずられていくのかが分かった気がします。

物語をテーマで縛られるのではなく、作者がテーマに縛られている。と言うのも、やはり1巻の時点で著者にどれほどの見通しが立っていたのか、ということが大きく起因してきそうですね。実際この時期の禁書を読み返すと、「ああ、ここは……」というような展開がちらほら。長期シリーズがまかり通るのかどうか、というのはこの頃のかまちーにも見切れていなかったのかなと。

ともあれ、この後の禁書は内容こそバラつきがあるものの、上条さんの喪失には割といい折り合いをつけながら進んでいると思いますし、その点だけで言えばかまちーの勝利かなぁ。

ask #- | URL | 2011/08/12 21:00 | edit

Re: ask

コメント、有難うございます!

> ダイハード……いい表現ですね。あまりこのシリーズを巧いとは思っていない僕が、どうして未だに引きずられていくのかが分かった気がします。

スピードライターだけに巧いとは確かに云えませんね。主人公の気性(スタイル)は読者に求められているものであるのに、その書き手があまりいなかったので、まさに穴場的爆釣が売り上げ的に起こりましたね。

> 物語をテーマで縛られるのではなく、作者がテーマに縛られている。と言うのも、やはり1巻の時点で著者にどれほどの見通しが立っていたのか、ということが大きく起因してきそうですね。実際この時期の禁書を読み返すと、「ああ、ここは……」というような展開がちらほら。長期シリーズがまかり通るのかどうか、というのはこの頃のかまちーにも見切れていなかったのかなと。
> ともあれ、この後の禁書は内容こそバラつきがあるものの、上条さんの喪失には割といい折り合いをつけながら進んでいると思いますし、その点だけで言えばかまちーの勝利かなぁ。

私、友人に続刊は読む必要はない、との啓示を受けてまともに追っていないのですが、どうやらあの展開に意味はあるみたいですね。個人的に、一巻は一巻で完結して欲しいタイプの読者なので、整合性を欠いていると言わざるを得ない一巻の展開には難があるのですが、続刊で解決してるなら追わない読者は……何も言えねえ!

Medeski #- | URL | 2011/08/13 08:53 | edit

初めまして。
ダイ・ハード的な印象は、この作者の別作品、ヘヴィーオブジェクトに感じましたが、ラノベ的な…こういっていいのかわかりませんが、中二要素のレッテルを外して読めば、こちらにも同じ事が言えるのかもしれませんね。
ところどころ、発刊当時のあれやこれやに影響を受けている箇所が見受けられたり、文章的に読み進めるのが辛くて途中で打ち切ってましたが、この感想を見てもう一度だけ読んでみたくなりました(今の続巻は流石に追わないと思いますが…)。

zero #mQop/nM. | URL | 2011/10/25 22:34 | edit

Re: zero

コメント、有難うございます!

慨した感想、私もまったく同意見です。かく言う私も一度目は早々に切り上げましたが、発刊当時から時間を置いてみれば、巷に溢れる模造品に比べてみれば、主人公の熱血系の特異性はライトノベルにかぎらず珍しいかな、と。けっこう素養が要ると思うんですよねこの辺。小説は発刊ペースで本当に人気が変わると思います。本屋に1から10巻まで並ぶだけで強力な宣伝効果にもなるわけですし。既刊20巻ですか?並ぶと圧巻ですね。

>この感想を見てもう一度だけ読んでみたくなりました

私のレヴュワーとしてのイメージが良いままで終わりたいと思うので、是非、読まないで頂きたい!

Medeski #- | URL | 2011/10/26 08:15 | edit
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